忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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「ULTRAMAN」とハムの人

2004年12月31日 | 作品紹介(映画・ドラマ)

■DVD:「ULTRAMAN」


「キャシャーン」が「CASSHERN」に、
「デビルマン」が「DEVILMAN」になったと思ったら
今度は「ウルトラマン」が「ULTRAMAN」になった。
想い出の中で輝く過去の記憶には手を触れない方が良いと思い知らされた今年だが、
「ULTRAMAN」も想い出を破壊したのだろうか、それとも・・・
ちなみに、私が最後に熱中して見た「ウルトラマン」は「レオ」である。
最近の物はチャンネルが合っていた時に眺める程度の知識しかないので
その辺を考慮して読んで欲しい。

結論から言うと、若返りと大人向けを両立させた上手い作りの映画だと思う。
私が感心したのは、「ま、そこを突っ込むのは野暮ですから」ということで
今までは不問にしてきた数々の突っ込みどころに
ちゃんと納得のいく説明がなされていることだ。

例えば主人公の家庭環境、今回の主人公は妻子持ちである。
今までの主人公は大抵の場合が生い立ち不明で、
使命を果たした後どこへ帰って行くのかも分からない。
主人公の人となりを窺う機会はほとんど無かったのだ。
ところが今回の主人公・真木舜一には温厚な妻と先天性の疾患を持つ息子がいる。
正義感という掴みどころのない不確かな物ではなく、
「家族を守る」という明確な意志に突き動かされて行動しているのが新鮮だ。

また、従来のシリーズでは人間は皆ウルトラマンに対して好意的であったが、
今回のウルトラマンはストーリー終盤まで非常に不安定なポジションに置かれている。
化け物を倒すための対抗手段として期待はしているものの、
完全に信頼はせず常に監視下に置く人間達と、
「自分もいずれ化け物になってしまうのか」という不安に襲われる主人公、
ウルトラマンの能力を「半分は人間、半分は化け物」という風に描いたのは
過去に無かったのではないか。
別の生物を呑み込み進化するという化け物の特性や主人公の性格などからして
かなり「デビルマン」の香りがしたのは私だけか。

今回私が感心したのが、さすがは円谷プロというか、技術に溺れていないことだ。
初代「ウルトラマン」の頃から続く、「チープさをいかにアイディアでカバーするか」
を未だに真面目に考えてくれているのは嬉しかった。
「CASSHERN」や「DEVILMAN」は、
過去の作品より多くの製作費をかければ確実にそれ以上の物になる、
という勘違いがあったように思うが、「ULTRAMAN」は違う。
技術に走りたがる若手の意見もちゃんと汲み上げつつ、
最終的には頑固親父が仕切っているようなカッコ良さがある。
着ぐるみでミニチュアのセットを壊しても、
演出次第でちゃんと迫力満点の映像は出来るのだ。

と、全体的に好印象の本作だが、最後の最後に不満をひとつ。
主人公の別所哲也は微妙だ。
いや、歴代のウルトラマン役も大した役者がやっていはいないのだが、
別所哲也はやはりマズい。「ハムの人」の印象が強過ぎる。
別所が怒れば「怒ってるハムの人」、別所が喜べば「喜んでるハムの人」になってしまう。
ディカプリオは「タイタニック」に出演したことを今になって後悔しているらしいが、
別所哲也はどう思っているのだろう。
ま、今から降りたところで私の中では永遠に「ハムの人」なわけだが。

最後に、別所の同僚役で出ていた永澤俊矢は田畑智子に似ている。
同意が得られないのは覚悟の上だ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:ULTRAMAN
    配給:松竹
   公開日:2004年12月18日
    監督:小中和哉
   出演者:別所哲也、遠山景織子 他
 公式サイト:http://www.ultraman-movie.com/index_flash.html
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
コメント (8)
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