katydid's blog

ハネナガキリギリスが住んでいるところに生息しています。

「めっすん」第2章

2009-12-12 18:03:30 | 奇跡的に出会えたキリギリス
キリギリスは日の光や暖かいところを好みます。
飼育ケースの蓋を開けると殆どのキリギリスは明るい方向に歩くので外に出て来ますし
初秋を迎える頃には日向ができるとその部分に身を寄せて休息する姿を何度も目にします。
なので、手にのった時に、そこが暖かければ同様に大人しくなるのも普通に考えられることです。

「めっすん」が他のキリギリスと違うところは、手を覚えたことです。

まさか、と思いますか?
私は帰宅すると必ず手にのせるようになりましたが、身体を掴んだりはしません。
極力こちらから行動を強いるのを避けて自然に手にのるように心掛けていました。
繰り返していくうちに安全で居心地の良い場所と思い始めたのかも知れません。
世話をしようとケースの蓋を開けても動かずに私の手が近くに来るのを待つようになり
手を認識できてから初めて動きだし、のってくるようになったのです。
のせている時間は短くて30分、長くて2時間でした。
彼女は私の手の中で身体を横たえて口の力も抜き、安心しきったように休むことが多くなりました。
さらに彼女をケースに帰そうとして手にのせたまま中に入れると
それを嫌がり手を螺旋に登り、力を入れてしがみつくようになりました。
粘られて根負けした私が手を動かすのをやめると彼女も力を抜きます。
困りながらも嬉しい延長です。


<粘ってしがみついているところです>

それでもとうとう時間が無くなり、布で足をすくって、そっとケースの中におくのですが
その後、四方に素早く走り、見渡して私の手を探し始めるのです。
その姿が可哀相で愛しくて、明日はもっと長い時間一緒にいようと思いながら
またね、と話しかけていました。

さて、どうでしょう。
私が愛情を溢れんばかりに抱いている故の勘違いに思いますか?
私は、彼女が私の手で過ごす時間を
たとえそれがほんのひとときであったとしても楽しみにしていてくれた
そんな気がしてならないのです。
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「めっすん」第1章

2009-12-09 02:08:27 | 奇跡的に出会えたキリギリス
8月の初旬、私と娘はキリギリスが鳴く草原にいました。
「めっすん」と出会ったのは、その草原の中キリギリスの鳴き声を頼りに茂みを歩いていた時でした。
鳴いていた♂は見つからず、ふと見ると卵管のあるキリギリスが草につかまってじっとしていました。
貴重な♀です。静かに、動いても目で追えるように時間をかけて近づいてみました。
いつのまにか30㎝くらいまで顔を接近させていました。
彼女は動きません。
今考えると随分強引なことをしましたが、虫捕り網をバサッとかけて網の中にいるかを確認しました。
流石に驚いたようで歩きづらそうにしています。
ん、歩きづらそう?あまりジタバタする様子がありません。「え~、なーにー…」って感じです。
♀はこうなのかなと思いました。
(実際は違います。それは「めっすん」の性格で、後日家に来た「ソニヤ♀」は用心深く、逃げまくりました)
雌雄で育てたかった私も娘も大喜びして、ヤッター、良かったねーを連呼して帰宅しました。

その後そーっと大事に飼育ケースへ。
見ていると、これが可愛い。ニンジン食べてる、良かった。木に登ってる、スゴい。(スゴかぁない)
んんー、やはりここで生き物好きの血が騒ぎ出しました。
手にのせたい。でも噛まれるとひっっっどく痛い、ケラの次に痛い、子供の頃にインプットされてるがどうする。
でも手にのせてみました。彼女は「なんだここ?」みたいにゆっくり歩いたり立ち止まったりしていましたが
♂のように試し噛みをすることはありませんでした。
それから間もなくでした。何と手のひらで両足を伸ばしてベタッと休み始めたのです。
♂でもたまに休むことはありますがこれほど緊張感を解いたりしません。
彼女は居心地が良いと素直にその環境を受け入れるタイプのようです。
30分~40分ずっとそのままで休んでいました。



私は単純です。見ていて10倍も可愛くなってしまいました。
その日を境に毎日彼女に会うのが楽しくて嬉しくて仕方なくなりました。
彼女もこの日から手の温もりを覚えていきます。
いつまでも、ずっと、最後まで。








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心を通わせたキリギリス

2009-12-07 00:59:00 | 奇跡的に出会えたキリギリス
皆さんは動物と心を通い合わせたことがありますか?

犬や猫、鳥とでもいいです。長く一緒にいると今同じ気持ちでいるとわかる瞬間がありませんか?

では
昆虫とそんな気持ちになったことは?

疑問符だらけですが、最後の質問にも今の私は「ある」と答えます。

俄には信じ難いのではないかと思います。

根拠とか証拠とかはありません。

嘘を書かないと前置きすることくらいしか出来ませんが

同じような経験をしている方は世界中に1人はいると思っていますし

その方の目に留まってくれたらとも願っています。

キリギリスを愛する方にも、また、そうでない方にも

キリギリスは私たちが考えているよりもずっと頭が良くて

信頼関係を築ける昆虫かも知れないと思って欲しいです。

今後数回に渡り書き記したいと思います。

では次回から登場するキリギリスを紹介します。

私と心を通わせた♀のキリギリス「めっすん」です。



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