はい、こんばんは。
今朝は冷えました。
朝の6時頃、外の温度計は7℃でしたよ。寒いはずです。
さて、妙政寺のお檀家さんに民話の語り部がいらっしゃいます。その方が纂集されたお話も紹介していこうと思います。
「たかたかぼうず」
加納村の宇波神社の参道を100メートルほど南へ行くと道の東側におかげ灯ろうが建てられています。おかげ参りと言って、60年を周期とするお陰年に、伊勢神宮に参拝すると特別なご利益が与えられると信じられ、文政13(1830)年に、村人が集団でお参りした記念と、村をお守りしてくださる伊勢神宮の御神霊に、灯明をお供えする意味で建造されたのです。この灯ろうの東には深い井戸があって、わきに太い松の木が、灯ろうを覆うように枝を伸ばしていました。
ある冬の夜のことです。神社と灯ろうとの間を東に入った小さな家の、おもよさんという娘のおかあさんが、高い熱を出して苦しみだしました。踏み車を毎日踏み続けて川に水を入れなければならなかった日照りの夏も過ぎ、稲のとり入れも終わりほっとしたのが原因のようです。
昼過ぎから苦しみだしたおかあさんの頭を冷やしたり、身体をなぜさすったりと、おもよさんは一心に看病しました。でも、夜になっても少しも熱がひかず、苦しむおかあさんの姿に「嫁入り用やから、これだけは使ってはいかんと言われてたけど、森先生の所で薬を買って飲まそう」とお金の入った巾着を握って飛び出しました。冬の夜風は冷たくほおをさします。どの家も雨戸を閉ざして寝しずまっています。
おかげ灯ろうの西には枯れたススキが、かさこそと何かがひそんでいるような気配を感じさせますが、熱で苦しむおかあさんのことを思うとどんな怖いことでも耐えようと急ぎました。
森先生の門をたたき、薬をわけてもらったおもよさんは、ほっと息をつぎました。ていねいに礼をのべ薬袋を左手で押さえつつ家に向かって駆けだしました。ちょうちんの火が揺れるたびに消えそうになります。「火が消えたらあかん」と、ふっと立ちどまりました。そこがちょうどおかげ灯ろうの前だったのです。ちょうちんの火は静かに明るさをとりもどしました。
「よかったなー」
ぼそっとつぶやいたおもよさんは、あたりにただよう異様な気配に頭を上げました。するとどうでしょう。大きな灯ろうのかさのところに、白い着物のそでをたらしたたかたかぼうずが大きな口を開き、舌を出して笑っていたではありませんか。
「ギャッ」
奇妙な声を発しておもよさんは横っ飛びにとびました。藁草履をぬぎ捨てたのも意識にありませんでした。どんなに恐ろしかったことでしょう。でも、だいじなだいじな薬の袋だけは、しっかり胸に入れていました。それから、おもよさんは昼でもおかげ灯ろうの前は通らなかったということです。
今朝は冷えました。
朝の6時頃、外の温度計は7℃でしたよ。寒いはずです。
さて、妙政寺のお檀家さんに民話の語り部がいらっしゃいます。その方が纂集されたお話も紹介していこうと思います。
「たかたかぼうず」
加納村の宇波神社の参道を100メートルほど南へ行くと道の東側におかげ灯ろうが建てられています。おかげ参りと言って、60年を周期とするお陰年に、伊勢神宮に参拝すると特別なご利益が与えられると信じられ、文政13(1830)年に、村人が集団でお参りした記念と、村をお守りしてくださる伊勢神宮の御神霊に、灯明をお供えする意味で建造されたのです。この灯ろうの東には深い井戸があって、わきに太い松の木が、灯ろうを覆うように枝を伸ばしていました。
ある冬の夜のことです。神社と灯ろうとの間を東に入った小さな家の、おもよさんという娘のおかあさんが、高い熱を出して苦しみだしました。踏み車を毎日踏み続けて川に水を入れなければならなかった日照りの夏も過ぎ、稲のとり入れも終わりほっとしたのが原因のようです。
昼過ぎから苦しみだしたおかあさんの頭を冷やしたり、身体をなぜさすったりと、おもよさんは一心に看病しました。でも、夜になっても少しも熱がひかず、苦しむおかあさんの姿に「嫁入り用やから、これだけは使ってはいかんと言われてたけど、森先生の所で薬を買って飲まそう」とお金の入った巾着を握って飛び出しました。冬の夜風は冷たくほおをさします。どの家も雨戸を閉ざして寝しずまっています。
おかげ灯ろうの西には枯れたススキが、かさこそと何かがひそんでいるような気配を感じさせますが、熱で苦しむおかあさんのことを思うとどんな怖いことでも耐えようと急ぎました。
森先生の門をたたき、薬をわけてもらったおもよさんは、ほっと息をつぎました。ていねいに礼をのべ薬袋を左手で押さえつつ家に向かって駆けだしました。ちょうちんの火が揺れるたびに消えそうになります。「火が消えたらあかん」と、ふっと立ちどまりました。そこがちょうどおかげ灯ろうの前だったのです。ちょうちんの火は静かに明るさをとりもどしました。
「よかったなー」
ぼそっとつぶやいたおもよさんは、あたりにただよう異様な気配に頭を上げました。するとどうでしょう。大きな灯ろうのかさのところに、白い着物のそでをたらしたたかたかぼうずが大きな口を開き、舌を出して笑っていたではありませんか。
「ギャッ」
奇妙な声を発しておもよさんは横っ飛びにとびました。藁草履をぬぎ捨てたのも意識にありませんでした。どんなに恐ろしかったことでしょう。でも、だいじなだいじな薬の袋だけは、しっかり胸に入れていました。それから、おもよさんは昼でもおかげ灯ろうの前は通らなかったということです。
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