赤い折り鶴
20代後半の頃、私は仕事が続かず、大抵は派遣会社登録に奔走し、仕事面接よりもそっちの方がメインの様だった。数多ある派遣会社。登録しておけば、どこかから声がかかるかもしれないと期待しながらの登録会。
中国語能力は高くても英語ほど必要とされず、翻訳の仕事すら争奪戦だった。
なので時々、興味の有るサイト更新やDTPオペレーターや営業事務や広告事務等でしのぎを削り、溺れかけながら貧乏なフリーターや派遣社員で生活苦に喘いだ。
藁をも掴む思いで当時相手をしてくれた男に飛び乗ったが暴れ猪にひどい目に遭わされ、死にかけた。
生きているのが不思議だ。
うまくいかない生活を送り、登録会から次の登録会の合間に入った喫茶店で、へとへとの私はテーブルに有った赤い小さなナプキンを手に取り、何と無しに鶴を折った。覚えるつもりのなかった「猫踏んじゃった」同様、鶴だけは上手に折れるから。
間もなくして、某有名歌手のCDジャケットに「赤い鶴」の図案が載せられ、発売された。
あまりにドンピシャで、「半分の私」写真をインスタで公表したのと同じくらいショッキングな出来事だった。インスタ公表してすぐに、タイトルが半分の~ドラマが始まり、気持ち悪かった。
スマホの調子が悪いのでインスタ(2~3作ったが)更新がままならない今、ほぼ放置の私とは正反対の、気持ち悪い軍団がメディアでもてはやされているのが判明した。
私を「監視しながら」「やっている事をそっくり写す」必要はないはずだ。
それは犯罪スパイだろう。他に形容できない。もしくは盗賊だ。「私的知的財産の略奪」だ。
人生の歩みや行いや思考までもを略奪する犯罪スパイたち。寝ている間にも盗もうとする強欲さ。
何も急ぐ必要は無い。睡眠不足はかえって通常の歩みを阻害するだけだ。ふらふらな私が、元気いっぱいに社会生活を送れるはずもない。
ふらふらな私から搾り取れるモノは僅かだろう。
それともこの文章くらいで満足か?