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コーチ・カーター

2005年08月11日 10時33分14秒 | 映画レビュー
この映画、一筋縄ではいきません。一般には実話に基づいた感動的なスポーツ青春映画だと解釈されていることでしょう。しかし、そんな単純なものではありません。

何せジェダイ評議委員のサミュエル・L・ジャクソンがコーチ・カーターなのです。彼の元で鍛えられる選手は、パダワン(ジェダイ騎士団の弟子)として常にフォースと共にあるに決まっているのですから(?)。

この程度のジョークを言いたくなるくらいに、ここに登場するカリフォルニア州リッチモンド高校バスケットボール部は、日本人としてのゴウ先生の常識をはるかに超えていました。この映画で泣けて泣けてという日本人がいても不思議ではありませんが、ゴウ先生は泣けません。

なぜ泣けなかったのか。にわかに映画に描かれるそのリアリティを信じられなかったからです。その理由は3つほどあるようです。

まず第一に、ケン・カーター(ジャクソン)が凄すぎます。全編、ウソだろうと突っ込みたくなるくらい凄いです。

前年のシーズン4勝しか挙げられなかった不良少年チームを、たった4ヶ月でカリフォルニア州でトップを争えるところにまで変貌させるのです。そのために、カーターが課したのが、礼儀と勉強、そしてハードな練習です。そしてそれを選手たちにやり遂げさせるのです。すごいリーダーシップです。山口良治先生も、山下真司も、照英も、みんなびっくりです。これ、ウソじゃん、と思っても仕方ないではないですか。

しかし(!)、そう突っ込みたくなるのに、ギリギリのところでカーターがもつ超人的なフォース(?)が観客をそう思わせません。あの怖い顔をした大男のジャクソンが常にネクタイをきちんと締めて立ちふさがると、フィル・ジャクソン(NBA LAレイカーズ監督)もびっくりの迫力をもったコーチ・カーターなのであります。ウソを真に換えるジャクソンの演技力、これこそフォースと呼びたいほどです。

第二に、選手たち。素質があってタフすぎます。

コーチ・カーターは、普通の日本人高校生なら絶対にできないようなことを平気で要求します。一日500回から1000回の腕立て伏せ(pushup)!バスケットボール・コートを往復走り続ける自殺ダッシュ(suicide)を50本、80本!!まさしく星一徹以外の何ものでもありません。

ところが、それまでは満足にそのような基礎体力トレーニングをやってこなかった選手たちが、数週間でやりこなせるようになってくるのです。コーチも凄いが、選手も凄すぎます。みんな星飛遊馬です。

しかも、この選手たち、高校生なのにスラム・ダンクをガンガン決めていきます。これでは能代工業など赤子の腕をひねるように負けるのではないでしょうか。高校卒業後、大学で活躍した選手がいたというのも頷けます。とにかく、日本人の規格から外れすぎたパダワンばかりなのであります。

そして最後に、規格外れの選手たちの日常生活。30年近く前に平和な日本のど田舎で平和な高校生活を送ったオジサンにはのけぞることばかりです。ガール・フレンドの妊娠に悩む選手など可愛いものです(こういう同級生、ゴウ先生の時代にもいました)。乱交パーティーに参加する選手たち。麻薬の売人として働く選手。目の前で知り合いを銃で殺される選手。すべてが規格外れなのです。これでは衝撃を受けても、泣くことなんかできません。唖然とするだけです。

しかし、映画はそんなキズをものともせず進んでいきます。ゴウ先生がいま高校生としてこの映画を見たならば、見たその日からアメリカへ留学することを考えることでしょう。INDECにきてTOEFLの勉強を始めることでしょう(?)。ああ、あの熱い青春よもう一度!

とにかく、すべてが日本人の常識を超えた青春映画です。これを見ると『スクール・ウォーズ』なってチッチャイチッチャイ。『スター・ウォーズ』のリッチモンド版なのです。そのくらい、スケールの大きなドラマです。

しかも、ゴウ先生、途中時間の経過をほとんど気にしないほどでした。これはゴウ先生にとっては滅多にないことなのです。それだけ、テンポのよさとよい意味で観客を裏切り続ける卓越した脚本をもった映画であることを認めざるを得ません。

というわけで、泣けなくても、登場人物に共感できなくても、ゴウ先生ランキング:B+

自信をもって推薦できます。

そこで、特に東京近辺にお住みの方にお得情報です。新宿高島屋の12階にあるテアトルタイムズスクエアだと毎週水曜日は男性も女性も1000円で見られます。活用しない手はありません。かく言うゴウ先生も昨日の水曜に見てきました。

しかも、この映画館、スクリーンも大きいですし、サラウンドは本当に回ります。以前、『パッション』を見たときにも驚きましたが、今回も包み込む映像と音響がバスケットボールの試合の臨場感を高めてくれ、のけぞりっぱなしでした。東京でイチオシの映画館です。それが水曜だと1000円ですから、利用しない手はありません。

ただし、今回の『コーチ・カーター』の映像は、若干フォーカスが甘くて、最前列で見たゴウ先生には粒子が粗すぎでした。よりよい状態で楽しみたい方は、早めに整理券を取って後の席を確保することをお薦めします。スクリーンが大きい(8.5m×16m)ので、それでもすごい迫力のはずです。

帰り、白人のアメリカ人らしい父と息子が語っているのを小耳にしました(もちろん、英語で!)。息子は、しきりにあんなことできんのかなとドラマの展開を疑っていますし、親父はできるんだよと説得していました。そのやり取りが面白かったです。息子はきっと映画の中の黒人選手たちに嫉妬しているんでしょうね。コーチ・カーターを求めているんでしょうね。ともあれ、白人がほとんど出てこない映画で、これほど面白かったアメリカ映画は初めてな気がします。

さらに、CGをほとんど使わず実写でやっても、『スター・ウォーズ』ができることを証明したこの作品、バスケ小僧だけでなく、多くの人に見てもらいたい映画です。
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3 コメント

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最高でした! (Celtic)
2005-08-13 11:14:11
本当に面白い映画でした。きっと、もう1回位は観に行ってしまうような気がしております。



小学校から大学を卒業するまでずっとバスケットを続けきましたが、あれ程情熱のあるコーチに出会った事はありませんでした。



映画を見ていて、「コーチカーターに習いたかった」とつくづく感じました。あれ程ハードな練習だと途中で根を上げてしまったかもしれませんが・・・



また、彼らのバスケットのスキルにも驚かされると同時に、アメリカの底力を改めて感じました。日本代表を連れてきても、本作品で繰り広げられるレベルのプレイは出来ないと思われます。それほど凄かったです。



日曜日のクラス終了後、先生に本作品が公開されている事を教えて頂き、テアトルタイムズスクエアに行ってまいりました。



運良く40番台の整理券をもらう事ができ、中段あたりで観ることが出来まして、先生のおっしゃるとおり、素晴らしい環境で楽しむ事ができました。ご紹介頂き、誠にありがとうございました。
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ご紹介いただきありがとうございます。 (Raglan)
2005-08-13 12:15:52
先生の記事を読んでいるだけで期待感があふれてきました。さっそくこの映画を鑑賞してこようと思います。(少しでも先生のような文章が書ければよいのですが、、、)



水曜に、というのは厳しそうですが、さっそくテアトルタイムズスクエアに行ってみます。先生がイチオシとおっしゃると言うことは相当すごそうですね。
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すごそうですね (@板橋)
2005-08-31 00:51:47
なんかものすごくパワーがありそうな映画なんですね。CGなしでスターウォーズを実現している映画と聞いただけで、どんな作品か知りたくなりました。
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