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モリッシー 新アルバムに関する唯一のインタビュー全翻訳 (HOT PRESS Aug.20) 2

2014-08-20 02:22:32 | Morrissey Interview

今回のインタビューはStuart Clarkというイギリスの作家が書いています。

「モリッシーの心の平和」 

というタイトル。この慈愛に満ちた表情を見ていると落ち着きますが

果たしてこの人に心の平和が、現世で訪れることはあるのでしょうか?

そもそも望んでいるのでしょうか…?

 

それではあまりにインタビューが長いので、ここから5~6回にわけて翻訳を

掲載します。

 

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◆「ワールド・ピース・イズ・ノン・オブ・ユア・ビジネス」の曲の中で、

アイルランド人のファンの共感を呼ぶのは絶対に「マウントジョイ」

(アイルランドにある刑務所)だと思います。この場所の印象はどう

ですか?


その名前はあまりに非道だ、人々に何をしてきたのか考えてみると。

まったく「マウントジョイ」(「喜び山」)なんて名前の響きがふさわしくない

場所だ。それに比べるとマンチェスターの刑務所に「ストレンジ

ウェイズ」(「変なやり口」)という名前をつけた連中はちゃんとわかってたよね。

「マウントジョイ」か、うーん、なんてアホな名前なんだろうね?

なんかこれって地元の産院を「セント・キルモア」(「もっと殺せ病院」)って呼ぶのに

ちょっと似てるよね。


◆ブレンダン・ビーハン(アイルランドの詩人、作家)の名前が挙がっていますが、

彼の作品の中で、好きなものは?


何を選んでも間違いないね。ジェンダーにせっつかれている馬鹿げたことって、

この社会で我々を苦しめているよね。そういうすべてのものから身をかわして

いる人々が好きなんだ。


ビーハンのことが好きなのは、彼ってヘテロセクシャルであることが物事を解決

できるなんて微塵も思ってなんかいないところだよ。僕が思うに、ただヘテロ

セクシャルでいさえすれば十分だなんて彼は言わない。もし作品を読めば、

すぐに納得するよ。彼が書いている以外の世界は、とてつもない精神的疾患

に苦しんでいるってことが。彼みたいな作家が大好きなんだ。


◆暗いことを言うようですが、「オーボエ・コンチェルト」を聞きながら死を瞑想して

みた時、自分の葬式には誰が来るだろうかなんて考えるタイプの人間ですか?


ああ、みんな来るだろうね…もし私が、みんなの声が耳に届く距離にいなくなったら、

ついに、私のことを褒め称えようとし始めるんだろうね。けっこうよくある感じ

だよね?ジョン・レノンが死ぬまで、誰が彼のことをちょっとでも気にしてた?

誰も気にしてなかったよね。ジョン・レノンほど有名だなんて言いたい訳じゃ

ないよ、だって明らかに違うから。


◆「オーボエ・コンチェルト」は、ミセス・シャッフルウィック(1970年代、ロンドンの

ゲイ・パブで人気だった、ドラァグ・クイーンキャラクター)の語りのサンプリングで

始まります。正直言って、今まで彼女について興味を持ったことはありませんでした。

彼女(彼)について少し説明してもらえますか?


私の知り合いのほとんどすべてが、ミセス・シャッフルウィックにとりつかれている

よ。フランスでニュー・アルバムをレコーディングしていた時には、バンドメンバーと

毎日、誰が一番最初にミセス・シャフルウィックのタトゥーをいれるかについて

議論をしてたしね。それは私ではない、ってことだけは言えるけど。

 

ボズはどうにかこうにか、2枚のミセス・シャフルウィックのレコードを手に入れた。

彼はこういうことうまくやるんだよね。隠れたお宝を探し出すまで、足しげく街に

繰り出すんだ。


晩年、ボブ・ホスキンス(イギリスの俳優)が言ってたけど、彼はミセス・シャッフル

ウィックに5回会うまで、彼が男だなんて気づかなかったんだって。

あんなに面白い人は、他に聞いたことがないって。


もし、Youtubeで彼女の名前を調べれば、舞台映像ひとつと、2枚のアルバムを

見つけることができるよ。私は毎晩、ノンストップで風呂の中で聞いてるんだ。

彼のタイミング、彼の間、彼のオリジナリティー…彼はイギリスが今まで生んだ

最も面白い産物だ。彼は全部自分でジョークを書いていた、しかしそのほとんどは

『アー・ユー・ビーイング・サーブド?』(イギリスのシチュエーションコメディー)的な

60年代、70年代のコメディーからパクったものだったけどね。


慢性のアル中でうつ病。生まれた時は捨て子だった。そして1983年、

カムデン・ハイストリートで突然死した。ギネスの入った袋を背負って、フラットに

帰る途中だった。彼はショッピングにさえ、ミセス・シャッフルウィックのかっこう

で出かけていたんだよ。この前の私の誕生日にボズが、1948年のミセス・シャッフル

ウィックサイン入り写真をくれた。そんな昔にすでに、彼はミセス・シャッフルウィックだっ

たんだ。死んだ時、彼は25年間もの間、風呂に入っていなかった。あ、風呂に入って

いなかったのはミセス・シャッフルウィックの話、ボズではないからね。


私は彼の2枚のLPレコードと、CDをリリースするように、ユニヴァーサルを急かし

たんだ。でも彼らは、誰もそんなもの買うわけがないと言うんだ。少なくとも38人

は買う人間を知っているのに。話しはそこからだ、そう思わないかい?


(つづく)

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