夢と希望と笑いと涙の英語塾

INDECという名の東京高田馬場にある英語塾で繰り広げられる笑いと涙の物語
新入会員募集中!

人身売買記事をめぐって

2005年06月04日 18時38分39秒 | 時事放談: マスコミ編
海外ネタを各紙の記事を比較しながら読んでいると、ゴウ先生、時々次のような疑問を覚えます。

新聞社の海外特派員は、本当に仕事をしているのか?

どう見ても共同通信とか時事通信の記事をチョコチョコと書き直しているだけではないかと思える時が多々あるのです。

愉快でないニュースを見つけましたので、それをめぐる記事を読み比べてみましょう。

**********

日本を監視対象から外す 人身売買の米報告書 (共同通信) - goo ニュース

2005年06月04日(土)

 【ワシントン3日共同】米国務省は3日、世界各国の売春や強制労働を目的とした人身売買に関する年次報告を発表し、日本について、昨年4段階で下から2番目の「監視対象国」と指定した評価を、1ランク上の「最低限の国際基準の履行に向け改善努力している」に上げ、監視対象から外した。

報告書は、アジアや中南米諸国から、犯罪や売春目的で日本への人身売買が依然、行われていると分析。「ヤクザ」の人身売買への関与を指摘したが、一方で、日本政府が人身売買の被害者に対する支援に着手したことなどの「努力」を評価した。

報告書は、売春の背景とされるフィリピン人女性に対する芸能ビザについても、日本政府は規制を強化する重要な改革に取り組んだとした。

**********

余計なお世話だ!

これがゴウ先生の最初の感想です。アメリカの評価を、偉そうに押し付けられても、ムカツクだけです。まるで東京裁判を繰り返されているようで。

まず、日本が人身売買の国だと言われても、ごく普通の生活を送ってらっしゃる皆さんには実感が湧かないはずです。通常、「ヤクザ」屋さんとは縁もゆかりもないのが普通ですから。

ならば、各紙の特派員にはきちんとその基準を書いてもらわねばなりません。ところが、ゴウ先生が見たところ、どこもそのアメリカの基準を日本国民にきちんと説明した新聞はありません。新聞の説明責任はどうなっているのかと言いたくなります。

自分で調べろと言うのでしょうか。ゴウ先生は調べます。しかし読者すべてにそれを要求するのですか。

それとも、これがアメリカの判断なのだから、無条件で受け入れろというのでしょうか。中の下から中の上に上がったのだから、喜べと言うのでしょうか。やれやれ、です。

しかも、この共同通信は、日本のことだけしか語っていませんから、どのような国がアメリカから罵倒されているのか気になります。そこで朝日・毎日・読売と読み比ました。

まずは、朝日です。

**********

日本を「監視対象国」から外す 米の人身売買報告書 (朝日新聞) - goo ニュース

2005年06月04日(土)

 米国務省は3日、世界の人身売買の実態をまとめた年次報告書を発表した。人身売買を防ぐ法整備や被害者保護が「最低限の基準を満たしていない」として、昨年に続き日本を3段階評価の中間に指定したが、「監視対象国」のリストから外した。また、スマトラ沖大地震の被災地から親を失った子供らが人身売買の被害にあうケースが目立っていると指摘した。

 報告書は、日本にアジア、ラテンアメリカ、東欧などから女性や未成年者が性的な搾取の目的で送り込まれていると指摘。そうした地域からは男性も犯罪や風俗産業などのために送り込まれていると批判した。

 しかし、日本政府の取り組みについては「多大な努力をしている」とし、被害者保護を目的とした行動計画の実施などを評価した。

 また、津波の影響でスリランカやインドネシアの孤児ら数千人が、人身売買の標的になっていると懸念した。

 一方、北朝鮮については中国との国境をまたいだ人身売買が横行していると批判した。サウジアラビアでは労働力としてだけではなく、イエメン、アフガニスタン、アフリカ諸国などから子供たちが、路上などで物ごいをさせるために売られてきていると批判した。

***********

最後の段落に来るまでは、こんなものかと思いながら読みました。津波被害に触れていること以外は、共同通信と五十歩百歩です。もう少し朝日らしさ(?)を出してくれるのではないかと期待していただけに、ちょっとガッカリです。

それでも、最終段落で急に朝日らしく(?)とってつけたように、北朝鮮とサウジアラビアを非難します。

朝日がやることに何でもケチをつけるつもりはありませんが、やはり疑問が生じます。本当にアメリカの国務省は北朝鮮とサウジアラビアだけ特別に非難したのでしょうか?あまりに唐突過ぎて、冷静に読めば読むほど、朝日の主張を信じられなくなってきます。

こうなれば、朝日の盟友毎日に答を出してもらいましょう。

**********

人身売買:日本は監視対象からは外れる 米国務省報告書

 【ワシントン和田浩明】米国務省は3日、売春や強制労働目的の国際的な人身売買に関する年次報告書を発表した。日本は昨年、4段階で下から2番目の「監視リスト」国に指定されたが、政府の「人身取引対策行動計画」導入などが評価され、監視対象からは外された。だが、「人身売買撲滅の基準達成が不十分」との評価は変わらず、アジアや中南米から女性や子供多数が流入して性的に搾取され、「ヤクザが人身売買に関与している」との記述も残っている。

 ライス国務長官は発表会見で人身売買を「現代の奴隷制度」と厳しく批判。毎年80万人が国際的に取引されているとの推計を明らかにし、各国に協調して対処するよう呼びかけた。

 今年の報告書は、142カ国・地域が対象。米国内法が定める基準の達成度や各国の改善努力をもとに、「基準を満たす」第1類に西欧諸国や韓国など24カ国、「基準は満たさないが努力中」の第2類に104カ国、「基準を満たさず努力も不足」で制裁対象となる第3類に北朝鮮を含む14カ国を分類している。第2類はさらに上下に分けられ、下位は監視対象だ。日本は今回、「第2類の上」にランクアップしたが、主要8カ国(G8)中では、昨年に続き監視対象のロシアを除けば最下位だ。

毎日新聞 2005年6月4日 11時34分

**********

どうやら、北朝鮮と同じくらい人身売買を行っている国が他に13カ国もあるのです。アメリカはサウジアラビアだけを特別バッシングしたわけではないようです。

やはり、朝日が字数合わせにサウジアラビア攻撃をしている印象がぬぐえません。

もしかすると、北朝鮮だけを非難するのは、北朝鮮が可哀想だからと配慮したのでしょうか。朝日は、北朝鮮とサウジアラビアを並列して引用した理由を書くべきだったのです。

そういうことから考えても、毎日が評価基準とその区分を書いてくれていて、助かりました。明らかに、朝日の特派員よりも毎日の特派員の方が仕事しています。

それでは、読売はどうでしょう。

**********

人身売買撲滅を…米国務省、日本に一層の取り組み要求 (読売新聞) - goo ニュース

2005年06月04日(土)

 【ワシントン=菱沼隆雄】米国務省は3日、世界の人身売買に関する実態をまとめた2005年版の年次報告書を発表した。報告書は「第1」「第2」「第2監視リスト」「第3」の4段階に分類しており、昨年、下から2番目の「第2監視リスト」と位置づけられた日本は、フィリピン人への興行ビザ発給の厳格化や罰則強化などの行動計画が評価され、「第2」となった。

 ただ、報告書は「人身売買の撲滅に向けた最低限の基準を満たしているとは言えない」とも指摘し、一層の取り組みを求めた。

 また、北朝鮮については昨年に続き、最も評価の低い「第3」に位置づけた。

**********

まあ、素っ気ない記事です。まるで怒っているかのようです。

そりゃそうです。こうしたアメリカ国務省の格付けは、アメリカが1番すばらしい国であることを内外に証明しようとするために発表されたもののように見えますから。

でもこれで仕事をしていると言われても、読売読者は満足しないのではないでしょうか。怠慢ですよ、読売さん。

だって大きな疑問が残っているでしょう。朝日や毎日は書けないけれども、読売だったら書けるかもしれないことが。(ちなみに産経は、共同通信の記事をそのまま掲載しています。古森さん、これから書くんでしょうね。)

それは、もちろん・・・

中国はどうなっているんだ?

そしてこの質問に応えてくれたのは、6月4日午後5時現在共同通信だけでした。

**********

脱北者の強制送還を批判 米、中国を監視対象国に (共同通信) - goo ニュース

 【ワシントン3日共同】米国務省は3日発表した世界各国の売春や強制労働を目的とした人身売買に関する年次報告で、北朝鮮から脱出した住民を中国が強制送還していると批判。その他の問題でも十分な改善努力が見られないとして、4段階評価で下から2番目の「監視対象国」にした。

北朝鮮に対しても、強制送還された住民を刑務所内の労働キャンプに送っていると非難。北朝鮮への評価を昨年と同様、最低ランクの「改善努力なし」に据え置いた。

報告書は、中国についてミャンマー、北朝鮮、ロシア、ベトナム、モンゴルからの人身売買先となり、強制労働、売春、強制結婚が行われていると指摘。また、中国人女性が売春目的でアジアを経由して中東、アフリカ、欧州、北米に送られている例などを明記した。

**********

というわけで、なんと中国と日本は、人身売買において、ほとんど変わらない扱いを受けているんです。監視対象かそうではないかの違いはあるにせよ、第2類の104カ国の中に両国とも入っているのですから。

脱北者を見つけ次第片っ端から北朝鮮に強制送還している中国を、拉致被害国の日本とあまり変わらないようにアメリカが見ているとは・・・。

情けなくなります。本当にアメリカはきちんとした基準で調査をしたのでしょうか?

何度でも書きます。そのことに関して、日本の新聞は何も書いてくれていません。各紙の特派員たちは何をしていたのでしょう?

仕方ありません。ゴウ先生、これからアメリカの新聞の記事などを調べてみようと思います。

アメリカと中国の間で右往左往している、いまの日本が見えてくる三大紙のあり方でした。
コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ここまでやるか、河野洋平 | トップ | 織田淳太郎 『審判は見た!... »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
メディア・リタラシーを高めます (TAGO)
2005-06-05 08:12:39
ご紹介頂きまして誠にありがとうございます。



各社の記事を見比べていると、文章を書く際に「何を伝えようとしているのか?」「何処にスタンダードがあるのか?」「数字で具体的に示しているか?」「スコープは示してあるか?」といった事がいかに重要であるかを改めて実感致しました。



また、アメリカがアメリカの勝手な基準で(しっかりとした基準が存在するかどうかも分かりませんが)、評価したものを堂々と記事にして何の意味があるのでしょうか。



日本が人身売買で中国とほぼ同じ扱いを受けているなんて信じられません。



特派員にはしっかりと仕事をしてもらい、日本にとって意義のある記事を世界から報道して欲しいと切に願います。
返信する
不思議な記事でした (emachines)
2005-06-06 01:21:21
初めてこの記事を拝見した際、報道内容をにわかに信じられませんでした。日本で人身売買とは信じられませんし、そもそも、どういった基準か不明、かつ順位も無茶苦茶な印象でした。



こういった記事について、鵜呑みにするばかりでなく、目を覚ましてくれるような特派員の方の仕事に期待したいです。
返信する
違和感あり (MM)
2005-06-14 01:32:03
日本が人身売買で「最低限の国際基準の履行に向け改善努力している」国であることに違和感があります。

日本で20年以上生きていますが、人身売買にめぐり合ったことは

一度もありません。違和感がありすぎます。
返信する

コメントを投稿

時事放談: マスコミ編」カテゴリの最新記事