離煙中の舘ひろし氏が、離煙のすばらしさを語ってくれています。
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人生は夕方から楽しくなる:舘ひろしさん 禁煙果たして、「格好いい」男に
2010年2月 1日 (毎日新聞)
◇硬派もコミカルな中年役も
重い扉がパッと開いて、舘ひろしさんは現れた。おなりと言い直した方が適切か。都心の高級ホテルが、この人にはよく似合う。181センチの身の丈にスラッとした体形。還暦を目前にしてなお、フェロモンぷんぷんである。傍らには、撮影の準備にスタイリストとメークさんを供にして......。男が見ても格好いい!
最近は、女子高生の父親やコミカルな中年サラリーマンの役もこなす。植え付けられた「硬派」のイメージを、少しずつだが変え始めているようだ。
とはいえ、思い出すのは故・石原裕次郎さんが率いた石原プロモーション(石原軍団)の「西部警察」か、あるいは柴田恭兵さんとの名コンビで知られる「あぶない刑事」のシリーズなんだなあ。
凶悪犯をやっつけて、白い歯を見せニヤリと笑う。自ら労をねぎらうようにライターをカチッと鳴らし、たばこに火をつける。そしてフーッと煙を吐く様の、何と決まっていたことか。
ところで、愛用している銘柄って何ですか?
「あ、僕ね、やめたんだ。21日からだったかな」
......絶句である。いかに虚像とはいえ、西部警察の鳩村英次刑事はどこへ消えたのか。でも、なぜ急に――。
「うーん、初めて吸った時はハンフリー・ボガート気取りだったんだけどさ。でも、格好悪いよね、今どきたばこなんて」
好きなことには、とことん集中する舘さん。半面、乗り気でないことには、熱が入らない。明治期から続く開業医の家に生まれた。高校は地元で屈指の進学校に進んだが、3年間はラグビーに明け暮れた。1浪して臨んだ医学部の入試にも失敗し、工学部に籍を置く。高名な建築家になって世界を駆け巡ろうと思い、構造力学、図面引きでは教授の高い評価を獲得した。だが、他の授業はつまらなかった。いつしか東京・原宿あたりで暴走族になっていた。
「僕っていつも、目の前の楽しみに心がいっちゃうんだよね。刹那(せつな)主義というか、快楽主義というのか、根性や我慢ってのは嫌なんだよ」
当時20万円もする中古のオートバイを手に入れるため、教科書を買うと親にかたって無心した。大学だけは卒業してほしいとの願いも裏切った。「本当に駄目な男だね」
それでもワルに成り切らなかったのは、家族への感謝と負い目、そして何より、強い尊敬の念があったからかもしれない。真にいちずに教育熱心で、勉強机に欠かさず花一輪を飾ってくれた母のため、性根を入れ替えようと32歳で石原プロに就職した。同僚は「太陽のような明るい愛情を注がれて育った青年だな」との印象を持ったという。
ところが「目の前の楽しみ」は捨てきれない。私生活では1日4箱たばこを吸った。ゴルフをすればドライバーを打って1本。パターを入れてまた1本。
「ゴホゴホッて、すごくてね。撮影中も、僕のせきが止まるのを皆が待っている。申し訳ないよね。夜中にだってせきはするし、たんも出る。吸わない人には分からない。前からやめたいと思っていたんです」
3カ月間ほど、禁煙したこともある。しかし、ドラマで「吸ってくれ」と監督に依頼されたのがきっかけで、再び手を出した。「1日10本って決めたのに、11本目になると『もういいや』って。意志が弱くて、貫けない。飛行機の旅もつらくて海外にも行かなくなった。依存症だね。半分、病気なんですよ」
そんな折、医師と相談しつつ禁煙できる飲み薬があると勧める人がいた。「ニコチンも含まないっていうし、これで、やっと『格好いい』男になれるよね。エレベーターの狭い空間で、服に染み付いたにおいで不快感を与えることもなくなるし。吸える場所を探したり、吸えない場所から追われる恐怖心からも自由になれる」
きっぱりやめて、自分を褒めたいと思っている。【根本太一】
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6年前にたばこと縁を切ったゴウ先生です。ここで述べられている舘氏の言葉にはうなずくことばかり。特に、太字にした部分は、そうです。
離煙して分かる、喫煙の愚かさ。スモーカーの皆さん、「格好いい」ひとになりましょう。
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人生は夕方から楽しくなる:舘ひろしさん 禁煙果たして、「格好いい」男に
2010年2月 1日 (毎日新聞)
◇硬派もコミカルな中年役も
重い扉がパッと開いて、舘ひろしさんは現れた。おなりと言い直した方が適切か。都心の高級ホテルが、この人にはよく似合う。181センチの身の丈にスラッとした体形。還暦を目前にしてなお、フェロモンぷんぷんである。傍らには、撮影の準備にスタイリストとメークさんを供にして......。男が見ても格好いい!
最近は、女子高生の父親やコミカルな中年サラリーマンの役もこなす。植え付けられた「硬派」のイメージを、少しずつだが変え始めているようだ。
とはいえ、思い出すのは故・石原裕次郎さんが率いた石原プロモーション(石原軍団)の「西部警察」か、あるいは柴田恭兵さんとの名コンビで知られる「あぶない刑事」のシリーズなんだなあ。
凶悪犯をやっつけて、白い歯を見せニヤリと笑う。自ら労をねぎらうようにライターをカチッと鳴らし、たばこに火をつける。そしてフーッと煙を吐く様の、何と決まっていたことか。
ところで、愛用している銘柄って何ですか?
「あ、僕ね、やめたんだ。21日からだったかな」
......絶句である。いかに虚像とはいえ、西部警察の鳩村英次刑事はどこへ消えたのか。でも、なぜ急に――。
「うーん、初めて吸った時はハンフリー・ボガート気取りだったんだけどさ。でも、格好悪いよね、今どきたばこなんて」
好きなことには、とことん集中する舘さん。半面、乗り気でないことには、熱が入らない。明治期から続く開業医の家に生まれた。高校は地元で屈指の進学校に進んだが、3年間はラグビーに明け暮れた。1浪して臨んだ医学部の入試にも失敗し、工学部に籍を置く。高名な建築家になって世界を駆け巡ろうと思い、構造力学、図面引きでは教授の高い評価を獲得した。だが、他の授業はつまらなかった。いつしか東京・原宿あたりで暴走族になっていた。
「僕っていつも、目の前の楽しみに心がいっちゃうんだよね。刹那(せつな)主義というか、快楽主義というのか、根性や我慢ってのは嫌なんだよ」
当時20万円もする中古のオートバイを手に入れるため、教科書を買うと親にかたって無心した。大学だけは卒業してほしいとの願いも裏切った。「本当に駄目な男だね」
それでもワルに成り切らなかったのは、家族への感謝と負い目、そして何より、強い尊敬の念があったからかもしれない。真にいちずに教育熱心で、勉強机に欠かさず花一輪を飾ってくれた母のため、性根を入れ替えようと32歳で石原プロに就職した。同僚は「太陽のような明るい愛情を注がれて育った青年だな」との印象を持ったという。
ところが「目の前の楽しみ」は捨てきれない。私生活では1日4箱たばこを吸った。ゴルフをすればドライバーを打って1本。パターを入れてまた1本。
「ゴホゴホッて、すごくてね。撮影中も、僕のせきが止まるのを皆が待っている。申し訳ないよね。夜中にだってせきはするし、たんも出る。吸わない人には分からない。前からやめたいと思っていたんです」
3カ月間ほど、禁煙したこともある。しかし、ドラマで「吸ってくれ」と監督に依頼されたのがきっかけで、再び手を出した。「1日10本って決めたのに、11本目になると『もういいや』って。意志が弱くて、貫けない。飛行機の旅もつらくて海外にも行かなくなった。依存症だね。半分、病気なんですよ」
そんな折、医師と相談しつつ禁煙できる飲み薬があると勧める人がいた。「ニコチンも含まないっていうし、これで、やっと『格好いい』男になれるよね。エレベーターの狭い空間で、服に染み付いたにおいで不快感を与えることもなくなるし。吸える場所を探したり、吸えない場所から追われる恐怖心からも自由になれる」
きっぱりやめて、自分を褒めたいと思っている。【根本太一】
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6年前にたばこと縁を切ったゴウ先生です。ここで述べられている舘氏の言葉にはうなずくことばかり。特に、太字にした部分は、そうです。
離煙して分かる、喫煙の愚かさ。スモーカーの皆さん、「格好いい」ひとになりましょう。
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