英語の実力を高めるために映画を活用するとして、どのような作品を見ればよいのでしょうか。
ゴウ先生の答は、手前味噌になりますが、「INDECの表と裏のブログに紹介している映画を、洋画・邦画問わず、見てください」というものです。
確かに、INDECのブログでは、高倉健主演映画を始め、『男たちの大和/YAMATO』などの邦画をドンドン紹介しています。しかし、それは一つの狙いがあってのことです。
英語のリスニングやスピーキングのテクストとして映画を活用するつもりならば、きれいな英語で綴られる会話がぎっしりの英米製作の映画が一番でしょう。画面を注目することで、その他の周辺知識も入手できます。
しかし、TOEFLやGMATで要求される英語による自由作文を十全とこなし、将来海外においてもしくは海外に向けて自由に自分の思想信条を表現したいとなれば、話は変わります。
きれいな英語を使えるだけではダメです。相手を納得させられる内容が必要なのです。
特に日本人として、日本の歴史・文化に疎いというのでは、外国の方に胸を張れません。
ゆえに、INDECでは、映画であれ本であれ、日本の歴史・文化を映し出している名作をどんどん紹介・推奨しているのです。
その一環として、黒澤明作品を特集した定期上映会を開いたこともあります(これからも開いていく予定です)。世界で一番知られている日本の映画作家であるのに、いまの若者のほとんどが黒澤の名前すらよく知らない惨状です。これでは、世界の知識人と伍して戦えるパワー・エリートが日本から輩出されるはずがありません。その点、INDECの務めは大きいと勝手に考えております。
かく言うゴウ先生も、26歳でアメリカに留学する前、日本の名画をほとんど見ていませんでした。映画を好きだと言うくせに、黒澤も小津安二郎も溝口健二も成瀬巳喜男も知らなかったのです。第一、健さんが好きだと言っているくせに、健さんの東映での任侠映画もほとんど見ていないテイタラクでした。
そんなゴウ先生、アメリカである時アメリカ人の大学院生から、黒澤映画と小津映画について質問されて、返答に窮してしまいました。見ていないのですから、当然です。恥ずかしくて、恥ずかしくて。悔しい思いだけが残りました。
それ以来、ゴウ先生、ビデオを借りて見まくりました(DVDが登場するはるか以前の神話の時代です)。すると驚いたのは、黒澤・小津・溝口に関しては、アメリカでもVHSが簡単に入手できることと、そうした映画の人気がすごいことでした。
確かに、ゴウ先生が住んでいたのは、大学町でしたから、特別だったのかもしれません。インテリたちの多くが日本映画に注目していた町でしたから。
しかし、それ以上に、彼らは邦画の面白さを知っていたのだと思います。実際、ゴウ先生も見始めたら、面白いのなんの。『七人の侍』であれ、『東京物語』であれ、『雨月物語』であれ、天才の仕事ぶりにため息をつくしかありません。
そうなれば、凝り性のゴウ先生。ビデオを見るだけでは飽きたらず、アイオワ大学の中央図書館から日本の映画に関する研究書を(和書・洋書問わず)借り出しては、読みまくったものです。何せ地方州立大学とはいえ、300万以上の蔵書を誇る図書館。日本で出版されている主だった研究書も読めたのです。
その時思いました。こんな素晴らしいものを知らなかった自分は、日本人として恥ずかしい!と。
先人たちの偉大なる業績をきちんと評価せずして、日本を代表しているという顔をされても困るのです。
もちろん、上述した、評価がすでに固まっている名作だけを見ているのも、人間として器の小さい話です。現在進行形で生まれている名作候補に狙いをつけるのも同時に行うべきです。しかも、それが日本の歴史や文化、そして人生を教えてくれるものならば、一石三鳥。英語塾INDECの表・裏ブログで紹介する所以です。
その意味で、『男たちの大和』も『パッチギ!』も『ALWAYS 三丁目の夕日』も日本の戦中・戦後の歴史を語り継いでくれる力作でした。それらを見ることによって、特攻の問題も、在日朝鮮人の問題も、日本の高度経済成長というものも肌で理解できるようになるでしょうし、21世紀の現在日本が抱える問題点も理解しやすくなったことでしょう。
そして、こうしたことを知っていると、留学準備にも直接役立つこともよくあるのです。
この日曜、INDECのクラスで「人々の平均寿命が延びた原因を説明せよ」というTOEFLのTWEの問題を指導しました。その際、会員諸君の戦後史に対する造詣の浅さにいつものこととはいえ、失望させられました。
なるほど、平均寿命が延びたのは、多くの会員が指摘したように、医療技術の進歩や食料事情の大幅な改善、衛生意識の高まりなどが挙げられます。
しかし、そこで、ゴウ先生はもう一歩突っ込んでもらいたかったのです。どうしてそういうことが可能になったのか、と。ところが、その答がありません。
言うまでもなく、世界中で(一部の共産主義国家を除き)生命や人権の尊重が高まり、第二次世界大戦のような大規模で悲惨な戦争がなくなり、より良い生活環境を求めるようになったからです。
どうしてその程度の回答が出てこないのでしょう。『男たちの大和』でもいい、『パッチギ!』でもいい。あの頃の日本人がどのような思いでこの60年を生きてきたかを映画を通じて見ていれば、上の答など簡単に出せたことでしょう。
にもかかわらず、たかだかこの60年程度の時代を総括できないのです。生まれた時から平和で便利な日本で暮らしているわれわれは、いつしかそうした平和や便利さが当たり前のものだと思い、このすばらしい生活を当然のものだと思い込んでしまっているのです。
ゆえに、われわれは、歴史の中に身を置く日本人として、未来の生活をより良きものにするためにも、近過去を総括する必要があるはずなのです。そのために、映画を利用するのは、実に合理的な手段です。
英語を勉強しているのだから、アメリカの映画しか見ない。そういう時期があっても悪くはありません。
しかし、日本人として世界の舞台に立ちたいのならば、それだけでは物足りません。邦画から得られるエッセンスがどれだけ武器として世界で役立ちうるか、思いを馳せてもらいたいものです。留学やその後のビジネスにおいて成功したいと思うならば、積極的に邦画を見てもらいたいと思うのです。
日本の映画を、英語の映画とあわせて、どんどん見てください。必ず良いことがありますから。
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裏ブログでは、本日成瀬巳喜男の名作『浮雲』を紹介した文章を掲載しております。どうぞご一読ください!→こちらをクリックしてください。リンクします!
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ゴウ先生の答は、手前味噌になりますが、「INDECの表と裏のブログに紹介している映画を、洋画・邦画問わず、見てください」というものです。
確かに、INDECのブログでは、高倉健主演映画を始め、『男たちの大和/YAMATO』などの邦画をドンドン紹介しています。しかし、それは一つの狙いがあってのことです。
英語のリスニングやスピーキングのテクストとして映画を活用するつもりならば、きれいな英語で綴られる会話がぎっしりの英米製作の映画が一番でしょう。画面を注目することで、その他の周辺知識も入手できます。
しかし、TOEFLやGMATで要求される英語による自由作文を十全とこなし、将来海外においてもしくは海外に向けて自由に自分の思想信条を表現したいとなれば、話は変わります。
きれいな英語を使えるだけではダメです。相手を納得させられる内容が必要なのです。
特に日本人として、日本の歴史・文化に疎いというのでは、外国の方に胸を張れません。
ゆえに、INDECでは、映画であれ本であれ、日本の歴史・文化を映し出している名作をどんどん紹介・推奨しているのです。
その一環として、黒澤明作品を特集した定期上映会を開いたこともあります(これからも開いていく予定です)。世界で一番知られている日本の映画作家であるのに、いまの若者のほとんどが黒澤の名前すらよく知らない惨状です。これでは、世界の知識人と伍して戦えるパワー・エリートが日本から輩出されるはずがありません。その点、INDECの務めは大きいと勝手に考えております。
かく言うゴウ先生も、26歳でアメリカに留学する前、日本の名画をほとんど見ていませんでした。映画を好きだと言うくせに、黒澤も小津安二郎も溝口健二も成瀬巳喜男も知らなかったのです。第一、健さんが好きだと言っているくせに、健さんの東映での任侠映画もほとんど見ていないテイタラクでした。
そんなゴウ先生、アメリカである時アメリカ人の大学院生から、黒澤映画と小津映画について質問されて、返答に窮してしまいました。見ていないのですから、当然です。恥ずかしくて、恥ずかしくて。悔しい思いだけが残りました。
それ以来、ゴウ先生、ビデオを借りて見まくりました(DVDが登場するはるか以前の神話の時代です)。すると驚いたのは、黒澤・小津・溝口に関しては、アメリカでもVHSが簡単に入手できることと、そうした映画の人気がすごいことでした。
確かに、ゴウ先生が住んでいたのは、大学町でしたから、特別だったのかもしれません。インテリたちの多くが日本映画に注目していた町でしたから。
しかし、それ以上に、彼らは邦画の面白さを知っていたのだと思います。実際、ゴウ先生も見始めたら、面白いのなんの。『七人の侍』であれ、『東京物語』であれ、『雨月物語』であれ、天才の仕事ぶりにため息をつくしかありません。
そうなれば、凝り性のゴウ先生。ビデオを見るだけでは飽きたらず、アイオワ大学の中央図書館から日本の映画に関する研究書を(和書・洋書問わず)借り出しては、読みまくったものです。何せ地方州立大学とはいえ、300万以上の蔵書を誇る図書館。日本で出版されている主だった研究書も読めたのです。
その時思いました。こんな素晴らしいものを知らなかった自分は、日本人として恥ずかしい!と。
先人たちの偉大なる業績をきちんと評価せずして、日本を代表しているという顔をされても困るのです。
もちろん、上述した、評価がすでに固まっている名作だけを見ているのも、人間として器の小さい話です。現在進行形で生まれている名作候補に狙いをつけるのも同時に行うべきです。しかも、それが日本の歴史や文化、そして人生を教えてくれるものならば、一石三鳥。英語塾INDECの表・裏ブログで紹介する所以です。
その意味で、『男たちの大和』も『パッチギ!』も『ALWAYS 三丁目の夕日』も日本の戦中・戦後の歴史を語り継いでくれる力作でした。それらを見ることによって、特攻の問題も、在日朝鮮人の問題も、日本の高度経済成長というものも肌で理解できるようになるでしょうし、21世紀の現在日本が抱える問題点も理解しやすくなったことでしょう。
そして、こうしたことを知っていると、留学準備にも直接役立つこともよくあるのです。
この日曜、INDECのクラスで「人々の平均寿命が延びた原因を説明せよ」というTOEFLのTWEの問題を指導しました。その際、会員諸君の戦後史に対する造詣の浅さにいつものこととはいえ、失望させられました。
なるほど、平均寿命が延びたのは、多くの会員が指摘したように、医療技術の進歩や食料事情の大幅な改善、衛生意識の高まりなどが挙げられます。
しかし、そこで、ゴウ先生はもう一歩突っ込んでもらいたかったのです。どうしてそういうことが可能になったのか、と。ところが、その答がありません。
言うまでもなく、世界中で(一部の共産主義国家を除き)生命や人権の尊重が高まり、第二次世界大戦のような大規模で悲惨な戦争がなくなり、より良い生活環境を求めるようになったからです。
どうしてその程度の回答が出てこないのでしょう。『男たちの大和』でもいい、『パッチギ!』でもいい。あの頃の日本人がどのような思いでこの60年を生きてきたかを映画を通じて見ていれば、上の答など簡単に出せたことでしょう。
にもかかわらず、たかだかこの60年程度の時代を総括できないのです。生まれた時から平和で便利な日本で暮らしているわれわれは、いつしかそうした平和や便利さが当たり前のものだと思い、このすばらしい生活を当然のものだと思い込んでしまっているのです。
ゆえに、われわれは、歴史の中に身を置く日本人として、未来の生活をより良きものにするためにも、近過去を総括する必要があるはずなのです。そのために、映画を利用するのは、実に合理的な手段です。
英語を勉強しているのだから、アメリカの映画しか見ない。そういう時期があっても悪くはありません。
しかし、日本人として世界の舞台に立ちたいのならば、それだけでは物足りません。邦画から得られるエッセンスがどれだけ武器として世界で役立ちうるか、思いを馳せてもらいたいものです。留学やその後のビジネスにおいて成功したいと思うならば、積極的に邦画を見てもらいたいと思うのです。
日本の映画を、英語の映画とあわせて、どんどん見てください。必ず良いことがありますから。
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正直、何から勉強すれば良いのか、本屋に行っても図書館に行っても本棚の前でただただ佇んでしまいます。
ブログでご紹介いただいた映画を片っ端から鑑賞させていただこうと思います。『七人の侍』も早速購入させていただきました。
世界の舞台に立つために、積極的にブログを活用させていただきます。今後ともよろしくお願いします。
先生のおっしゃるとおり、日本人として、自国の文化、歴史等を積極的に学び、世界で戦う為に、誇れる知性を持ち合わせなければなりません。
以前、黒澤明監督の特集をやって頂いた時に、初めて監督の作品を観ました。驚きました。名前は知ってはいたものの、ここまで素晴らしいとは、思っていなかったです。今思えば、恥ずかしい事でありました。
しかし、いまだ持って、小津安二郎監督、溝口健二監督そして成瀬巳喜男監督の作品は観た事がありません。
いつかGump Theatreの大画面で、先人達の偉業を自分の目で見てみたいと思っております。何卒宜しくお願い致します。
邦画を初め、日本の事を積極的に学び続けてまいりますので、今後とも御指導の程宜しくお願い致します。