プーチン大統領が嫌煙主義者であることが大きな要素ではありましょうが、立派な試みです。
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禁煙策強化の「喫煙大国」ロシア
モスクワ支局 田村雄
「喫煙大国」のロシアで、国による厳しい禁煙策が進められている。
ロシアでは歩きたばこに顔をしかめる人はまれだ。公共トイレで悠然と煙をくゆらせて談笑する人たちの姿を見かけることも少なくない。たばこの値段も安く、20本入り1箱が約30ルーブル(約90円)から買える。
喫煙率も高い。世界保健機関(WHO)が2009年に行った調査によると約4割。男性に絞れば半数以上の約6割が喫煙者だ。ロシアの消費者権利保護・福利監督庁は「世界で最も高い数字だ」と指摘する。
人口減少に歯止めをかける狙い
そんなロシアで今年、喫煙を規制する法律が強化され始めた。6月1日には「禁煙区域」が拡大され、以前から禁止されていた学校や大学、劇場などの文化・スポーツ施設や病院に加え、新たに子供の遊び場や公園、駅、空港、バスなどの停留所でも15メートル以上離れなければたばこは吸えなくなった。さらに11月15日からは、違反者に罰金が科されることになった。罰金は500ルーブル(約1500円)以上。テレビや街頭でたばこの宣伝をすることも禁止された。
今回の一連の規制強化は、ソ連崩壊後の新生ロシアで最も厳しいものと言える。狙いは、ロシアが抱える人口減少に歯止めをかけることにある。
喫煙で年間35万人以上が死亡
国際通貨基金(IMF)の調査によると、ロシアの男性の平均寿命は、途上国のミャンマーやガーナと同じ63歳。プーチン大統領は昨年12月、国の優先課題について述べる教書演説で、「喫煙、過度な飲酒、麻薬で毎年数十万人の命が奪われている」と力を込めて改善を叫んだ。
ロシアでは、喫煙が原因とみられる死亡者数は年間35~50万人とされる。ロシア保健省は、禁煙法の強化で「喫煙率は4~5割、たばこ関連の疾病による死者は年間15~20万人減る」との考えだ。
こうした動きを市民が支持しているのは確かだ。ロシアの主要世論調査機関「世論調査基金」のアンケートによると、規制強化を支持する人は約8割。街で人々に聞いてみても「やるべきだ」「正しい政策だ」との意見は多い。
「罰金を取るための違反切符がない」
しかし、今も駅構内や出入り口で煙をくゆらす光景はなくなっていない。モスクワのキエフ駅ホームでたばこを吸っていた女子大学生(20)は「どうせ罰金なんて取られない。禁止されているはずの大学でもみんな吸っている」と法律を守る意識は低い。
確かに、禁止されているはずの場所で喫煙者が取り締まられている様子を見かけたことがない。それもそのはずだ。ある警察官は、罰金の導入から半月後、「罰金を取るための違反切符がなく、いつ出来るのかも知らされていない」と話した。禁煙法に対する不信感もある。喫煙歴30年の男性会社員(46)は「駅から15メートル以内は吸えないと言ってもあいまい。そこで罰金を払えと言われても信用できない。吸いたいところで吸うね」と一蹴した。
禁煙法は今後さらに強化へ
禁煙法は今後、さらに強化されることがすでに決まっている。来年6月からは喫煙が禁止される場所がレストランやバー、ホテル、シベリア鉄道、商業施設などにも広げられる。客の8~9割が喫煙者というバーの責任者(28)はこう言う。「規制が極端だ。吸える店にするか否かは経営者が決めるべきだ」
せっかくの禁煙法強化だが、肝心の運用と、喫煙者ら規制対象となる人々の理解は不十分なようだ。
(2013年12月9日 読売新聞)
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運用がうまくいっていないと批判されていますが、それでも立派な試みです。日本も見習うべきです。それができないのは、タバコ権益にしがみつく政治屋の怠慢のせいです。どうにかしないと。
日本が、離煙先進国になるのはいつの日か。お寒い現状です。
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