katydid's blog

ハネナガキリギリスが住んでいるところに生息しています。

真心

2013-09-13 22:23:48 | 2013
家のすぐ傍で毎夜コオロギが美しい音色を奏でてくれています。

毎年この季節にこの音色を聴くのを楽しみにしています。

でもある日突然にこのゴスペルは幕を閉じます。

残念でなりません。

彼らが音を出すのは子孫を、自分の生きた証を残すためです。

鳴く昆虫は音を出すという大きなリスクを背負って子孫を残そうとします。

天敵に居場所を教えてしまう命がけの行為です。

♂が特に臆病なのはその所為だとも思っています。

♂だけを捕まえて音色を楽しむのも人間ですから出来てしまいます。

しかしこれでは

愛でていながらもこれ以上ない残酷な拘束と僕は思ってしまうのです。

やはり僕は雌雄とのひとときを選びます。



4年前の「めっすん」は精球を付けながらでも僕の手に登って来ました。

飼育ケースのごはんを取り替えるためだけだったのに

ああ、無理無理 今日はやめておきな って言っても

待ち焦がれていたかのように

だって今しかないし と言われたような気がして

めっすんを止められませんでした。

唯一安らぎを得るための短い時間と、尊い命を育もうとする狭間で

彼女が選択した、自分に正直な、止められない行動だったのです。

僕も切なくて嬉しくて困惑しました。

過去のその瞬間を今見ることは出来ませんが

間違いなく僕らは

笑い合っていました。


コメント
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