昨日推薦した本を書いた著者の続編のような本ですが、著者は苗字が同じだけで(おそらく)親戚でもないようです。かつて朝鮮総連内部で働いていた人の暴露本であります。
いまから20年以上前、ゴウ先生は芝浦に住んでいた在日朝鮮人の高校生に英語の家庭教師をしていたことがあります。
実家は母上が焼肉屋を経営なさっていて、その焼肉屋の外観が故伊丹十三の大傑作『タンポポ』という映画で使われたことがありました。いまは大スターと拝み奉られている観のある渡辺謙が山崎努の舎弟(?)役で出てくるグルメ映画です。
ちょうどその時家庭教師に通っていましたから、彼から「先生に」と山崎努のサイン色紙を頂戴しました。ゴウ先生が山崎努ファンであることを彼はよく知っていたのです。残念なことに、アメリカに留学する時にその色紙はどこかに行ってしまいました。
いい思い出です。
しかし、この本を読むと、その裏側では在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)が、教え子家族を苦しめていたのだろうなと思い、胸が痛くなりました。
そう言えば、問わず語りに、18歳になるかならぬかの若者が、自分の未来のなさを暗い目つきで吐露したことを思い出します。
当時、そんなこととはつゆ知らず、「がんばれば大丈夫だって」とか無責任なことを言っていた気がします。そんな甘いものではないのに・・・。
この本は、朝鮮総連がどのように誕生し、在日朝鮮人を守るという理想が金日成の勝手なワガママから捻じ曲げられ、在日の人たちをどれだけ苦しめてきたかをきちんとした史料を提示しながら、語ります。
北朝鮮ワッチャーとして、値段の安い総連関連本はずいぶん読んだつもりでありましたが、これほど偏見に富んでなくて、それでいてきちんと総連のデタラメを弾劾している本は他に知りません。
何しろ、学術研究書のように、要所要所の引用ではきちんと注がつけられているほどです。安心して読める本としてお薦めできます。
とはいえ、著者の立場も微妙であります。
まず、朝鮮総連ないしはそれを操る現北朝鮮政府のあり方には憤懣やるかたない思いを持ってはいますが、そのことイコール親日派というわけにはいきません。著者のナショナリティはやはり「朝鮮」なのです。
それゆえ、彼の視点はあくまで在日朝鮮人としてのものであり、拉致被害の問題などに関する論述にはどこか筆の鈍りを感じます。もちろん、著者が総連を離れてしばらく経っているので、情報が手に入らないということがあるのかもしれませんが、どこか真実すべてを書きつくそうという意図そのものが欠けているように感じます。
次に、南との微妙な関係もそれほど深くは語られていません。総連と民団との関係がどのように歪んでいったのかはもっと知りたいところです。
とはいえ、この本には、近くて遠い国北朝鮮の実像を正確に知る手がかりは山と隠されています。ヒステリックにではなく、クールに読んでください。学べることは半端ではありません。
ゴウ先生ランキング:B+
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実家は母上が焼肉屋を経営なさっていて、その焼肉屋の外観が故伊丹十三の大傑作『タンポポ』という映画で使われたことがありました。いまは大スターと拝み奉られている観のある渡辺謙が山崎努の舎弟(?)役で出てくるグルメ映画です。
ちょうどその時家庭教師に通っていましたから、彼から「先生に」と山崎努のサイン色紙を頂戴しました。ゴウ先生が山崎努ファンであることを彼はよく知っていたのです。残念なことに、アメリカに留学する時にその色紙はどこかに行ってしまいました。
いい思い出です。
しかし、この本を読むと、その裏側では在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)が、教え子家族を苦しめていたのだろうなと思い、胸が痛くなりました。
そう言えば、問わず語りに、18歳になるかならぬかの若者が、自分の未来のなさを暗い目つきで吐露したことを思い出します。
当時、そんなこととはつゆ知らず、「がんばれば大丈夫だって」とか無責任なことを言っていた気がします。そんな甘いものではないのに・・・。
この本は、朝鮮総連がどのように誕生し、在日朝鮮人を守るという理想が金日成の勝手なワガママから捻じ曲げられ、在日の人たちをどれだけ苦しめてきたかをきちんとした史料を提示しながら、語ります。
北朝鮮ワッチャーとして、値段の安い総連関連本はずいぶん読んだつもりでありましたが、これほど偏見に富んでなくて、それでいてきちんと総連のデタラメを弾劾している本は他に知りません。
何しろ、学術研究書のように、要所要所の引用ではきちんと注がつけられているほどです。安心して読める本としてお薦めできます。
とはいえ、著者の立場も微妙であります。
まず、朝鮮総連ないしはそれを操る現北朝鮮政府のあり方には憤懣やるかたない思いを持ってはいますが、そのことイコール親日派というわけにはいきません。著者のナショナリティはやはり「朝鮮」なのです。
それゆえ、彼の視点はあくまで在日朝鮮人としてのものであり、拉致被害の問題などに関する論述にはどこか筆の鈍りを感じます。もちろん、著者が総連を離れてしばらく経っているので、情報が手に入らないということがあるのかもしれませんが、どこか真実すべてを書きつくそうという意図そのものが欠けているように感じます。
次に、南との微妙な関係もそれほど深くは語られていません。総連と民団との関係がどのように歪んでいったのかはもっと知りたいところです。
とはいえ、この本には、近くて遠い国北朝鮮の実像を正確に知る手がかりは山と隠されています。ヒステリックにではなく、クールに読んでください。学べることは半端ではありません。
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貪欲に、ガツガツと本を読んで勉強します。
身近な存在であるはずなのに、何も知らないというのは
恥ずべきことなので注文させていただきます。
ご紹介頂きまして誠にありがとうございます。注文させて頂きます。