消えゆくのみなのかねえ
いつまでもつづくとは思わないけど
地域医療を守った老医師の引退
例年になく早い春の訪れということで、おらの鼻はさっそく花粉への過敏反応を開始しております。
で、伊東の宇佐美海岸近くの稲葉医院に1シーズン1本で済む注射を打ってもらいに出かけました。
こんな具合の二階建ての、医院というよりは、3、40年前に流行ったマンション風外装の建物になっており、二階部分は何床あるのか、入院できる病室になっています。このエリアには、昔も今も入院できるところはほかになかったそうです。
ああだこうだと診療科目が何から何まで書いてありますが、こう書いてある場合、ここのお医者さんは「整形外科」が本来の専門であるということです。
おらは長年の腰痛で何回か世話になっているので、この医院の存在を知っているのです。去年の1月に腰痛で診ていただいた折に花粉症の話になり、前述の注射を打ってもらい、初めて飲み薬なしのシーズンを過ごしたのでした。(ということは多分、やばいぐらいに強い薬なんだっぺな!わからんけど。名前を教えてもらわなかったのは失敗だった、今になってみれば。)
さて、それはそれとして玄関にさしかかると妙に静まり返り、なんか貼紙がしてあります。
えーっ、と驚きましたよ。ついこの間、引退されたのでありました。
えーっと、もう1回驚き、読み返す。なんとまあ、昭和13年開業だと書いてあります。82年前です!
82年前に開業ということになると、赤ん坊が開業するはずはありませんから、稲葉ドクターは現在少なくとも百何歳になってなくちゃならない勘定です。稲葉先生をおらが見た感じでは、頭の被り物が少しずれたりしていて、相当なお年だとは思いましたが、まあ90歳近いかなという感じでした。もしかして、先生の父上が昭和13年に開業したのをはしょって書いてあるのかも知れませんが、どうなんでしょうか。
それにしても、病院はおろか医院も少なかったであろう宇佐美海岸で、なんでもかんでも具合の悪い地域の人びとを診続けてこられた人生であったのでしょうが、後継者に恵まれなかったのでしょうか。
やはり、老兵は消えゆくのみなのでありましょうか。
なんとなくうら悲しい気持ちでハンドルを握り、ことしの花粉シーズンはどうすんべか、また薬漬けかや、などと額の横あたりで考えながら山道を帰途に着いたことでありました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます