日本・フランス・アメリカ 3つの国をくらべてみたら

アメリカでの生活を中心に、6年半暮らしたフランスや母国日本との違いに触れながら、気の向くままに書いていきます。

フランスのサービス その2

2016-05-25 21:24:02 | 生活
ここで、フランスらしい例を一つ。以前、スーパーに行って何か聞きたい事があって
サービスカウンターに行った時のこと。サービスカウンターには4、50代と思われる
男性が1人だけいて、他のお客さんと何か盛り上がって話しをしている最中だった。
そこで順番を待って、いざ私達の番になって何か商品についての質問をすると、その店員は、
「いや~、僕はここに居てペチャクチャ喋っているけど、実は何にもしらないんだよね。
直ぐに他の店員が来るから待っていてくれる?」と何ともユーモラスに応えた。カウンターに
肩肘をつきながら、接客のマニュアルには絶対に書いていないような対応だったが、彼の
人徳なのか、思わず笑ってしまった。
フランスにももちろん丁寧語はあって、店員など接客業の人達や初対面の人などには丁寧語で
話すのだが、話し方によってとてもフレンドリーな印象を与える事がある。一方、日本の接客は
とても教育が行き届いて、まさに『お客様は神様です』という感じがするのだが、丁寧になれば
なるほどよそよそしくなるのも否めない。

また、ネットショッピングで工作の材料を購入した時は、10グラム入っていなければ
ならなかった商品が5グラムしか入っていなかったので、問い合わせのメールを送った。
すると返事は、「私共の下請けの会社が、私共に報告なしに勝手に商品の量を変えてしまった
ようです。直ぐに、不足分の商品を送らせていただきます。」と言う内容だった。文面には
「申し訳ございません」の一言もなく、まるで子供の言い訳のような文面だった。
文化の違いなのか、フランスでは「申し訳ございません」の一言を言ってもらえることは
ほとんど無い。日本人は簡単に謝りすぎると言われることもあるので、どちらが良いか
一概には言えないのだが、例えば、商品の一部が入っておらず、後日店に行っても、
不足していた商品を「どうぞ」と渡されるだけで、「申し訳ございません」の一言は無い。
フランス的に考えれば、この商品を梱包したのは下請けの会社だから、自分には不備は
無いから、謝る必要は無いのだろう。

ネットショッピングなどは予定の期日に届かないこともあるが、ネット上で配達状況を
確認すると一日中家に居たにも関わらず「(配達しましたが)不在でした」と書かれて
いたり、「住所不明のため配達できませんでした」と書かれているのに、翌日には普通に
配達されたりする事も珍しくない。素直に謝りたくないのか、「言い訳」が許される
文化なのか、日本との違いを感じる事が多い。

また国が変われば接客の仕方も変わるのか、これは10年以上前に中国に行った時の事だが、
切符売り場で電車のチケットを買った時には、お釣りを投げ返されてとてもショックを
受けた事がある。しかも、中国人は私達日本人と風貌が似ているために、どこかで私達と
同じ感覚を持っていると無意識に信じているのか、その期待を裏切られた時のショックは
相当なものだった。

話はフランスのサービスに戻るが、私は仕事をしていないので、誰かとこういったやり取りを
するのは買物をするとき位。仕事をしている人達は毎日こんなやり取りをしているの
だろうかとダンナに尋ねてみた。すると、ハンガリー人のダンナでさえ、「フランスでは
客の立場に立ってものを考える事がない」と言っていた。そして、残念な事にフランスの
こういった物の考え方は、他の欧米諸国に対しても良い印象を与えていないらしい。

日本のように丁寧すぎても何かを言われ、フランスのように自分の主張を前面にだしても
文句を言われる。結局、何をどうしても文句を言われてしまうのかもしれないが、色々な
文化に触れて、その違いを体験する事で多くの事を学んでいる。


↓ロバの耳のようなフワフワの大きな葉っぱを見つけたよ


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
最初の洗礼はイミグレだった (香織)
2016-06-07 21:43:53
海外に行くと、日本人のお客様対応が、正に「神対応」だということに改めて気づかされるよね。私の場合、最初の洗礼はフランスのイミグレだった。何か聞かれたらどうしよう…初海外でドキドキしてるちんちくりんな日本人を、ジロッと音が聞こえるくらい無遠慮に見下ろし(仕事だけど)、適当に開いたページにこれまた適当な感じでバンッ、スタンプを押したパスポートを、これまた無造作にポーンと放ってこられた時には啞然。それでも、人には礼儀正しくと躾けられたTHE日本人の私は、センキュゥ…消え入りそうな声でお礼を言いながら、ゲートを通り抜けるのであった…。
ちなみにドイツのイミグレでは、メンバー交替のタイミングにかち合ったんだけど、交替要員の男性が、帰ろうとする女性職員の肩を抱いて押し留め、耳になにか囁いてキャッキャ言わせたり、頰っぺたにキスしたりしてる!えっとぉ…私ずっと目の前で待ってるんですけど…。抗議する英語力を持ち合わせていない私は、ただただ苦笑いのまま、この乳繰り合いが早く終わってくれることを願うだけだったよ。
帰国した日本のイミグレで「おかえりなさい」の言葉をかけられた時は、本当に感動したわぁ。
返信する
Re:最初の洗礼はイミグレだった (kanaemon)
2016-06-08 04:51:14
コメントありがとう。本当に日本の客対応は世界に誇れるものがあるよね。もちろん例外はあるけど。
私は直行便でフランスに来た事がないのでフランスのイミグレは通った事がないんだけど、香織が受けた対応は酷かったね。フランスでもスーパーのレジ係の人などは「こんにちは」から始まって、「ありがとうございました」とはあまり言わないものの、「さようなら。良い一日を!」と目を見ながら笑顔で言ってくれる人がほとんどでとても良い印象です。役所関係の人もだいたいこんな感じだけど、社員教育が徹底されていないのか、フランス人の個人主義的な面が強く出るのか、ときどき香織の会ったイミグレの職員や、私の会った店員のような人達がいます。今日はこの人、機嫌が悪いんだなぁ、みたいな人が。そしてやっぱり、そういう人に当たってしまう確率は外国が多いような気がします。日本のスチュワーデスさんとか見ると、プロだなぁ、とつくづく思うよね。
でも一方で、外国で暮らすようになって思うのは、私は仕事をしていないけど、私が出会う人たちにとっては、私は数少ない日本人。という事は、彼らにとって、私のイメージ=日本人のイメージだという事。旅先で出会った人達にも、笑顔で感じよく対応することで、決して損はしていないと思います。あとは、自己主張が無いように思われがちな、日本人の謙虚で礼儀正しい姿勢も、実際の海外生活で悪印象を持たれた事は一度もありまません。日本人の評価も常に良いものではないけれど、今更自然に外国人のように振る舞えるものでもないので、日本人である事に誇りとまでは行かなくとも、自信を持って誰にでも同じような真摯な態度でいるべきだと私は思っています。
返信する