【ソウル時事】囲碁で世界最強といわれる韓国人棋士、李セドル九段と、米グーグル社傘下企業が開発した囲碁ソフト「アルファ碁」との対局が9日午後、ソウル市内のホテルで行われ、アルファ碁が5番勝負の第1局を制した。

 接戦となったが、白番のアルファ碁が186手で中押し勝ちした。

 初対局を終えた李九段は記者会見で、「負けると思っていなかったので、驚いた」と衝撃を隠せない様子。「こんなに完璧な囲碁を打つとは思わなかった」と語り、アルファ碁の開発担当者に敬意を表した。

囲碁決戦、初戦は人工知能が勝つ 韓国内「衝撃の敗北」
朝日新聞 2016年3月9日20時10分

 ディープマインド社によると、平均の手数が20程度のチェスに比べ、囲碁は200以上。アルファ碁の場合、対局時に全ての手を検討するのではなく、過去の10万以上の棋譜を入力して自己学習を繰り返して強くなった

 李九段は対局後の記者会見で笑顔を見せ、「本当に驚いた。最初の失敗が最後まで尾を引いた。プログラマーに深い敬意を表したい」と語った。「人間なら普通打たない手だった」とも語った。アルファ碁のプロジェクトリーダー、デイビッド・シルバー氏は「アルファ碁の限界を試す良い機会になった。大きな自負心を持つことができた」と話した。(ソウル)

 インターネットの番組で第1局の解説を担当した元名人の石田芳夫九段(二十四世本因坊秀芳)は中継終了後、「イ・セドル九段には普段と違う感情的な手が見られた。そして、はっきり優勢になってから乱れた。不完全燃焼の負け方だろう。アルファ碁は以前よりも実力がアップしている。形勢判断ができていて、勝負手をことごとく成功させた印象だ。でもまだ人間のトップが負けるのは早い」と話した。

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■人間にかなり迫ってきた証拠

 《コンピュータ囲碁フォーラム会長の松原仁・公立はこだて未来大教授の話》 アルファ碁は、過去の棋譜データを読み込み実力を高めることができる。短期間でかなりの学習を繰り返し、力をつけたのだろう。世界トップレベルに1戦でも勝ったということは、チェスや将棋に続き、人工知能にとってより難易度の高い囲碁でも人間のプロに追いついたということだ。この勝利は、人工知能が人間にかなり迫ってきたことを示す証拠となる。

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石田芳夫九段がいわれるように、李九段は感情的になったのでしょう。それと、アルファ碁の研究も怠っていたのではないでしょうか。これだけ強いAIソフトです。過去の棋譜を丁寧に勉強しておくべきです。そうすれば、その強さに驚くこともなかったはずです。

石田九段は「でもまだ人間のトップが負けるのは早い」とおっしゃいますが、どういう理由であれ、世界王者が負けたのは事実。謙虚に反省して対応しないと、この言葉が単なる負け惜しみに聞こえてしまいます。

ともあれ、今日が第2戦です。その後、12日、13日、15日と対戦が続きます。李九段が人間の意地を見せて、3連勝して五番勝負に勝ってくれることを願うしかありません。

なお、第1局は、次のYouTubeで日本棋院所属のマイケル・レドモンド九段による解説で観戦することができます。ただし、英語による解説です。英語勉強家にはよい素材です。

 https://www.youtube.com/watch?v=vFr3K2DORc8