ファーストリテーリング社の柳井社長による2年前の発言ですが、いまでもまったく古びていません。記録しておきましょう。
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柳井 正「本気を出すとはどういうことか」【1】(プレジデントオンライン) - goo ニュース
2013年2月4日(月)12:20
PRESIDENT 2011年1月17日号 掲載
英語の社内公用語化、店長・管理職全員が海外勤務へ。日本一先進的な経営者が、読者の身近な「悩み」に答えてくれた――。
Q ボク、英語がしゃべれません。もう会社はクビでしょうか?(35歳・男・メーカー)
相談されたあなたの勤めている会社がどれだけ英会話のスキルを必要としているかはわかりませんので、英語ができないからクビになるかどうかは判断できませんが、これだけは言えます。
も はや日本はビジネスに適した場所ではなくなっているのです。これは極論かもしれませんが、国内市場は、確実に縮小し、少なくともビジネスチャンスは減って いく。そのような現実の中で果たして、日本語だけで勝負しようという人が活躍できるフィールドがあるのかどうか、ということです――。
特に若い人は、英語でビジネスのコミュニケーションができない人は生き残っていけなくなるでしょう。
ですから、英語は必要最低限のビジネススキルとなってくるでしょう。クビになる、ならない以前に、英語ができないとどこも雇ってくれないという日は、そう遠くないのかもしれません。
しかし、それ以上に気になるのは、英語が話せないために、国際化された市場で、外国人と一緒に仕事をするとき、日本人が萎縮してしまうことです。
僕は経営の原理原則的なことに関しては、日本でも、アメリカでも中国でもどこでも一緒だと思っています。人間同士がお互いの利益を目指して競い合ったり、一緒に仕事をすることに関して、国籍による大きな違いがあるはずはありません。
日本人同士だと、言わなくても通じてしまうけど、いつもそんな環境に甘んじているから、いつまでたってもコミュニケーション能力が身につかないのです。日本人のビジネスパーソンに一番欠けている能力は、英語力というよりコミュニケーション能力だ、と思うのです。
外 国人相手だと、何か言わなきゃ通じません。それどころか言っても通じない相手には、同じことを何回言っても通じない(笑)。でもね、それでもコミュニケー ションしないと先には進まないんです。特に異文化の人と一緒に仕事をするうえでのコミュニケーションは大変重要なのに、日本人はこの“コミュニケーション する”という基本的な態度に欠けている。まずそれが問題です。
我々の会社の例だと、日本人が出向いて、外国で現地の人と店舗運営をする ――。すると日本人だけが残業しているというケースが結構あるんですね。僕は、こういうのは最悪だと思うんですよ。現地の人と仕事をしていくんだったら、 一緒に残業をやろうと伝えなければならない。きちんと経営者的な判断から残業の必要性を説明して、働くみんなに指示することができないとダメなんです。
ですから、まず英語がビジネスに必要かどうかを議論する前に、コミュニケーション能力を磨くことが重要です。効率が上がっていけば、今の日本のオフィスのように残業しなくてもよくなります。
「自分のことを全部理解してもらおう」、そして「相手のことを全部理解しよう」と思わない限り、コミュニケーションなどできません。そういう態度が日本人には欠けているという現実を踏まえておく必要があるのです。
相 談者の方にお伝えしたいことは、英語が話せるようになることも重要ですが、自分の考えをまず、相手に理解してもらえるようなコミュニケーション能力を向上 させることでしょう。英語ができれば、それにこしたことはありませんが、文法などは二の次でいいから、相手とコミュニケーションできることが大事だという ことを忘れないでほしいですね。
我々の会社でも社内の公用語を英語にすることが決定されていますが、これはじつは「みんなで勉強しよう!」 というメッセージでもあるのです。即英語化というわけではなく、2012年の3月からスタートなので、これから勉強しても十分できるはずです(※雑誌掲載 当時)。相談者の方も、しゃべれないことを悩む前に、少しでも英語で会話できるように、今、勉強を始めればいいのです。
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当英語塾INDECでも、高いコミュニケーション能力をもつ重要性については口が酸っぱくなるほど強調させてもらっています。柳井社長がおっしゃるように、英語力だけでは仕事はできません。何よりもコミュニケーション能力こそが重要なのです。
INDECの会員には、留学経験もないのに、TOEICで900点以上を取る優秀な会員がいっぱいいてくれます。しかし、その諸君がみんな仕事で成功しているかというとそうでもないのです。
それゆえ、INDECでは「TOEICで900点なんか取ってくれるな」とよく申し上げます。コミュニケーション能力が高くないのにTOEICのスコアだけが高いと職場で猛烈なプレッシャーを受けるからです。
この方針の下、留学をめざさなくとも、より高いコミュニケーション能力を磨くために、リスニングとリーディングのみならず、ライティングとスピーキングを問う現行のTOEFLの受験勉強を実力をつけてきた会員諸君には勧めています。
希望さえあれば、個人指導により一対一で、ビジネスはもちろん、歌舞伎などの日本文化、ワイン・日本酒などの食文化について英語で深く広く語り合うディスカッション・クラスを用意しているほどです。いま現在も、そういうクラスをふたつ実施しています。TOEICのスコアではわからない本物のコミュニケーション能力を養ってもらい、国際的に通用する英語力をもってほしいからです。
英語は、あくまでも日本人以外の人とのコミュニケーション・ツールのひとつ。それをわきまえて勉強しないと、それに使った努力とコストのリターンが得られません。それゆえ、コミュニケーション能力を磨くことを考え、その過程で英語力を伸ばすようにすべきなのです。
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