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メディア・リテラシーを高めておかないと・・・

2006年01月03日 09時33分47秒 | 時事放談: マスコミ編
「アジアの民に配慮した外交を」と主張するマスコミには用心しなければなりません。いつも申し上げている通り、他にも重要なアジア諸国はたくさんあるにもかかわらず、中国に媚びへつらうこと=アジアに配慮した外交だと思っている節があるからです。

ゆえに、報道の裏を取る「メディア・リテラシー」を向上することが必要となるのです。

たとえば、今日の朝日新聞の記事。これだけ読むと、北京政府が、圧制的封建主義を脱して、より民主化しているような気がしてきます。しかし、はたして・・・。

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中国が農業税全廃 2600年続いた「年貢」の歴史に幕 (朝日新聞) - goo ニュース

2006年 1月 3日 (火) 03:03

 中国政府は1日、農業税を全廃した。貧富の格差を問題視する胡錦涛(フー・チンタオ)政権は農民の負担の軽減に乗り出し、すでに多くの地域で廃止を進めており、今年が仕上げの年となる。

 農業税は、貧しい農民でも必ず納付する義務がある「年貢」のような制度。公平を重視する中国税制の中でも、最大の矛盾とされてきた。中国各紙は「春秋時代以来2600年間続いた農民への課税に終止符」と報じて歓迎している。

 05年3月の全国人民代表大会で、08年で全廃としていた当初目標の06年への繰り上げを確認、昨年12月29日まで開かれた全人代常務委員会で正式に決めた。ただ、地方政府が財政収入の落ち込みを嫌ってひそかに別の名目で徴収したり、国からの補助が間に合わなくて行政活動の一部が滞ったりする事態も発生している、という。

 温家宝(ウェン・チアパオ)首相も「今回の撤廃は農民の負担軽減の第一歩。目標達成にはこれまで以上の努力が必要で道のりは長い」と認めている。

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このような記事を読んで、このゴウ先生すら、その長大な歴史に圧倒されて、「すごいなあ、中国は」と思ってしまいます。そして、それをいま改めようとしている共産党政府にも喝采を送ろうかと思ったり、変貌を遂げようとしている現政府によいイメージを持ってしまいかねません。

しかし、冷静に考えれば、疑問があれこれ。

まず、共産国家が生まれて50年以上も経つのに、なぜ農業税がいままで存続していたのか?当然、朝日はこの問いに答えてくれません。答えるとすると、中国共産党の暗部が見えてくることになるからでしょう。

第二に、なぜいま農業税撤廃なのか?この記事だと、温家宝の言葉を引用して、農民の負担軽減のためだと言っています。疑問です。

ゆえに、次の疑問です。本当にこの農業税撤廃は農民のためのものなのか?

朝日が中国共産党よりの論調を繰り返しているのは、周知の事実。悲しいけれど、騙されてはいかんぞ、とゴウ先生の本能が訴えてくるのです。

そこで裏を取るために、ちょっとだけgooニュースの過去記事を検索してみました。そうすると、2番目と3番目の答がたちどころに出てきました。

やはり、朝日が言うようには、共産党政府が自国の農民のことを慮ってのことではないようです。

まず、2番目の問いに対して、ロイターが答えてくれています。

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中国が農業税撤廃を承認、農家の不満解消を狙う (ロイター) - goo ニュース

2005年12月29日 (木) 18:41

 [北京 29日 ロイター] 新華社によると、中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は29日、農業税の撤廃を承認した。

 農家の所得を増やし、貧富の格差是正や社会不安の解消につなげたい考え。

 今年の農業税の税収はわずか15億元(1億8600万ドル)で、昨年の税収全体の1%にすぎない。

 農業税は1958年に導入されたが、収入額や作付けの有無とは無関係に農家から徴税され、不公平な税制との声が多かった。

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つまり、いま中国の各地で共産党政治に反対して勃発している農民一揆を押さえ込むために、政府は「年貢」をなくそうとしているのです。言い換えれば、それだけ中国の内部には現状への不満がたまっているということなのです。

ロイターが書けるのに、どうして朝日はこのことを日本国民に伝えないのでしょう?

次に第3の疑問「農業税は効果的なのか?」に対しては、共同通信がはっきりと否定的見解を載せています。

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農民課税撤廃へ 中国、負担減は限定的 (共同通信) - goo ニュース

2005年12月25日 (日) 17:09

 【北京25日共同】中国全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は29日に、農業税条例の廃止案を採択する。国営新華社通信は、中国の歴代王朝などが続けてきた農民への課税が初めて撤廃されると意義を強調したが、農民の負担軽減は限定的とみられる。

胡錦濤指導部は昨年、農民が抱える多くの負担の一つだった農業税の撤廃を決定。既に全国31の省、直轄市、自治区のうち28が徴収をやめている。

新華社は、負担軽減は年間で計約500億元(約7500億円)に上り「約8億人が利益を得る」と強調。しかし、農民1人当たりの負担減は約62元(約930円)にすぎない。

中華人民共和国の建国翌年の1950年当時、農業税は歳入の39%を占めたが、昨年は1%にまで減少。新華社も「廃止に伴う歳入への影響はわずか」と指摘しており、農民の負担減の効果も限定的との見方が主流だ。

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こういう先発の記事がある中で、農業税撤廃は中国共産党の大英断であるかのように朝日がのうのうと紹介するのが、ゴウ先生には到底理解できません。

早く撤廃しておけばよかったものを、いままで放置していた共産党政府の責任を追及ぐらいするべきなのです。

このように、朝日の独りよがりの解釈には、気をつけなければならないことが多々あります。

たとえば、「武士道をどう生かす 2006謹賀新年」と題された元日の社説。

中国・南北朝鮮にペコペコするべきであるという、いつもの朝日の主張を、藤原正彦先生の『国家の品格』を引き合いに出して根拠付けようとしています。

しかし、こんなことをされては、藤原先生もびっくりされたはずです。中国に引きずられるなとはっきり書いてらっしゃる本だからです。

朝日の論説委員は、どこを読んでいるのでしょうか。

ともあれ、われわれ国民はマスコミのさりげない言葉の圧力を正当に評価するために、メディア・リテラシーを高めておかなければなりません。そうしないと、とんでもない誤解をし続けることになるからです。

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1 コメント

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メディア・リタラシーを高めます (TAGO)
2006-01-07 14:49:39
記事をご紹介いただき、ありがとうございます。



相変わらずの朝日新聞のやり方に、うんざり致します。ロイターと共同通信の記事を読んでみると、いかに朝日新聞の論調が歪んでいる事がわかります。メディア・リタラシーを高める事が重要であると痛感いたします。



また、最後の朝日新聞の社説に『国家の品格』があのような引用をされているとは、驚いて言葉もありません。
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