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(書評) 志村有弘『新編 百物語』(河出書房新社)

2024-04-15 23:46:53 | 評論

   (書評)

   志村有弘『新編 百物語』(河出書房新社)

歴史とは強者の物語のことだ。

弱者の物語を怪談と呼ぶ。

戸川肥後守の四、五歳になる娘の乳母と料理人とが密通した。そのことが露見して、まず料理人を討ち果たし、次に乳母を呼び出した。乳母は、どういうわけか、

「わかりました」

と言い終わらないうちに、男の血をすすり、その吸った血を天井に吐きかけた。そこを逃すまいということで討ち果たしてしまった。

その夜から乳母と料理人ふたりの幽霊が出た。それは、娘の眼にだけ見えた。

(「第四十九話 幽霊の復習」)

芸術は復讐だ。

(終)


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