桜花賞とオークスを制したリバティアイランドの三冠がかかった今度の秋華賞、本当に楽しみです。同馬は、個人的には、「三冠」よりも秋の天皇賞を目指して欲しいくらいの逸材で、今年の3歳牝馬では抜けた存在であることは間違いありません。ただ、抜けていれば必ず勝つとは言えないところが勝負事の難しいところです。
同馬は今回桜花賞に続いて、トライアル戦を経ずに直接本番に臨むわけですが、近年このパターンで秋華賞に臨んだ、この時点の「二冠馬」の例をまず見てみましょう。
〇2022年 スターズオンアース(父ドゥラメンテ=キンカメ系・母父ミスプロ系)
オークス -6㌔ ③1着 2分23秒9(33.7)2着差-0.2
秋華賞 +8㌔ ①3着 1分58秒7(33.5)1着差+0.1
〇2020年 デアリングタクト(父エピファネイア=ロベルト系・母父キンカメ系)
オークス ±0㌔ ①1着 2分24秒4(33.1)2着差-0.1
秋華賞 +14㌔ ①3着 稍2分00秒6(35.8)2着差-0.2
〇2018年 アーモンドアイ(父ロードカナロア=キンカメ系・母父サンデー系)
オークス +4㌔ ①1着 2分23秒8(33.2)2着差-0.3
秋華賞 +14㌔ ①3着 1分58秒5(33.6)2着差-0.2
〇今年 リバティアイランド(父ドゥラメンテ=キンカメ系・母父ロベルト系)
オークス ±0㌔ ①1着 2分23秒1(34.0)2着差-1.0
秋華賞 ?
アーモンドアイとデアリングタクトは三冠達成となりましたが、去年、スターズオンアースは3着に敗れました。今年、リバティアイランドはどちらになるのか。オークスの時計を見ると、アーモンドアイと同じく「三冠達成」となりそうな感じもしますが、去年のスターズオンアースの轍を踏まないともかぎりません。
もし「三冠」が大目標であれば、常識的にはトライアル戦を使った方がいいのは確かです。アーモンドアイやデアリングタクトはオークスからぶっつけで本番秋華賞を勝ちましたから、陣営には、アーモンドアイクラスの最強牝馬なら、間隔が開いても大丈夫という自信があるかも知れません。実際、オークスは2着のハーパー以下に6馬身差をつけての圧勝でしたから、アーモンドアイと同等か、それ以上の実力馬と見てもよいくらいです。しかし、そこに「過信」というか「慢心」というか、隙が生じるかも知れません。
リバティアイランドは4月の桜花賞でGⅠ一冠目を獲りました。12月の阪神JFを勝って以来のレースで、ぶっつけ本番でしたが、32.9秒の上がり脚を駆使して見事な差し切りを決めました。勝ち方が派手だったので、「異次元の末脚」に注目が集まりましたが、実際のところはかなり危うくて、やっと交わしたというのが実情かも知れません。前で競馬ができない馬ではありませんから、1番人気なのに、作戦としてあえて最後方からレースを進めるような危険を冒す必要はありません。馬体重は4㌔しか増えていませんでしたが、やはり休み明けが影響してスタートの反応が遅れた可能性はあると思います(オークスは中位より前でレースを進めましたので、こちらが本来の戦い方でしょう)。唯一敗れた去年10月のアルテミスS(2着)も、直線で外に出すタイミングが遅れたのは、新馬戦を勝って3ヶ月のブランク明けが微妙に影響したのではと疑ってみたくもなります。同じことが、今度の秋華賞で起きない保障はありません。
去年の秋華賞はスターズオンアースの三冠がかかったレースでした。同馬はほとんど最後方から最速33.5秒の上がり脚で猛然と突っ込んで来ましたが、映像を見ると、直線で前が壁になって進路が塞がれた一瞬がありました。結局これが命取りになって3着に敗れたかたちです。勝ったスタニングローズとは半馬身差ですから、もしスムーズにいけばアタマ差くらい先に出ていたかもしれません。こういうのが起こるのが競馬の難しいところです。リバティアイランドの三冠盤石という声が大きくなればなるほど、天邪鬼な穴党としては首肯しがたくなりますね。
ただ、対抗馬の一番手と見ていたブレイディヴェーグが出てこないので、逆に、どの馬だったら勝てるのか、と考えるとなかなか答えが見つけられないのも確かです(モリアーナの末脚勝負に過剰な期待を寄せるのもどんなもんかと思いますし、オークス組からはハーパーよりもシンリョクカの方が気になっていますが、さすがに勝つまでは……。こういった馬たちはあくまで連下候補の域を出ないと思います)。
ということで、調教情報を見ながら、もう少しあれこれ考えてみようと思います。明日はこれも重要トライアル戦の土曜東京の府中牝馬Sを検討してみようと思います。本日もお読みいただきありがとうございました。