忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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北村龍平のおもちゃ箱「ゴジラ FINAL WARS」その2

2004年12月01日 | 作品紹介(映画・ドラマ)

■DVD:「ゴジラ FINAL WARS スタンダード・エディション」


北村監督に足りないもの、それは「観客の目線」だと思う。
監督と私は同世代と言うこともあるのか、笑いのツボが似ているようで、
劇中何度か声を出して笑った。
一番笑ったのが「TVタックル」風のスタジオで異星人をお題にした討論会があったことだ。
この手の番組には欠かせない韮沢潤一郎、大槻教授、松尾貴史などの顔ぶれが
ちゃんと揃っているのも凄いが、韮沢の隣りが松尾という配置が最高にツボだ。
異星人否定派が大槻教授で、松尾は今回肯定派として座っているのである。
絵面も会話も非常に楽しく、私はこのシーンで笑いっぱなしだったのだが、
お母さんはもちろん、子供もお父さんもピンと来なかったようで場内はシーンとしていた。
当たり前であろう。
私のようなひねくれ者向けに作ってどうする。

先に書いた人間重視の戦闘シーンも含めて、
きっと好き勝手にやったんだろうということは分かる。
BGMを「幻魔大戦」や「汚れた英雄」のキース・エマーソンが担当しているのも
同世代の私なら納得出来る(ただし今回のスコアは最低だった)し、
伊武雅刀を異星人のお偉いさん役に配したのも、
「ヤマト」のデスラーを思い浮かべたからに違いない。(あくまでも勝手な予想)
従来の北村作品が、そういったマニア向けのテイストで評価されてきたのも事実だが、
それを「ゴジラ」でやってはいけないと思う。
監督個人の特性を封じ込める必要はもちろんないが、出し過ぎである。
自分の特技を「ゴジラ」の中でどう使うか、もっと真面目に考えて欲しかった。

ミラマックスと契約したからなのかは分からないが、
やたらと海外の観客を意識しているような箇所が多いのも気になった。
その弊害が字幕だ。
ケインに限らず、今回の「ゴジラ」はワールドワイドにストーリーが展開するせいか
英語を使う登場人物が多く、当然字幕もあちこちで挿入される。
しかし、漢字混じりの字幕を子供は読めないと思う。
案の定、私の後ろに座っていた子供は、
字幕が出る度に横の父親に「あれ何て書いてんの?」と聞いていた。
監督に「観客の目線」が足らないというのは、
こうしたちょっと考えれば分かることにまるで無頓着なことだ。
監督が目を向けるべきだったのは、何よりもまず「ゴジラ」ファンの日本人ではないのか。
自分が「ゴジラ」を楽しむようになったのは何歳からだったか、
ほんの少しでも考えていれば、自ずと答えは出ていたはずなのだが・・・

家族愛に結びつけて大団円というのは嫌いではないし、
ミニラと泉谷の掛け合いも最高に楽しかった。
良い部分もたくさんあるだけに惜しい。
これが本当に「FINAL」ならなおさらだ。
個人的には最後はやはり金子修介に任せて欲しかった。

菊川怜の大根芝居は「霊感バスガイド」である程度覚悟が出来ていたのでどうでもいい。
どうでもいいが、敢えてひと言だけ書くなら
頭の良さと演技力は比例しないし、本当に頭が良くても演技力が無ければ馬鹿に見える、
ということである。


*私も参加させていただいている「映画大好き」(ブックマーク参照)では
 今回の記事が一括して読める上にさらに多数の新作映画を紹介中だ。
 時間があれば是非。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:ゴジラ FINAL WARS
    配給:東宝
   公開日:2004年12月4日
    監督:北村龍平
   出演者:松岡昌宏、ケイン・コスギ、北村一輝、菊川怜 他
 公式サイト:http://www.godzilla.co.jp/index.php
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
コメント (5)
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