ある日やる夫、やらない夫、できる夫の元に「悪魔召喚プログラム」なる謎のアプリが送り付けられる。面白半分に起動したところ、それは本物で、本物の悪魔が召喚されてしまった。彼女たちは魅力的な女性であり、プログラムを通して主従関係が成り立つことで、やる夫たちはそれまで経験のなかった可愛い女の子との生活を楽しもうとした。だが彼女たちは悪魔であり、やがて…
という導入から始まり、古くから秘密裡に存在する悪魔と人間とのかかわりにふれるやる夫たち、そして10万年前から続く因縁と巨大な存在、歴史を超えた闘争、神話の戦争が繰り広げられることになる。
下敷きは「真・女神転生」シリーズだが「ソウルハッカーズ」「ストレンジジャーニー」の要素も加わったメガテンミックスである。
各々やる夫がザ・ヒーロー、やらない夫がロウ・ヒーロー、できる夫がカオス・ヒーローという区分けも女神転生の主要人物の立ち位置を踏襲したものである。本来のゲームでは主人公の選択によって分別されるそれらも、登場人物に各々のパートを割り当てることで主張の食い合わせもできるというところがやる夫スレならではの醍醐味と言える。
こういうマルチ主人公のやる夫スレでは往々にしてやる夫がクズでやらない夫とできる夫が主人公ムーブを展開するものだが、この作品では殊更やらない夫の艱難辛苦っぷりとできる夫の巻き込まれ体質が際立って、やる夫より彼らを主題にしたエピソードの方がまともな王道展開だったりする。
やる夫ですか?彼は土壇場でヒロインと罵り合いプロレスという恥部公開実況されてました。流れ弾が海とやよい(アイドルマスター)にも飛んできましたが。
ヒロインに湯音(異国迷路のクロワーゼ)を割り当てるのもレアケースだが、彼女も悪魔ゆえ妖精をとっつかまえて食ったり、脳みそ食べたいなどキャラを崩したギャグも随所に盛り込まれている。
やる夫の先輩として出てくるサマナーに龍咲海(魔法騎士レイアース)が割り当てられているが、これもやる夫スレでは珍しく、そもそも登場人物も多いことから人間関係だけでもカオスの様相を呈しているのもこの作品の面白さだろう。
断続的な連載なので第一話が2012なのに対して最終話(120話)は2020年と足掛け8年の超長期連載であり、120話という長さも驚異的である。しかし長さが怠いかというとそんなことはなく、ギャグ、シリアスのバランスと超展開が楽しめるので読み始めれば時間が経つのはあっという間だろう。