4月7日バーバー・モータースポーツパークにて決勝レースが開催されたインディカー・シリーズ第3戦。ポールポジションからスタートした佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が、昨年のポートランド戦以来となるインディカー通算4勝目を挙げた。
ロードコースでは初となるインディカー8度目のポールポジションを獲得した佐藤琢磨。チームメイトのグラハム・レイホールと並んでスタートを迎える。
好スタートでホールショットを決めた琢磨は、レイホールと1秒差でトップを走行。徐々にリードを広げ、17周を走行して1回目のピットストップを迎えた。しかし、左リヤタイヤの交換に手間取り、タイムロスしてピットアウトする。
翌周、レイホールとスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)がピットイン。レイホールはトラブルで大きく遅れ、トップ争いから脱落。素早いタイヤ交換でピットアウトしたディクソンだったが、琢磨のすぐ後ろでピットアウトとなった。
ファーストスティントを伸ばしたセバスチャン・ブルデー(デイル・コイン)が28周を走行してピットインし、再びトップに立った琢磨は2番手との差を再び広げ始める。
30周を終え琢磨、ディクソン、ジェームズ・ヒンチクリフ(アロウ・シュミット・ピーターソン)、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)の順に。6秒差をつけ37周終わりで琢磨は2度目のピットイン。再びブラックタイヤでコースへと戻っていく。
トップを快走し、完璧なレースを展開する琢磨。50周を終え、2ストップ作戦で2番手を走行するブルデーとの差は6秒。3番手にディクソン、ヒンチクリフ、ロッシの順でレースは終盤戦へと向かう。
57周目、レイホールがマシントラブルでコース上にストップしてしまう。さらにマックス・チルトン(カーリン)がピットロード入り口でトニー・カナーンと接触しタイヤバリアにクラッシュ。イエローコーションでピットがクローズする前に、このタイミングで各車がピットへ流れ込む。翌周、イエローフラッグが振られ1回目のコーションに。琢磨はトップをキープ。ピット作業でディクソンが2番手に浮上。ブルデー、ヒンチクリフ、ロッシの順に。
レースは、66周目にレースは再開。築いたマージンが消えてしまった琢磨だが、リスタートでトップを守り、ディクソンと2秒弱の差をキープ。安定したラップを刻んで勝利へと邁進していく。
勝利が目前に迫り焦ったのか、コースオフを喫した琢磨だったが、そのままトップを守ってインディカー4度目のトップチェッカーを受け、今シーズン初優勝。ポールポジション、最多ラップリードのボーナスポイントも獲得するパーフェクトウインを達成した。
今回の佐藤琢磨の優勝で特筆すべきはやはりポールトゥウインを成し遂げたことだろう。ポールポジションからスタートした佐藤琢磨はピットストップの戦略の違いで一時的にラップリーダーの座を失ったものの、実質的には一度もライバルに主導権を譲ることなく逃げ切り、完璧な優勝を飾ったのだ。
F1でいうセーフティカーにあたる「フルコースイエロー(FCY)」が頻繁に出されるインディカーではポールポジションからの優勝がとても難しい。レース中に築いた2位とのギャップがあっという間に無くなるのはもちろん、アクシデント発生によりFCYが出されるとピットレーンへの進入ができなくなるのでタイミングによっては上位争いから一気に脱落するという不運に見舞われることもある。
実際、2018年のインディカーでのポールトゥウインは全17レース中6回(約35%)だけ。同年のF1では21レース中10回(約48%)だったことを考えても確率は低い。いくらポールポジションを獲得できる速さがあったとしても、インディカーでレースの主導権を握り続けることは非常に困難だ。
ただ、昨年6回記録されたポールトゥウインは全て「ロードコース」=オーバルサーキット以外で記録されたもの。その内1回だけがロングビーチ市街地コースで記録され、これ以外の5回は全てパーマネント(常設コース)のサーキットだった。今回の第3戦の舞台、バーバー・モータースポーツ・パークもパーマネントサーキットであり、FCY導入の確率が低く、比較的ポールトゥウインしやすいサーキットではあったが、それでも過去9回中4回と確率は決して高くない。
土曜日の予選でチームメイトのグレアム・レイホールを終了直前に上回り、見事ポールポジションを獲得した佐藤琢磨は、決勝で絶妙なスタートを切り、2位以下を大きく引き離す走りを披露。1回目のピットストップでは左後輪のタイヤ交換に時間を要してタイムロスするも、決勝での佐藤琢磨の速さは盤石。
しかし、クラッシュ発生などでFCYが導入され、残り25周でレースはリスタート。燃費も各車ギリギリという緊張感溢れる攻防戦の中、佐藤琢磨は最後まで攻めの走りを続け、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ/ホンダ)に約2.4秒の差をつけて優勝した。
佐藤琢磨にとってプレミアカテゴリーでのポールトゥウインは初。20年近く前のイギリスF3時代以来のことである。
佐藤琢磨はポールトゥウインというレーサーとして最も理想的な勝ち方をやってのけた。しかも、42歳という年齢で。1977年1月28日生まれの佐藤琢磨(42歳)は2019年にフル参戦するインディカードライバーの中で、トニー・カナーン(44歳)に次ぐ2番目の年長者である。
インディカーはかつては元F1ワールドチャンピオンなどベテランドライバーが息長く活躍した舞台でもあることは事実で、インディ500ではA.J.フォイトが47歳で優勝を飾っているし、CART時代にはマリオ・アンドレッティが53歳にして優勝を飾ったこともある。40代での優勝は歴史上、決して珍しいことではない。
近年の40代ドライバーの優勝は2017年のインディ500での佐藤琢磨(当時40歳)、同年のアイオワにおけるエリオ・カストロネベス(当時42歳)、2018年のポートランドにおける佐藤琢磨(当時41歳)があるが、カストロネベスは年間参戦からはすでに身を引いているし、40代のベテラン選手はその数を減らしているのが現状。今季の第2戦・テキサスでは18歳のコルトン・ハータが史上最年少優勝を飾るなど、インディカードライバーの若年化が顕著になってきている。
そんな中で、42歳という年齢で佐藤琢磨がポールトゥウインを達成したことは非常に大きな価値がある。しかも、今回のコースは1周2.3マイル(約3.7km)で高速コーナーの多い、ドライバーにとっては休まる時間が少ないドライビング操作が忙しいサーキット。フィジカル的には決して楽ではないコースなのだ。アスリートはフィジカル面では40代に入って一つの壁を感じるはずだが、佐藤琢磨は日々のトレーニングで肉体を鍛え、今もなお、一流のアスリートとして勝負できる状態にあることを証明した。
F1でも好調のホンダ!インディに続きポディウムの中央に登壇する日を期待せずにいられない!
ロードコースでは初となるインディカー8度目のポールポジションを獲得した佐藤琢磨。チームメイトのグラハム・レイホールと並んでスタートを迎える。
好スタートでホールショットを決めた琢磨は、レイホールと1秒差でトップを走行。徐々にリードを広げ、17周を走行して1回目のピットストップを迎えた。しかし、左リヤタイヤの交換に手間取り、タイムロスしてピットアウトする。
翌周、レイホールとスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)がピットイン。レイホールはトラブルで大きく遅れ、トップ争いから脱落。素早いタイヤ交換でピットアウトしたディクソンだったが、琢磨のすぐ後ろでピットアウトとなった。
ファーストスティントを伸ばしたセバスチャン・ブルデー(デイル・コイン)が28周を走行してピットインし、再びトップに立った琢磨は2番手との差を再び広げ始める。
30周を終え琢磨、ディクソン、ジェームズ・ヒンチクリフ(アロウ・シュミット・ピーターソン)、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)の順に。6秒差をつけ37周終わりで琢磨は2度目のピットイン。再びブラックタイヤでコースへと戻っていく。
トップを快走し、完璧なレースを展開する琢磨。50周を終え、2ストップ作戦で2番手を走行するブルデーとの差は6秒。3番手にディクソン、ヒンチクリフ、ロッシの順でレースは終盤戦へと向かう。
57周目、レイホールがマシントラブルでコース上にストップしてしまう。さらにマックス・チルトン(カーリン)がピットロード入り口でトニー・カナーンと接触しタイヤバリアにクラッシュ。イエローコーションでピットがクローズする前に、このタイミングで各車がピットへ流れ込む。翌周、イエローフラッグが振られ1回目のコーションに。琢磨はトップをキープ。ピット作業でディクソンが2番手に浮上。ブルデー、ヒンチクリフ、ロッシの順に。
レースは、66周目にレースは再開。築いたマージンが消えてしまった琢磨だが、リスタートでトップを守り、ディクソンと2秒弱の差をキープ。安定したラップを刻んで勝利へと邁進していく。
勝利が目前に迫り焦ったのか、コースオフを喫した琢磨だったが、そのままトップを守ってインディカー4度目のトップチェッカーを受け、今シーズン初優勝。ポールポジション、最多ラップリードのボーナスポイントも獲得するパーフェクトウインを達成した。
今回の佐藤琢磨の優勝で特筆すべきはやはりポールトゥウインを成し遂げたことだろう。ポールポジションからスタートした佐藤琢磨はピットストップの戦略の違いで一時的にラップリーダーの座を失ったものの、実質的には一度もライバルに主導権を譲ることなく逃げ切り、完璧な優勝を飾ったのだ。
F1でいうセーフティカーにあたる「フルコースイエロー(FCY)」が頻繁に出されるインディカーではポールポジションからの優勝がとても難しい。レース中に築いた2位とのギャップがあっという間に無くなるのはもちろん、アクシデント発生によりFCYが出されるとピットレーンへの進入ができなくなるのでタイミングによっては上位争いから一気に脱落するという不運に見舞われることもある。
実際、2018年のインディカーでのポールトゥウインは全17レース中6回(約35%)だけ。同年のF1では21レース中10回(約48%)だったことを考えても確率は低い。いくらポールポジションを獲得できる速さがあったとしても、インディカーでレースの主導権を握り続けることは非常に困難だ。
ただ、昨年6回記録されたポールトゥウインは全て「ロードコース」=オーバルサーキット以外で記録されたもの。その内1回だけがロングビーチ市街地コースで記録され、これ以外の5回は全てパーマネント(常設コース)のサーキットだった。今回の第3戦の舞台、バーバー・モータースポーツ・パークもパーマネントサーキットであり、FCY導入の確率が低く、比較的ポールトゥウインしやすいサーキットではあったが、それでも過去9回中4回と確率は決して高くない。
土曜日の予選でチームメイトのグレアム・レイホールを終了直前に上回り、見事ポールポジションを獲得した佐藤琢磨は、決勝で絶妙なスタートを切り、2位以下を大きく引き離す走りを披露。1回目のピットストップでは左後輪のタイヤ交換に時間を要してタイムロスするも、決勝での佐藤琢磨の速さは盤石。
しかし、クラッシュ発生などでFCYが導入され、残り25周でレースはリスタート。燃費も各車ギリギリという緊張感溢れる攻防戦の中、佐藤琢磨は最後まで攻めの走りを続け、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ/ホンダ)に約2.4秒の差をつけて優勝した。
佐藤琢磨にとってプレミアカテゴリーでのポールトゥウインは初。20年近く前のイギリスF3時代以来のことである。
佐藤琢磨はポールトゥウインというレーサーとして最も理想的な勝ち方をやってのけた。しかも、42歳という年齢で。1977年1月28日生まれの佐藤琢磨(42歳)は2019年にフル参戦するインディカードライバーの中で、トニー・カナーン(44歳)に次ぐ2番目の年長者である。
インディカーはかつては元F1ワールドチャンピオンなどベテランドライバーが息長く活躍した舞台でもあることは事実で、インディ500ではA.J.フォイトが47歳で優勝を飾っているし、CART時代にはマリオ・アンドレッティが53歳にして優勝を飾ったこともある。40代での優勝は歴史上、決して珍しいことではない。
近年の40代ドライバーの優勝は2017年のインディ500での佐藤琢磨(当時40歳)、同年のアイオワにおけるエリオ・カストロネベス(当時42歳)、2018年のポートランドにおける佐藤琢磨(当時41歳)があるが、カストロネベスは年間参戦からはすでに身を引いているし、40代のベテラン選手はその数を減らしているのが現状。今季の第2戦・テキサスでは18歳のコルトン・ハータが史上最年少優勝を飾るなど、インディカードライバーの若年化が顕著になってきている。
そんな中で、42歳という年齢で佐藤琢磨がポールトゥウインを達成したことは非常に大きな価値がある。しかも、今回のコースは1周2.3マイル(約3.7km)で高速コーナーの多い、ドライバーにとっては休まる時間が少ないドライビング操作が忙しいサーキット。フィジカル的には決して楽ではないコースなのだ。アスリートはフィジカル面では40代に入って一つの壁を感じるはずだが、佐藤琢磨は日々のトレーニングで肉体を鍛え、今もなお、一流のアスリートとして勝負できる状態にあることを証明した。
F1でも好調のホンダ!インディに続きポディウムの中央に登壇する日を期待せずにいられない!