katydid's blog

ハネナガキリギリスが住んでいるところに生息しています。

驚きと感動

2009-12-31 13:23:27 | 2009
キリギリスとは何ヶ月も一緒にいたので

普段はなかなか見られないだろうなと思えることも沢山ありました。

まず生き餌を捕らえる時は想像以上に素早いです。

初めて手の上でミールワームをあげた時に

5~6㎝を一瞬で走り抜けて捕らえました。

瞬発力が自分の想像を遙かに上回っていたので驚きました。

さらにこれは「めっすん」だけでしたが

自分の傍に食べ物が来ると分かっている時に

目の前にミールワームなどを落とすと

地面に落ちる前にダイレクトキャッチしていました。

元々、幼生期から花粉を食べながら花に近づく虫を捕らえているらしいので

予め備わっている能力ではあるものの

実際に目にするのは非常に稀だと思います。



感動をもたらせてくれた貴重な経験もありました。

前足を怪我して思うように動けなくなった「ソニア」が

手のひらで逆立ちをし始めました。

見たこともない格好をするので何か苦しいのかと心配していたら

ぽろっと手に何か落ちました。

卵です。手のひらで卵を産みました。

毎日ケースを掃除していても土以外の場所で卵を見かけることはありませんでした。

彼女は怪我をしているし必死だったと思いますが

とても神秘的でした。

我が手の中で卵を産み落としてくれて

その瞬間が見られたのです。

貴重な体験でした。

「めっすん」も最期を迎える1日前に産卵行動をとりました。

卵は産めませんでしたが、残された時間がないように慌てて

何度か繰り返していました。

「もう無理だよ、身体を休めた方がいいよ」と囁いても止めるはずもなく

手を近づけて登らせて温めてあげることだけで精一杯でしたが。

生きとし生けるものは皆必死ですね。

彼女達のひたむきな生き方を見ていると

自分も頑張らなくてはと思えてきます。
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愛しきキリギリス

2009-12-30 01:43:11 | 2009
今年は12月3日迄キリギリスと一緒にいられました。

初雪が降った時も家では鳴いていたので嬉しかったです。

思い起こすと2~3日に1度はキリギリスの故郷の草を持ってきて

ケースの中に入れていました。

ケースの天井を歩くのも草を登ってくれるし

落ちても敷いてある草がクッションになって身体にダメージがなくて

安心して見ていられました。

多分キリギリス達もホッとできる環境であったと思います。

しゃべらないけどきっとそうだ、そうに違いない、うんうん。

同じように草を取りに行った時に、初冬で咲いているなど殆どあり得ない

ムラサキツメクサを一本だけ見つけました。

夏には全く気に掛けていませんでしたが

もしかしたら喜ぶかなあ、と思い持って帰ると

遠くに置いたのに直ぐに近づいてきて、とても美味しそうに食べていました。



何か一房800円の巨峰より美味しそうに食べて-あ、巨峰!

そう言えば、家族は特に好物でも無かった巨峰やピオーネですが

私が美味しいと感じた物はキリギリスも美味しいに違いない

という鋭い推察により、私が巨峰を頻繁に買い続けたため

今シーズンの我が家のデザートはブドウだらけになりました。はっはっは

もとい、キリギリスも贅沢になると知っていましたか?

たまには味の違う(安価な)ブドウをと思いあげてみたら、あまり食べない…

お前ら、じゃない君達

美味しかったよな。
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私たちとキリギリス

2009-12-27 01:49:31 | 2009
キリギリスは単体で飼育すると延命が望めるらしいです。

飼育する方法や考え方は様々でどれも否定するものではありませんが

種を残す行動を意図的に取らせないのは摂理に反していて残酷な気がしますので

私は延命に拘ることなく今後も雌雄で育てたいと考えています。



そもそも家に連れてくること自体がとても可哀相なことなのかと思えたりしました。

でも今は、愛情を持ち、できる限りを尽くし世話をして、大切にしてあげるなら

きっとそれは互いに幸せな出会いなのではと考えるようになりました。

これも生き物を身近に連れてきて命に責任を持つようになった側が

都合良く考えているだけかも知れません。

ただ、キリギリスに限らず他の生き物と何も接点や交わりがなく

今の人間が在るとも思えません。

答えを出したり突き詰めることが困難なテーマですが

前述したことが正解の近くにあってほしいと思っています。
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「めっすん」第7章

2009-12-26 16:08:49 | 奇跡的に出会えたキリギリス
彼女は私に気付いても、もはや自力で歩くことはできません。
私は手の上にのせるために初めて身体を掴みました。
涙が止まらなくて何度拭っても溢れ出てきます。
横たわる彼女を見守りながら
私は出会ってから今までの思いを話しかけるようになりました。

君みたいなキリギリスがいるなんて思わなかった。
毎日君を手にのせるのが楽しみでさ。
一緒に楽しんでいた瞬間があったように思えてならないのだけど
でもこんなプラスチックのケースで過ごすよりも
草原で生きた方が幸せだったね。

ごめんね。

君との毎日が楽しくて仕方なくて
どうしても草原に帰してあげることができなかった。
帰した後に自分から背中を向け離れていくなんて寂しくて耐えられなかった。

何よりも大事に思って大切にしてきたつもりだけど
全然足りなかったように思えてくる。
せめてもっと手の上にのせてあげられたら良かった。
もう遅いかも知れないけど、これからずっとこうしていよう。



手にのせてから6時間後
彼女は身体に電気が走ったかのように立ち上がり
普段の構えに身体を戻しました。
しかし動いたのはその一瞬だけでした。
ゆっくりと静かにすべての足を折りたたみ

彼女の身体は軽くなりました。



季節が変わった今でも
眩しい日差しに手をかざしながら
この恵みがあれば君はあと一日でも長く生きられたのだろうか
そんなことを思います。



彼女が産んだ子供達は故郷の草原と私の家にいます。
来春、或いは何年後かでも
彼女の奇跡を受け継ぐ子供達の誕生を心待ちにしていると同時に
元気に育ってくれることを願っています。
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「めっすん」第6章

2009-12-20 01:21:03 | 奇跡的に出会えたキリギリス
あれから彼女は2度私の手の上で水を吐きました。
もう私の手にのる時だけしか動きません。
無駄な動きをせず、体力の消耗を抑えているようでした。
せめて、長い時間ゆっくりと一緒にいられる、あと2~3日の間は元気でいてほしい
こんなに手の中で静養するのが好きなら
何としても、この手の中で眠るように最後を迎えさせてあげたい
そう願っていました。



そして、やっと明日が休みとなる夕方になりました。
私は帰宅した直ぐに「元気でいるかい?」と話しかけ彼女を見ました。

仰向けに倒れていました。

ああ、しまった。何てことだ。
胸に針が刺さったような感覚を覚えましたが
そっと触れると足が僅かに動きました。

まだ時間は残されている。

それはまるで、彼女が私と思いを同じくして
手の中でゆっくりしていられるこの日この時まで
何とか生き続けようと待っていてくれたかのようでした。
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