ヒルネボウ

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漫画の思い出  林静一 『赤色エレジー』

2025-01-06 00:06:51 | 評論

     漫画の思い出

   林静一

   『赤色エレジー』

名作。大流行。

あがた森魚が歌にして、さらに流行。彼が歌っている後ろで舞踏家がヒクヒクと踊っていた。

この作品のおかげで、漫画青年は文学青年よりも偉くなった。ただし、文学はすでに滅びつつあった。

この作品は、面白くもないし、おかしくもない。凄いだけだ。やがて、林は、漫画家の漫の字を取って、画家になる。その象徴のように、作中の漫画青年は死ぬ。

幸子の指鉄砲で一郎は撃たれる。ところが、床を流れる血は本物だ。

「明日になれば 朝がくれば 苦しいことなんか忘れられる 昨日もそう思った」

ジャーン! 

白黒反転。

漫画の甘ったるさを極限まで追求したら、ひりひりするようなえぐみだけが残った。

(終)


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