Quelque chose?

医療と向き合いながら、毎日少しずつ何かを。

Long-term outcome of ustekinumab therapy for Behcet's disease

2020-01-27 | 医学・医療・健康
Mirouse A et al.
Long-term outcome of ustekinumab therapy for Behcet's disease
Arthritis Rheumatol 2019: 71 (10), 1727

ベーチェット病の口腔アフタに対してustekinumab(抗IL-12/IL-23)を皮下投与。
12週および24週の段階でそれぞれ60%, 88.9%に効果あり。

主な副作用は頭痛。
ただしプラセボとの比較がないオープンラベル試験。

ベーチェットは症状が多彩なので評価き難しい面はあると思うが、治療の選択肢が徐々に増えていると言っていいのだろうか。
今後の検討が待たれます。


血液検査で「NRBC」が出たら

2019-07-26 | 医学・医療・健康
最近何人か、血液検査でNRBCが検出された患者さんがいらっしゃったので、この項目についてまとめ。
 
 
NRBC: nucleated red blood cells; 有核赤血球
 
 
通常、哺乳類の成熟赤血球には核がないことが知られています。
これは、赤血球が未熟な細胞から次第に成熟する段階で、核が細胞から抜け落ちる(脱核)するからですね。ここまでは良し。
 
 
赤血球系の細胞は、造血幹細胞→骨髄系前駆細胞 から分化して
 
 
前赤芽球  proerythroblast
↓好塩基性赤芽球 basophilic erythroblast(核が濃縮し始める)
↓多染性赤芽球 polychromatic erythroblast
↓正染性赤芽球 orthochromatic erythroblast(ここで脱核)
↓網赤血球 reticulocyte:脱核してすぐの未熟な赤血球
↓赤血球 erythrocyte
 
 
の順番で成熟する。
 
 
有核赤血球というのは、つまり未熟な赤血球であって、通常、胎児や新生児(生後数週間まで)の血液中に検出される。その後は、造血の最初の段階でのみ出現するがその後末梢血に入るまでに脱核して成熟赤血球となるため、健康な成人の末梢血液には検出されない。
 
 
したがって、
成人の末梢血で有核赤血球あり(NRBC+)であった場合には、何らかの造血亢進が生じている状態であると考えられる。溶血や急性出血などによる貧血のほか、白血病などの血液疾患の場合もあるので注意が必要。重篤な病態ではNRBCが予後と関連するとの報告もある(May JE et al のレビュー)。
 
 
 
 
参考:May JE et al, Cleveland Cl J Med, 86(3), 167:2019
 
 
画像はWikipediaから。
 
 

母乳と味嗜好

2019-07-19 | 医学・医療・健康
Association of Infant Feeding Patterns with Taste Preferences in European Children and Adolescents: A Retrospective Latent Profile Analysis.
Sina E et al. 
Nutrients. 2019 May 9;11(5). pii: E1040. doi: 10.3390/nu11051040.

欧州の子供達を対象として、乳児期の食習慣と、味嗜好との関連について調べた研究。

5526人の欧州各国の小児(6-16歳)を対象として、家庭での嗜好調査:甘味、脂肪、苦味、そしていくつかの食品についての嗜好性をアンケートで調査した。加えて、母親からは母乳のみ、人工乳のみ、あるいは混合栄養であった期間、および離乳食開始年齢について報告してもらい、ロジスティック回帰分析と潜在クラス分析を用いて、味嗜好との関連について解析した。

その結果、

予想に反し、乳児期の食習慣と、6-16歳における味の嗜好との間に、明らかな関連はみられなかったと報告されている。

赤ちゃんのときに飲んだのが母乳でも人工乳でも、その後の好みに変わりなし、という結論。


ベビーフードに過剰な糖分、WHOが警告

2019-07-16 | 医学・医療・健康
「国連は15日、市販されているベビーフードの多くには糖分が過剰に含まれており、その原材料リストも混乱を招くような表示になっているとする報告書を発表した。」
 
 
 
「オーストリア、ブルガリア、イスラエル、ハンガリーの小売店500か所以上で販売されていた製品8000種類近く」を調査したところ、エネルギー(カロリー)の30%以上が糖に依存していた、ということだ。
 
現場で子育てに関わっている立場でないと、ベビーフードのエネルギーや炭水化物など、普段あまり気にする機会がないのが正直なところ。ではあるが、こどもはその後、ジュースやお菓子など甘いものの誘惑に囲まれながら成長すると予想されるので、乳児期のベビーフードで甘味や糖質に「慣れて」発育することが、味覚の発達や食習慣、嗜好、体組成、その後の生活習慣病などに栄養しないか、やはり気になるニュースではある。



メモ:梅毒の治療

2019-07-05 | 医学・医療・健康
時々、いろいろな分野の研修会や講演会に出席して、時々メモを取ったりする。
そのメモを片付けるため、内容の一部をここに覚え書きとして書いておくことにする。
私の(ときどき眠くなりながら書いた)メモは間違っているかもしれないので、要確認だけれども。

梅毒について
・梅毒トレポネーマが侵入してできる初期硬結、硬性下疳(潰瘍)はとにかく「硬い」のが特徴。初期症状は中毒疹様に見えることがある。
・口腔内粘膜疹はアフタ様だが硬く、疼痛がある。
・咽頭梅毒は、両側軟口蓋に乳白色にbutterfly appearanceとして見られる。
・口腔内梅毒は感染源として重要。
・症状(初期硬結や硬性下疳)はあるがRPRやTPHAで陰性の場合、PCRを試みる。
・治療効果の判定:RPRが治療前の半分になったら、治療終了可と判断できる。
・老健施設などで偶然梅毒検査+だった場合、3−4週間あけて再検し、数値上昇がなければ陳旧性梅毒として問題ない。