芙蓉
花言葉 しとやかな恋人。 繊細な美。
「あんた、どこも悪いことないんかいね。」
「ああ、どこも悪くないわ。」と一瞬答えたが、急に思い返して。
「耳が悪いんや。」と言い直す。
「ちゃんっと分かってるじゃないかい。」
「ここは静かやさかい。騒音があるとこではさっぱり分からんがや。食べ物屋さんへ行っても、人が喋っていることがさっぱり分からんのでつまらん。ただ食べているだけや。」
「そんなら大きな声で喋ればいいがやないけ。」
「そしたら、隣の人に迷惑になるさけと言われるんや。」何て、ここぞとばかり訴えた。
小学6年の時、おたふく風邪にやられて右耳が聞こえんようになった。また。数年前には竹の破裂音で大事な左耳まで聞きずらくなった。
突発性難聴はすぐ耳鼻科へ行けばよくなるというけど、すぐ耳鼻科へ走ったが全然よくならない。
音が割れて、ビリビリ言っているだけで発音がまるで聞き取れない。それでもどこかで講演があると聞けばこまめに聞きに行く。ただ眠っているだけだけど。家でくすぶっているよりはましかなと。
ワンコ便り
散歩の途中でブルドックに出会った。少し怖かったけど、そーっと手を出してのど元を撫でて見た。そしたらよほど気持ちが良かったのか、はなれようとしない。移動したらぼっかけてくる。「もっとなでてよ。」と言わんばかり。犬も人と仲良くしたいんだな、と思った。
それに比べ我が家の犬なんだ。家に来て6年になると言うのに未だに慣れてくれない。かなしい。