2024年の訪日外国人客数が3686万人と過去最高を記録した。特に第4四半期(10-12月)は998万人超となり、このペースで増加すれば政府の目標の年間4000万人に手が届くところまできた。円安基調が止まらない中、外国人観光客の増加は足元で見える日本にとっての数少ない光明と言えるだろう。
ただ、東京や大阪、京都など「超有名観光地」に外国人観光客が集中する傾向を是正しないと、足元の増勢が砂上の楼閣になりかねない。ニューヨークタイムズが富山市を「混雑を避けて文化的な感動と美食を楽しめる」と評価したような「混雑していない行くべき価値のある観光地」を政府が多くの外国人観光客に知らせるイベントが必要なのではないか。ネットを駆使した行くべき観光地の「総選挙」などを政府が企画してみてはどうだろうか。
<10-12月だけで998万人、年間4000万人達成も視野>
日本政府観光局が15日に発表した2024年12月の訪日外客数は、前年同月比27.6%増の348万9800人と2024年年10月の331万2193人を上回り、単月として過去最高を記録した。また、24年の年間訪日外客数も前年比47.1%増の3686万9900人で、2019年の3188万2049人を上回り年間の過去最高を更新した。
このうち10-12月期は998万8800人となり、25年にこのペースで外国人訪日客数が伸びれば、年間で4000万人を達成する可能性も出てきた。
<京都市の宿泊税引き上げ、税収が2.4倍の126億円に>
データの判明している24年1-9月のインバウンド消費は5兆8285億円に達しており、2023年の年間インバウンド消費額の5兆3065億円を上回っている。
円安による食品価格の上昇など国内物価の上昇は日本全体の消費を抑制する力を見せているが、一方で外国人観光客の増加と1人当たり消費の増加で、国内総生産(GDP)を押し上げる要因になっている。
また、京都市が14日に発表した宿泊税の引き上げには賛否が交錯しているものの、宿泊税収は現行の2.4倍の126億円になると見積もられており、財政難に悩む地方自治体にとっては有望な税源になりうることが示されている。
<浮上するオーバーツーリズム、NYTの記事で注目される富山市>
ただ、京都市が宿泊税の引き上げ理由にしているオーバーツーリズムの問題は、訪日外国人客数の4000万人達成のためには、どうしても解決しなければならないだろう。京都市には日本人も含めて年間5028万人が訪れており、有名観光地への集中の是正を実行するアイデアが欠かせない。
そこで筆者が注目するのは、ニューヨークタイムズが毎年発表している世界で「行くべき場所」というランキング記事だ。2025年は富山市が30位、大阪市が38位に選ばれた。富山市は「混雑を避けて文化的な感動と美食を楽しめる」と指摘され、「富山市ガラス美術館」や「おわら風の盆」で知られる富山県八尾市が紹介された。
<きらりと光る地方都市、ネットで選ぶ「総選挙」イベントを実施すべき>
ニューヨークタイムズは同じ企画記事で、2023年に山口市、24年に盛岡市を選んでいる。このコンセプトが実は、今後の日本のインバウンド振興に欠かせないピースではないかと考える。観光客が集中せずにゆっくりと過ごせることができるという点と、見るべき自然や鑑賞できる文化的施設、おいしい料理があるということが両立している「きらりと光る」地方都市を再発見するということが重要だと指摘したい。
そのような地方の「宝物」を探し出すためのイベントとして、日本政府観光局などが「混雑していない行くべき観光地」をネット経由で選び、総選挙スタイルでランキングするというのも1つの手法ではないかと思う。
そこで集まった情報をSNSで拡散すれば、相当のインパクトがあると予想され、人口減少に悩む地方都市の再浮上にもつながると提案したい。
外国人観光客が年間4000万人も日本に来る時代の到来は、大きなチャンスがやってくることだと多くの国民が捉え、多彩なアイデアを出して地方の再生につながる動きになって欲しい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます