『冬のソナタ』を読む
「道に迷う小鳥」(下p5~23)
1 ベンチ
柔らかいサンヒョクが硬くなり、強かったミニョンが優しくなった。
ユジンのせいだぞ。
*
ミニョンとユジンは並んで雪の上を歩いた。すでに長いこと外のベンチに座っていたユジンの体は冷え切っていた。寒いことも忘れてしまうほど、何をそんなに考えこんでいたのだろう。ユジンのそんな姿はミニョンを切なくさせた。
(下p8)
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で、どうする?
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ミニョンは自分のマフラーを首に巻いてやった。
(下p8)
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マフラーだよね。
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ミニョンにはユジンが何を悩んでいるのかがわかっていた。生きていると必ずぶつかる多くの分かれ道。人々はその分かれ道に差しかかったら、辛く苦しくても、一つを選択しなければならない。ユジンは今、その選択の分かれ道に立たされているのだ。
ミニョンがユジンの手を握ろうとした。その手を避けるために後ずさりするユジンに、ミニョンは一歩近づいて手をしっかり握りしめた。そうすべきだと思ったのだ。
「決めづらいときは、摑(つか)まえてくれる方に行くのも悪くないですよ。今みたいに」
ミニョンは何も強要しなかった。決めるのはユジンがすることだ。
(下8)
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本当は決まっているんじゃないの?
(終)