寂しくて嬉しい気持ち

お嬢と松葉君はもうここにいません。

故郷の、それも安全な場所に帰りました。

キリギリスの飼育なら、ここからなのにって方もいると思いますが

それはきっとお嬢じゃなくてもいいでしょう。

この家で生まれて、天使のような羽を見せてくれてくれるまでに成長して

パートナーとも出会えてお腹に子どもをたくさん宿した。

そして家にも子どもを託してくれて、互いに幸せを分かち合った。

これからは彼に守ってもらいながら

君がいるべき所で生きるほうが良いだろう。



そういえば、数日間に３度も交尾するのは初めて見たよ。

待ち焦がれていたのか、余程相性が良かったのか

イイ奴連れてきただろ？

今だってまだ外では鳴いていないんだ。随分と苦労したんだぜ。

でも君も松葉君も何か強運に守られている、そう思えてならない。

君は僕が誤って怪我をさせてしまうようなアクシデントも

何故か運良く避けられたりしていた。

君の無茶な行動も僕が何故か見つけて止めてあげれらた。

松葉君は幅が５０㎝もなく草も僅かしかない道端で鳴いていた。

僕が偶然に信号待ちをすることになって聞きつけなければ

あのような所で君に長い未来はないだろう。

皆運命に導かれたかのようだったね。



僕は

君達がいない部屋は寂しいけど

君達を比較的安全な場所に連れて行けたことは嬉しい。

そして出会ってきたキリギリス達への恩返しにもなっていてほしい。

君達から学びながら、疲れながら、おまけに寂しさも繰り返しながら

これからも大好きな君達を思っていくつもりだ。

離れた場所でも君を思い守り続けていたい。

気持ちをそのまま伝えようとすると無茶苦茶になるね

手にすることが出来ないものを欲しがっているかのようで

すまないな　今はうまく言えない

溢れ出る幸せ

パートナーが見つかりました！ヽ(゜∀゜)メ(゜∀゜)メ(゜∀゜)ノ



羽に黒点が非常に多くある松葉色の青年です。

お嬢とはかなり異なる遺伝子を持っていそうです。

体は小さい（♂では標準です）ですが

あまり攻撃的でもないし、ガチャガチャするようなタイプではありません。

が、何十匹も見てきた僕の見立てでは生命力がある強い♂です。



良かった　もう後がない状況だったので

腰砕けになるくらいに安心しました。

実は

既にお嬢は無精卵を出していました。

１個目は他の昆虫の卵かと思いましたが

２～３日してまた同じものが落ちていました。

擬似的に産む行動だけをしているなんて

どれだけ辛く切ないことか

言葉を失いました。

今日は全市回ってでも奇跡を掴み取るつもりで外に出ました。

微かな鳴き声も聞き逃さないように車の両ウインドウを開けっぱなしにして

すると全く予想しないところから松葉君の声が

頼む　僕とお嬢を救ってくれ　頼む　頼む

網の中に来てもらった時には嬉しくてたまらなかった。

一方、松葉君、すんごく静かで動揺している気配もなく

熱意が伝わっているのか、余りにも気持ちに温度差があるのか

でも、とにかく、ありがとう。

以下、すべてが今日の出来事です。

♀がこれだけ積極的なのは初めて見ました。

ですが先ほど伝えた通り、長く耐えてきたお嬢には無理もないこと

僕から君への思いは溢れんばかりにあるけれど

今の君には言葉は必要ないかも知れない。

経過報告

経過といっても進展はないのですが

早くパートナーが現れて欲しいと願っています。

こちらの思惑通りに事が運ぶ筈もなく

僕もお嬢も辛抱の日々を送っています。

お嬢は♂の鳴き声が何日経っても聞こえてこないためか

タンパク質をあまり摂らなくなってきていて少し心配です。

でも家にいたほうが雨風や外敵の心配もなく

君のアンチエイジングにも貢献できているだろう？し

そもそも草原に帰しても今は誰もいない。

窮屈かも知れないけど、まだ家にいてくれ。



こんなに美しいのにねえ

お嬢様

私がお仕えするお嬢様のお屋敷でございます。

本日はお外にいらっしゃるお友達を拝見してまいりました。

皆、痩せた細いお腹の子で

大人になるまでは２０日程かかりそうです。

今年の札幌は４月下旬に夏日とも言える高気温が２日ほど続きました。

お嬢様がお生まれになられたのもその日でございます。

しかしその後、気温は平年並みとなり、最低気温は８℃くらい

野生で生まれてしまったお友達はおそらく…

パートナーをお迎えするのは、まだ先になると思われます。



さて、ディナーでございます。

本日は小松菜をご用意いたしました。

バリバリバリ…バリ、バリ

５口でお止めになられましたね。　前菜　という訳ですね。

お屋敷にもご用意はしてございますが

私の帰りが遅いと

「ちっ、おっせーな　少し乾いたこれでも良いか　仕方がない」と

ガジガジ囓った跡があるニンジンも

擦ったもののほうがお好きですね。

お嬢様

リンゴは塊だと無視なさいますね。やはり擦るとよくお口になされます。

お嬢様

手の上でもよおした後に少しだけ体の向きを変えるのは

あ　片付けろと。

でも、お嬢様が何度も脱皮を繰り返し

逞しくも華麗に成長されていくお姿は、切なる願いが叶うかのようで

我がことのように嬉しゅうございました。

素敵なパートナーをお迎えするまで大切に見守りたいと存じます。

いやそれにしても最終脱皮の時には微力ながら私も知恵と気力を振り絞り　－ん？



おやすみなさい　お嬢様

スキンシップ？

最終脱皮から３日経って羽の模様もハッキリしました。



この子は危険察知については敏感ですが

どちらかというとおとなしい子です。

ニンジンや煮干し、鰹節のある場所も把握していて

やはり生きることに長けています。

体長はお母さんとは違って標準的ですが

でも－♀なので、標準的な♂よりは大きいですし

牙を開いて閉じてギチギチ音を出している時のそれを見ると

噛まれたら相当痛いと思われ－と言うか１度甘噛みされて痛かったです。

落ち着ける状況にあるからなのか、牙磨きのためか

手のひらを牙でゴリゴリ擦ることが多い子なので

しばしば　え゛っと思わされています。

この子独特の行動もあります。

自分の口を指の間にすっぽり入れて休んだり


手のひらの肉に顔をビタッとつけてきたり


飼育ケースから足を出して休憩するのを見た時は

なるほどな　と感心しました。


でね

こういう姿を見ている時に外では唸るような強風なんですよね。

別の日には雨にも晒されて天敵もいるだろうと思うと

どちらが幸せなのか、また今年も考えてしまいそうなんです。

どちらかなあ