東大阪市加納 日蓮宗 妙政寺のブログ〜河内國妙見大菩薩、安立行菩薩、七面大天女、鬼子母神を祀るお寺!

HPからブログに移行し、ちょっと明るい雰囲気です。仏事、納骨、永代供養のご相談、どうぞお申し出ください。

月夜のコイ

2018-11-14 23:06:29 | 河内國の昔話
こんばんは。

河内の昔話シリーズです。

月夜のコイ

 それはそれは、月の美しい初冬の夜更けでした。
 ヒタヒタ ヒタ 眠そうな草履の音をたてて、弥太さんが樋の本(ひのもと)の舟着場にやってきました。
 今日は天満の町へ肥を汲みに行く日です。舟着場につないでいる剣先舟には、たくさんの肥たんごが積みこまれています。
 肥を運ぶためのたんごは、直径10cm位の穴を開けた上ふたをきっちりとはめ込み、穴は丸太を切って栓をして動かしても肥がこぼれないように工夫されているのです。
 その舟を、一本の竹竿で天満まで川を往復するのです。往きは、流れにのっていくうえ、たんごは空っぽですから楽なのですが、帰りは肥のたんごを積み、流れに逆らってこぐのですから大へんな重労働です。
 大阪の人たちが暁前の夢をむさぼっている時刻に、家々の大小便を汲みに回る仕事は、河内農民の重要な肥料を得る手段でした。
 その時、弥太さんは、川に入ってピチャピチャと音を立てている人影を見たのです。
 「だれやろう。いま時分おかしな事をしてー」
と、月の光に透かして見ました。その人影は、近所の作じいさんらしいのです。甚平らしいものは岸に放りぱなし、その横に草履が片方裏返しになって夜の湿りを吸っています。
 作じいさんは背を丸めて、魚でも捕まえるようなかっこうをしているのです。
 「作じいさん、作じいさん」
 大声で名を呼びましたが耳に届かなかったのか、じいさんはなおもざわざわと、深い所へ入っていきます。もう腰のところまで、冷たい水につかってしまいました。
 「なにをしてなあんねん。作じいさんー」
 とどなりました。
 やっと弥太さんの声が聞こえたのか
 「コイが。どえらいコイが、ほれ、ここにいよりまんねん」
 振り向きもしないで作じいさんは答えます。
 弥太さんは、じいさんの指す方をじっと目を凝らして見たのですが、月明かりではコイの姿など見えるはずもありません。
 「アッ」。弥太さんは気がついて大声をあげました。
 〝樋の本のキツネは、コイに化けるんや。そして、ぴちぴち銀鱗(ぎんりん)を光らせて人を川に誘い込み、だんだん深みへ連れていく〟と聞いている。これは、きっとキツネにだまされてんのやー、と慌てて作じいさんを岸に引き上げました。
 やっと我にかえった作じいさんは、それから長い間床にふせることになってしまいました。

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小松原法難会

2018-11-12 00:19:07 | 妙政寺の年中行事
こんばんは。

11月11日は日蓮宗には聖日。「小松原法難」の法要を厳修いたします。

今から20年ほど前ですが、立教開宗750年慶讃団参として、日蓮宗大阪市宗務所では4年間毎年千葉県の清澄寺まで団参に行ってました。
その折、一度だけ小松原山・鏡忍寺さまにお参りしたんです。
それで時の宗務所長にお願いして旅のしおりに「小説・小松原法難」を掲載させてもらったんです。

その冒頭の文章が今でも気に入っていて
この時期になると乗っけてしまいます。




天津領主・工藤吉隆、祖師に教えを請い、景信宿年の怨みを雪がんと松原に潜む。殺気四面を蓋い、森々と剣槍を排ぶ。鏡忍房笑いて松枝を振るい、冷箭五矢その身に在り。祖師の御前に仁王立ちすること、かの弁慶が義経を護らんが如し。景信の一念祖師を襲うも法華行者の守護神これを護らんと欲して神力を現じ給う。吉隆急を聞きて駆け、景信不利をさとりて北る。南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。一乗受持の決意なお篤し。我が名は工藤吉隆。釈尊を尊び、聖人を敬う。その想い主人(あるじ)よりも、朋輩(とも)よりも強し。



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キツネつり

2018-11-05 19:40:25 | 河内國の昔話
こんばんは。
久しぶりに河内國の昔話です。




「キツネつり」

千年以上間にこの地に移り住んだといわれる、加納の人々の墓は、村落の東方の小高い丘にあります。
 その墓の北側は、深い竹やぶになっていて、クスノキやエノキの大木も多く、昼なおうす暗く気味悪いところでした。
 竹やぶにはたくさんのキツネやタヌキが住んでいたので、村人は稲荷祭の日や彼岸会には、赤飯と油揚げなどを施していました。キツネの魔力に敬いと共に恐れを感じる人が多かったのです。しかし、うどん屋が害を受けたり、折り詰めを取られたり、野つぼにはめられたり。コイが泳いでいるように見せられて、冬の冷たい川に入って寝込むなど、キツネの害が多くなりました。
 人をだますキツネを退治しようという声があがり、村でいろいろ協議した末、生け捕りにして日下の山へ連れていくことになりました。大好物であるネズミの天ぷらでキツネをつりよせ、傷つけないように捕らえるのが一番だと考えたのです。
 夕方、墓の前に舟を浮かべ、かんてきで火をおこしネズミの天ぷらを揚げました。香ばしいにおいがあたりに流れました。コンコン、という声を聞いたように思いました。ざわっと音がして、はっと緊張させられる一瞬もありました。でも、キツネは一向に現れないのです。舟の舳(へさき)と艫(とも)に吊るしたちょうちんが、ジジーと音を立ててまたたいています。
 「ほっ」と、だれかが大きな息を吐いたので、みんなの緊張が崩れたその時です。西の闇から、がやがやという声と共に、かすりの胴着や、荒い縞の着物を着た人影が近づいてきました。月が沈んだ闇の中なのに着ているものだけが浮かんで見える異様さにはだれも気づきません。その人たちは村の重兵衛、忠吉、茂助さんらで、みんな親しい人ばかりだったからです。
 「ご苦労さんだんな」
 「どんなようすでっか」
 など声をかけてきます。
 それに、二言三言応対しながら、舟上の人たちは「夜も更けてきたし、この考えも骨折り損に終わったか」との思いが強くなり、ぼつぼつ帰り支度にとりかかりました。
 と、一人の若い衆が、びっくりした声をあげました。今まで十五、六匹もあったネズミの天ぷらは一つ残らず無くなっていたからです。いつのまにか、重兵衛、忠吉さんらの姿が消えていたのです。村人は、いちようにじだんだを踏んでくやしがりました。
 それからは、キツネを捕らえようとだれも言わなくなったということです。

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庭の落ち葉で焼き芋

2018-11-04 18:10:43 | その他
こんばんは。

今日は朝からお昼にかけて中寺のお寺さんで大きな法要があり、出席してまいりました。

戻ってから、庭お桜の落ち葉で焼き芋です。





鹿児島に住む家内の友人が大量にサツマイモを送ってきてくれたんです。



ホクホクで、美味しいです。
感謝。
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入行会に行ってまいりました

2018-11-01 21:25:45 | 日蓮宗関係
こんばんは。
今日は冷えます。

東大阪の最高気温は17℃、最低気温は9℃でした。

日蓮宗では毎年11月1日から2月10日まで100日間の修行が行われます。
世に言う「日蓮宗大荒行」です。

今日、入行会に行ってまいりました。
大阪市宗務所管内から3名の僧侶が入行しました。

とにかく無事に、という思いでいっぱいです。

日蓮宗大荒行堂は千葉県市川市にある大本山法華経寺で行われます。


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