Quelque chose?

医療と向き合いながら、毎日少しずつ何かを。

「英国王のスピーチ」

2020-05-04 | 本・映画・テレビ
2010年の映画、「英国王のスピーチ」を観た。

史実に基づいた話であり、主人公はヨーク公アルバート、のちのジョージ6世。今の英王室のエリザベス女王の父である。

幼い頃から吃音があり、会話に難しさを感じていたヨーク公は、父王の代理としてのスピーチで失敗してしまう。
その後、妻エリザベスの紹介で、平民のスピーチセラピスト、ライオネル・ボーグと出会う。
最初は反発するものの、その後治療を受けに彼のオフィスに通うようになり、
ストレッチや顎の訓練、歌に乗せて話す、あるいはわざと乱暴な言葉や卑猥な言葉を怒鳴る・・・など、それまでとは違うセラピーを受ける中、
次第に、「王族と平民」としてではない信頼関係が生まれていく。

しかし、その後父である国王ジョージ5世が崩御。
兄がエドワード8世として即位するが、彼はシンプソン夫人との恋愛のため(いわゆる有名な"王冠を賭けた恋"というやつですね)自ら退位してしまう。
このため、ヨーク公アルバートは、思ってもみなかったことに、「ジョージ6世」としてイギリス国王に即位することになるのだ。
まもなく第二次世界大戦が開戦し、ジョージ6世は、国王として、全国民とイギリス統治下の全員に呼びかけるべく、スピーチを行うことになる・・。

 
ゴールデン・グローブ賞、アカデミー賞などさまざまな賞を受賞したこの作品。
まずは、主演のコリン・ファースの演技が素晴らしい。アカデミー主演男優賞を受賞しただけのことはある。吃音についてさぞ勉強(というのだろうか)したのだろうなという話し方。そして、王室のメンバーとしての風格と佇まい。吃音を意識し、できるだけカバーしようとしながらも、子供達に愛情を注ぎ、「おはなし」をするところなども見事である。(ああ、この子がエリザベス女王か・・と感慨)

王室の暮らしや、当時の政治や政局をうかがわせる登場人物や風景にも目を惹かれる。ヒトラーのニュースが入ってきたり、チャーチルがいたり。バッキンガム宮殿のバルコニーに立って群衆に手を振るところを、手を振っている人物の側から見ることなんて我々にはないので、「おお、あれか!」という感じでもあり。

そして最後のスピーチ。
まさに「国難に当たる国王」が生まれたと思わせる。
スピーチの前と後で、国王が明らかに「生まれ変わる」のである。

上記の、スピーチセラピーの時の乱暴で卑猥な言葉遣いのために、R指定がどうのこうの・・という一悶着(?)もあった作品のようであるが、特に子どもが見て心が荒むようなシーンはないと思う。おすすめ。


「最強のふたり」

2020-04-25 | 本・映画・テレビ
「ステイホーム週間」。
見逃していた映画を観るにはいい機会だ。
今日は2011年公開のフランス映画「最強のふたり」を観た。

 
事故で首から下が動かず、感覚もなくなってしまった、車椅子の大富豪。
新しい介護者の募集に、失業保険請求のために「書類だけ」もらいにやってきた、貧困層で犯罪歴のある黒人青年。

普通であれば交わらない二人の人生。
しかし、黒人青年の持つ「何か」・・・遠慮会釈せず、少し暴力的で、普通なら(上流の社会では)タブーとされるであろうことも含めて大富豪にありのままで接するその姿・・・が、富豪の心を揺らし、生活にメリハリを作り、そして周囲の人間をも(そして自分をも)少しずつ変えていく。

2013年のゴールデングローブ賞(最優秀外国語映画賞)を受賞した映画である。

そして、何よりもこの映画が世界中の人の驚きと共感を得たのは、これが実話に基づいているということだ。

実話のモデルとなった二人は、長年にわたり強い絆で結ばれていたと言う。

冒頭はカーチェイスから始まり、荒っぽくてハラハラするが、それが後に繋がっていくところでなるほど!と思える。少し「大人向け」の(こどもから説明を求められたら困るであろう)会話や仕草があるので、中学生くらい以上向きであろうか。
最後にはじーんと心が温かくなり、こんな自粛期間ではあるけれど、やはり「密」に人間関係を繋げていくのは素敵なことだなあと思える。



「ブルース・ブラザーズ」

2020-04-18 | 本・映画・テレビ
自粛だし大雨だし、何かちょっと笑える映画を観たいなあと思い、

まずは「サボテン・ブラザーズThe three amigos」を探してみたけれどAmazonでもNetflixでも配信がないようで(アメリカかどこかのAmazonにはあるみたいではあったが)、

なんとなく思い立って「ブルース・ブラザーズ」を観ることに。
いや別に「ブラザーズ」繋がりではなくて、たまたまコメディを検索していたところ、今だけAmazonプライムで無料みたいだったからである。

ちゃんと観たことなかったなあ、これ。





1980年、古き良き時代…というのだろうか? 大らかで大雑把で、発展していく大国の余裕がアメリカにあった頃か。
ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドが主演。黒スーツに黒の帽子、黒のサングラスのいでたち。あと、彼らを狙う謎の女はキャリー・フィッシャーだったのだな!

物語は、兄ジェイクが刑務所から仮出所し、迎えにきた弟エルウッドと、育った孤児院に向かうところから始まる。そこで二人を育てたシスターから、孤児院の危機を聞かされ…

あとはドタバタである。
よくもこんなに…と思うくらいのカーチェイスでモールを暴走したりシカゴの街が大混乱になったり、銃撃あり爆破あり、今だったらテロを想起させられる場面だらけ(!)なのだが、

誰も死なない(死んでる場面がない)のと、愛すべき黒ずくめの主役二人の歌やダンス、ノリのいいブルース、
そして「密」になってお互いに関わり合い、笑い合う登場人物たちのおかげで、
911以前の、まだテロの脅威が今日ほど高くはなかった時代に戻ったような気分になって、笑って見ていられるのかと思う。



「マトリックス」

2020-04-12 | 本・映画・テレビ
コロナウイルス対策で外出自粛の日曜日。
雨模様ではあるし、映画を観ようということになり、昔の作品ではあるが「マトリックス」を観た。
1999年のアメリカ映画。
キアヌ・リーブスが最高にカッコいいやつである。


当時はまだ「AI? 何それ?」と言っていたわけだが、今、こうしてAIが現実のものとなった時代に改めてこの作品を観ると、頭脳とは何か?支配するのは何者か?と思わせられる。
荒唐無稽かつスタイリッシュなSFではあるけれど同時に哲学的な作品であるからだ。何度も観ないと、いや観ても、すべての伏線を回収し、解釈するのは難しいだろう。預言者のくだりとか。

とは言え、あまり考えずに観ればこれはアクション映画なのだ。カンフーありガンアクションあり。できれば大画面で観た方が盛り上がる。あと、オリラジ中田さんを思い出すなこれ。

やはり名作である。
聞けば2022年にはキアヌ主演のマトリックス第4弾が公開予定だというから、それまでに続編も一通り観ておくべきかな。



「オペラ作曲家による ゆかいでヘンなオペラ超入門」(古本)

2020-03-02 | 本・映画・テレビ
古本屋で見つけた本。2005年第1刷とある。
クラシックの解説などでご活躍の青島さんによる、初心者のためのオペラ入門、のような本である。
と思って買って読んでみたが、実はオペラ好きの人こそ楽しめそうな内容だ(初心者の人が読めば、オペラを観てみたくなるかも)。

 
ここでは「カルメン」「椿姫」「蝶々夫人」から始まって、公演される機会の多い古典的なオペラ(とオペレッタ)を、どちらかと言えば楽屋の側から見て(自虐ネタを含め)説明している。
オペラの歴史や楽理などの知識が散りばめられていて、「そうだったのか」と思えること、また「そうだよなあ」と感じることがいろいろある。例えば「カルメン」で、ホセの容姿はどうでもいいが(?)、エスカミリオはバリトンなので歌い手が多く、「かなりハンサムな歌い手の選択肢が増え」たのだとか。ホントかどうかはアレですが、でも面白い。

私自身は、オペラをまがりなりにも(たまに)観始めたのはここ数年という、れっきとした初心者であるが(だってオペラは長いし高いし、薄幸で虚弱な設定のはずなのに歌い手の体格は(以下自粛
大舞台で朗々と歌い上げられるアリア、動きながら歌って演技する歌手と、それを彩るオーケストラや衣装、照明、舞台装置など、その時々の演出の面白さなど、(お金と時間があれば)これからもまた観たいなあと思う。(春には一応行く予定にしているけど、コロナウイルスでどうなるか・・・。あとはMETのライブビューイングもチェックしていきたいですね)