冬が訪れる頃、はじめて越前海岸沿いの急斜面を訪れ、あたり一面に広くびっしりと咲きほこる水仙の群生を見た。
その時の感激の驚きは、何十年も経った今も忘れがたい。
青い空と海、無数の白い花、緑の葉、その広大なコントラストは見事という他は、なかった。
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水仙は地中海が原産地と言うが日本へは中国から伝来した。
中国の険しい山には、仙人が住み「天仙」と言う。
水辺に咲く妖精のような花を「水仙」とよんだ。
今では日本の海岸のいたるところに咲いているが、房総半島、淡路島、越前海岸が日本の三大群生地とされる。
中でも雄々しい斜面の海岸線に咲く「越前水仙」は、他の産地と比べて、凜とした花がひきしまり、甘い香りが強くて、草姿が良いとされ面積も日本で最大である。
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歌人、俵万智は中学時代を越前で過ごし、ここを心の故郷として
海鳴りに
耳を澄まして
いるような
水仙の花
ひらくふるさと
と詠んだ。
「水仙は、日本海の寒風と荒波にもめげず、寒さを避けるように身を寄せ合って咲いている」と言われるが、もともと冬の花というのは、寒さに耐えて咲くのではなく、寒さそのものが好きなのではないか?
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