あれもこれも

灰原中心二次創作サイトの創作人によるあれこれ日記。何かありましたら「拍手」からどうぞ。お礼は名探偵コナンの小ネタ三種類。

灰原哀という存在:前編  劇場版名探偵コナン『黒鉄の魚影』感想

2023-04-15 00:45:39 | 感想(アニメ等)
 今年の映画の主役は灰原哀ちゃんとあってはこれはもう見に行かざるをえません!ということで満を持して初日に行ってまいりました、今年の劇場版名探偵コナン『黒鉄の魚影』。

 以下はネタバレ感想です。


 いつもは五月くらいにのんびり行くのですが、今年はそうはいきません。なんてったって我らが灰原哀ちゃんがメインですからね!!正直、20年待ちました。もう来ないかもしれないと思っていました。だって哀ちゃんが中心になるならばがっつり組織についてその過去も含めて描かざるをえませんし。しかしその機会がついに訪れたのですから、もう始まる前から気もそぞろでした。
 場所は劇場版名探偵コナンの聖地、TOHO梅田。今日って平日ですよね?というくらいの大盛況ぶりに、いや、わかるよわかる。今ここに灰原ファンたちが待ちに待った日に集結してるんだもんね、と一人誰にともなく頷きながら見てきました。

 で、結論から申しあげますと最高でした私の見たかった、私が大好きな灰原哀ちゃんの全てがありました
 思い起こせば18巻の「黒の組織から来た女」で哀ちゃんが登場し、その時に彼女の本名が宮野志保であること、組織時代のコードネームがシェリーであることは知らせれました。しかしそれ以降もずっとその中で彼女がどんな風に生きていたのかはわからなかったし、私たちは「灰原哀」という今の彼女からそれを推し量るしかありませんでした。そしてその「灰原哀」は登場の時からゆっくりと時間をかけ単なる偽名のカヴァーから、本当の意味で「灰原哀」という一人の少女となっていった、それをずっと見守っていたんだと思います。
 
 それが今回の映画で「宮野志保」時代の彼女が客観的に描かれることで、今の「灰原哀」としての彼女の中にも「宮野志保として生きたもの」がしっかりと受け継がれているということがわかり、そして今の「灰原哀」ちゃんにはこれからも居たい場所がちゃんとあるということも示されました。哀ちゃんは過去からの道を歩んできて、未来への道をちゃんと見つめている。そのために今、自分で選択をして生きようとしているという姿を見せてもらって、25年間彼女を追いかけてきた私はもう感無量でした。ありがとう、哀ちゃん。
 哀ちゃんは私が思っていたよりもずっと強くて、優しい女の子でした。

 で、あまりに見てきたものが、すごすぎていつもながら一回ではとても覚えてられないので、本当に断片的ですが、時系列で思ったことをつらつらと。


 組織編でお馴染みのなんか組織に追われて殺されかかっている人から話が始まります。助けを求めているのはどうやらジョディ先生。ジョディ先生を選ぶ時点で死亡フラグしか感じません。
 追っているのはキール。なんか久しぶりですね、組織編になるとちょっと顔が出てくる人じゃないですか、と思ったら今回は組織側のキーパーソンでしたね。本当に哀ちゃんがお世話になりました!これからも元気にNOCやってください。活躍を念じております。
 キールさんは助けたそうでしたけど、お姉さんはジンの兄貴にえげつない感じで射殺されます。これはキールさんへのお仕置き込みってことなんですかね。

 からのいつものOP。今回は割とサクサク進みますけど…アイリッシュ要りましたかね?(4/14金ローでなんで「漆黒~」かはわかりましたけども(笑))

 ショッピングモールっぽい所に福引に来た探偵団。一等は八丈島の旅行券。哀ちゃんは少し離れてフサエブランドの購入整理券をもらいに行きます。お姉さんも明らか子どもの哀ちゃんに渡すんかい、と思わないこともないですが、最後の一枚を無事ゲットですよ。ところがその後に来たおばあさんがあまりに残念そうなので哀ちゃんが権利を譲ります。さすが哀ちゃん優しい!好き。
 私、この時のおばあさんの爪でベルモットの変装なんだなってのは割と早い段階でわかってたんですが、それはそれとして哀ちゃんの組織センサーはもうベル姐さんの本気変装では作動しなくなってるんでしょうか?そこはちょっと気になりました。

 で、そんな優しい哀ちゃんの行動を見ていたのは園子と蘭。八丈島の旅行券が外れて残念がる子どもたちと博士になんと八丈島にあるベルツリーホテルへのご招待を告げます。聞けばこれはおばあさんに権利を譲った哀ちゃんへのご褒美だとか。ここね、本当に感動したんですよ。だってね、園子マジ良いやつじゃん!!!!今まで、ちょいちょいと哀ちゃんと組むことがあった園子ですが、その中でちゃんと哀ちゃんのこと見ていて、二人が関係性を築いてたんですよね。そして哀ちゃんが本当はとてもやさしい子だってことをちゃんと見てくれていたわけですよ(ここで「今回だけは鈴木財閥がえらいめに遭いませんように」と真剣に願いました)
 こういう風に哀ちゃんが哀ちゃんとして過ごしてきた結果がこういう風に表れるそれが今回の映画のテーマの一つだったような気がします。

 で、一行は八丈島へ。なんか近くにはパシフィック・ブイとかいうヤバげな建物があって、というかこんな地震多発地帯に何作ってるの?とかツッコミどころはたくさんあるんですが、まあ置いといて。途中の博士の車の哀ちゃんがかわいいとかそういうポイントもありつつ、いつも通り団体行動不可能なコナンは勝手に警視庁の船でパシフィック・ブイに不法侵入を果たします。そのままなし崩しで内部に入り込むことに成功するのはいいんですが、さすがにこれは言いたい!パシフィック・ブイ、ゆるゆる過ぎるやろ!?いや、時間の制限もありますし、ご都合主義になるのは解りますよ?しかしまあいくらんでもこれは、ねえ?(笑)

 そんなこんなでベル姐さんとバーボンが来て、今回のゲストヒロインの直美さんが攫われるんですが、もう一回良いですかね?パシフィック・ブイ、ゆるゆる過ぎやろ!!?
 とはいえここで大問題が発生。哀ちゃんがシェリーであることが発覚してしまいますよ。というわけで組織会議。某パワハラ会議ではないですが、このブラック会議、何ともダメな感じで任せちゃいけないやつが責任者に決まります。そう、オレ達のウォッカです(笑)というか相変わらず個々の組織、本当に組織論としてダメですね。

 今回、ウォッカ、めちゃくちゃ大活躍でしたが、もう本当にいつジンの兄貴に粛清されないかと不安になりましたよね。

 ここでいよいよ今回の組織側ゲストキャラのピンガが本格登場。ウォッカと哀ちゃんを攫いに来ます。

 一方ホテルの戻ったコナンは博士と哀ちゃんに幼児化がばれたかもしれない話をして、ハイきました名シーン!!スーパーマントーク来ましたよ!!!ここの哀ちゃんとコナンのやり取り、良いですよね。あと博士がされげなく哀ちゃんを気遣ってるのが良かったです。

 そんなほっこりシーンも長くは続けてくれません。つきに迫りくウォッカとピンガ。気配に気づいて逃げようとする哀ちゃんですが、横で寝ていた歩美ちゃんの寝相を直して布団をかけてあげます。さすが哀ちゃん優しい!好き。ここの歩美ちゃんのことを本当に大事に思ってるんだなって、BD買ったら5回くらい巻き戻すシーンですよ。

 薬で眠らされて車に乗ろうとする哀ちゃんを助けに来たのは蘭。いや、この子どんだけ強いんですか?組織はそろそろ蘭のことをスカウトしてもいいじゃないですかね?っていうアクションですよ。追いつめられるピンガに組織の奥の手、スナイパーのキャンティが狙撃で援護をしますが、そこはぎりぎりでコナンが回避。これが今回の「らーん!!」ポイントでしたね。お約束のシーンはここでとりあえず消化ですが、その後の取れた車のサイドミラーを蹴って200メートル向こうのキャンティに攻撃するのはさすがにツッコミたい。どんなくつ!?ってかそのミラーもどんな素材やねん!?コナンの靴は一応はツボを刺激することでキック力を増強する作りだったと思うんですが、北斗神拳でもそんなツボつけないと思います。

 博士が車で駆けつけてここからはカーチェイス。博士が哀ちゃんのためにかなり無茶をしてくれます。予告の「ぶつけてでも止めたるわい!」はここですね。しかし奮戦むなしく、哀ちゃんを乗せた車は海へ。ここで哀ちゃんが死んでしまったと思って泣き崩れる博士の姿には涙腺が刺激されましたよね。「哀君、どうして…」と声を震わせる博士。これまで過ごしてきた時間は二人を本当の家族にしてきたんだなと、哀ちゃんに何かあるとこうやって泣いてくれる人がいるんだなと胸が締め付けられるようでした。これも哀ちゃんが過ごしてきた時間への解答ですよね。

 哀ちゃんは生きてて潜水艦で攫われたということを博士に告げるコナン。そのまま二人は目暮警部と佐藤さんにこのことを話します。ここからのというか哀ちゃんが攫われてからのコナンはいつもと全然違いましたね。終始余裕のない感じで。推理が行き詰った時とも違う、周囲の人が攫われた時の中でもこの余裕のなさはちょっと例がなかったと思います。それだけ哀ちゃんが大事なんだなというのがよくわかりました。今まで「お前の頭の中は俺・蘭・それ以外しかないんか」とかいってごめんな

 これ、コナンにとってもピンチだとか哀ちゃんの命が危ないもありますけど、組織にばれたら哀ちゃんが自分たちの元を離れることをわかっているんですよね。だから哀ちゃんの命を助けるだけじゃダメで、「灰原哀」をその居場所ごと守らなければ意味がないということも含めて、かなり追いつめられている、そういう焦りもあったんだろうなと思いました。

 そして一方、攫われた哀ちゃんが見るのは組織から逃げ出した時の夢。このシーンは何度見ても苦しいですが、ここまでリアルにそして詳細に哀ちゃん視点で描かれるのは初めてじゃないでしょうか。工藤邸の前で、博士に拾われ、その博士が倒されるという悪夢に飛び起きたら、そこにいたのは直美さん。

 直美さんは幼いころアメリカで志保さんに救われたことがあったことが語られます。「東洋系の顔で虐めらえていた」という話は出ていましたが、その後ろにこんな裏話があったとは。哀ちゃん、いや志保さんは優しい女の子で、そしてその志保さんの存在はそのまま哀ちゃんに繋がっていて、以前の映画で「記憶をなくしたい」と言った彼女ですが、今の彼女の中に間違いなく宮野志保という存在でもあるんだとこのエピソードで強く感じました。
 そしてもう一つ、宮野志保を覚えていてくれて、大切に思ってくれている人がちゃんといたんだということはとても嬉しかったです。もしかしたら哀ちゃんは明美さんがいなくなった時に宮野志保の存在がとても無意味だと思ったかもしれませんけど、そうじゃなくて「灰原哀」だけじゃなくて「宮野志保」がいたことにもちゃんと意味があったんだと、彼女が思える人がいたことがとても素敵だと思いました。

 直美さんにとって志保さんを助けられなかったことは大きな後悔になっていましたが、システムを作って最初に確認できたのが明美さんと楽しそうに街を歩く志保さんで、それを見て飛び上がって喜んでいたのは志保さんが大人になっていたということもあるでしょうけど、「楽しそうだったから」というのもあるんじゃないでしょうか。ちゃんと成長して楽しそうに笑っている、それはとても救いになったと思います。
 今回の映画は改めて宮野志保という存在について色んな角度で考える、そんな機会になりました。

 そして哀ちゃんと直美さんの会話に割り込むのはへっぽこ、もといウォッカ。「彼ら」と組織の連中を呼ぶ哀ちゃんに「シェリーらしい」と評します。「あいつは組織に馴染んでなかったから」と。ここね、もうね、いろんな感情が出てきて言葉になりませんよね。やっぱり馴染んでなかったんだなとも思うし、馴染んでないって言われるくらい孤立していたんだなとか、そんなところに居た18歳の女の子がどれほどつらかったかとか。そこにさっきのお姉ちゃんとの笑顔を見ると、志保さんにとって明美さんがどれほど救いだったんだろうかとか。たった一言ですけど、組織時代の「シェリー」の解析度が一気に上がった気がします。

 ウォッカに言われて哀ちゃんを縛るキールさんと、そのキールさんのパーカーに盗聴器を仕掛ける哀ちゃん。もちろんウォッカと違いキールさんは盗聴器は織り込み済です。さらにキールさんは哀ちゃんの手のロープを抜け出しやすいようにちゃんと縛ってくれます。今回のキールさん、マジでスーパーアシストの連続ですよ。

 そしてウォッカとキールさんは直美さんを連れて組織への協力を迫ります。そのやり方は組織の常套手段、身内を使った脅迫です。泣きながらこれを拒む直美さんにウォッカは直美さんのお父さんの暗殺を命じます。実行役はコルン。どうでもいいんですが、キャンティといる時とコルン単独の時とかなり任務遂行率が違うので、コルンはもうキャンティと引きはがした方がいいと思うんですよね。あとFBIほんと使えな…げふんごふん

 コルンの銃弾に倒れるお父さんのマリオさん(始まる前に某配管工の映画の予告を見てたので頭に残るお名前でしたね)と泣き崩れて「お父さんお父さん」と呼ぶ直美さん。これは哀ちゃんとキールさんには辛いですよね。二人とも悲痛な顔で耐えていました。ここは二人を見てるのがきつかったです。

 泣きながらお父さんを助けられなかったこと、志保さんを見捨てたことを悔やむ直美さんに声がかけられない哀ちゃん。そりゃそうですよね、この直美さんの気持ちを誰よりもわかるのは哀ちゃんですから。この辺の哀ちゃんの心情を思うと、もう私の涙腺が魚雷攻撃を食らいますとも。


というわけでさすがにあまりに長くなってきたので、ここで分けます。後編はこの後の哀ちゃんと直美さんの脱出からです。



 

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