katydid's blog

ハネナガキリギリスが住んでいるところに生息しています。

キリギリスの飼育方法Ⅲ

2010-07-25 00:23:32 | ハネナガキリギリスの飼育方法
キリギリスの飼育方法

多くは終齢のキリギリスを対象に書かれています。

私のところでは今年30匹が生まれて

1ヶ月くらい飼育して殆どを草原に帰し

運命的に残った1匹は終齢になり

その子も無事草原に帰すことが出来ました。

参考までに孵化から終齢前までの育て方を書き記しておきます。



孵化したら或いは小さいキリギリスを家に連れてきたらまず何をするか。

もしタンポポが咲いていたら鉢に移して持ち帰って

飼育ケースに入れておくのがベストですが

そうでなければケース内にレタスを置くのが手っ取り早いです。

外側の1~2枚は農薬が付いているかも知れないので取り除いて

ざっくり半分に切りそれをケース内に置くのが良いと思います。

1枚だけ置くよりも日持ちが良く体積がある分食べ物との遭遇率が高く

さらに幼生が跳ねて着地する時のクッションにもなります。

レタスは2~3日で取り替えます。

なお小松菜も幼生の好物ですが日持ちはしませんので

小松菜なら毎日取り替えてあげることをお勧めします。



飼育ケースの蓋の空気孔が大きい場合は

蓋を使わずに細かめの網をケース上部に被せて

ゴムで囲い止めすると良いです。

幼生がケースから出てくることもないし

換気も気にしなくて済みます。



水は毎日霧吹きで与えていました。

沢山ではなく2~3回吹くので十分だと思います。

ここまで気にする必要は無いのかも知れませんが

使っていたのは塩素が含まれていない軟水のミネラルウォーターです。

キリギリスには水を当てない方が良いと思われます。

さして根拠はありませんが嫌がります。



また、結構重要なことだと思いますが

孵化してから2日~3日でドックフードを細かく砕いたものを食べました。

少量とはいえ幼くても食べることは事実です。

一例として煮干しを細かくしたものなどを小さなお皿に入れて

ケースに置いておくとより良いように思われます。

なお終齢ほどではありませんが幼生でも上に登る習性がありますので

幼生の親がいたところで生息している植物や花を挿しておくと良いと思います。



土は必要か、これは迷うところです。

前述のレタス同様、幼生が着地する時のクッションにはなるのですが

底全面に敷くとフンの掃除に困りますし

ダニやカビも発生しやすくなります。

ある程度の湿度を保ちながらダニやカビは発生させずにと考えると

土は熱して消毒したり新しいものを敷き直したりを繰り返すことになります。

特に赤いダニ タカラダニが翅の付け根まで侵入されると駆除が困難となりますので注意が必要です。

毎日の飼育は大変です。極力手間の掛からない方法をお勧めします。

(終齢の産卵には必要です。昨年の「キリギリスの飼育方法Ⅱ」をご覧になってください)

繰り返しになりますがケースの掃除は不可欠です。

フンを放っておくとカビます。

ケースは2つ用意して3日くらいで幼生を住み替えさせて

使っていたケースを掃除するローテーが良いと思います。

何れにしても数回はキリギリスを他のケースに移すことになります。

体長が1㎝前後の幼生は手で掴むと潰れてしまう程の脆い体なので

ティッシュに捉まらせて移します。

当然のことながら思い通りには動いてくれませんので多少苦労しますが

一番事故が起こりやすい作業です。ここは堪えながら慎重に。



その他、環境面で注意することと言えばケースの日の当たり方でしょうか。

ケース内は思っているよりも高温になりますので

1日中全面に日が当たる場所は避けた方が良いと思います。



最後に

一つのケースで多頭飼いするのは良くないように思います。

幼生初期の脱皮の所要時間は5分~15分ととても早いですのですが

多頭飼いしていると少々危険が伴います。

ある幼生が脱皮している最中に

他の幼生がその最中の抜け殻を食べようとしているのを見ました。

ずっと見守ってはあげられませんので避けられないのですが

どうしても多頭飼いせざるを得ないのなら

せめて煮干しの細かくしたものを豊富に与えておくのが良いと思います。



これだけのことをしてもなお助けられないものがいます。

それでも我が家からは9割以上が元気に巣立っていきましたので

この環境なら大丈夫だと思います。




私が試みるとこうなってしまうだけで

無用な考え方や作業があるかも知れませんが

参考にしていただければ幸いです。


コメント (2)
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いるべきところへ

2010-07-24 22:20:11 | 2010
雨上がりの今日

キリギリスの里では♂が鳴いていました。

家にいた美人さんは何日か前からパートナーを探し始め

歩くのを止めなくなっていたので

いるべきところ

里へ帰すことにしました。

寂しい気持ちはありますが

めっすんの最期を看取った時のあの悲しみ

草原で一生を終えさせてあげられなかった後悔を思えば

これは摂理に反しない

キリギリスにとって幸せな決断だったと思います。

別れの時初めて背中を撫でました。

されたことが無いので少し驚いていましたが

跳びはねることなく

じっとしていてくれました。

君はもうケースの中に閉じこめられなくて済むよ。

いくら安全で食べるものに困らなかったとはいえ

1日のうちケースから出られる自由が1時間だけというのは

さぞかし窮屈だったと思う。

昨日までよりもずっと住みやすい世界が君を迎えてくれる筈だ。

家での生活よりは危険が多くなるかも知れないが

君は草原では相当上位にいる。

頑張って生きるんだよ。

今年家で生まれた30匹と同じように

君も元気でいますように。


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おっとり気質

2010-07-19 12:03:09 | 2010


脱皮して終齢になってから1週間が経ちました。

本来成るべき姿に落ち着いてきています。

頭部は細面になり胸部の溝が深くなりました。

特に腹部は数㎜伸びてふっくらしたように思います。

気質は今まで育てた中で一番おっとりしています。

こちらもある程度経験により

キリギリスが落ち着く環境づくりに長けていることもありますが

それを差し引いたとしても

この子は大人しい性格に思います。

手に乗せると自分の楽なポジションを探し

場所を決めると直ぐに呼吸の回数(腹部で見ます)を落とし休みます。

♀は♂のように縄張りを持ちませんし

身に迫るような危険を体験して覚えない限り

♂に比べて本来穏やかなのかなとも思えてきます。



食べ物はニンジン・ミルワーム・リンゴ・煮干し・ネギです。

他、生息している場所の草花(ハルジオンや草藤)も常に入れていますので

現時点で作ってあげられるベストな環境のもとで暮らしています。



昨日キリギリスの里に行きましたが、未だ♂は鳴いていません。

家での孵化は野生下より1週間くらい早く

終齢の♂が鳴くのは脱皮からおよそ1週間後と言われているので

野生下で♂が鳴き始めるのは早くて今週末からと予想できます。

気の合う♂と出会えたらいいね。

パートナーが鳴き始めたら君が元気に暮らせる場所を探そう。
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無事終齢になりました

2010-07-11 22:48:30 | 2010
今日の昼に脱皮して終齢になりました。



美しいですね。ドレスを纏っているかのようです。

実は3日前から僅かに水分を摂るだけで何も食べなくなっていて

とても心配していました。

昨日背中に黒いものが浮き出てきたので

ひょっとすると脱皮が近いのかとも思いましたが

何せ孵化から終齢まで育てたことがないので

せめてケース内に挿している草花を毎日取り替えてあげたり

飲み食べしなくても口元にスイカやブドウを近づけてみたりと

出来るだけのことをして見守っていました。



脱皮前の背中に浮き出たものです。

一つ前の脱皮の時にも同じように黒くなりましたので

これを目安に脱皮しやすい環境を整えてあげると良いと思います。

無事脱皮して本当に良かった。(´∀`)



上の画像は脱皮から6時間後の姿を写したものです。

ミルワームを2匹食べてスイカの水分を2~3分吸っていました。

まだお腹は小さく細いのですが

翅の長さからすると体格は良さそうです。

それとお母さんであるソニアは短翅でしたがこの子は長翅です。

お父さん似なのかも知れません。

もうひとつ
顔が大きいです。
ここはソニアに似たのか-
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生きている奇跡

2010-07-08 22:32:58 | 伝えたいこととして
思い起こしてみると

体に異常が無く傷も全くないキリギリスというのは

それ程多くないような気がします。

原因は恵まれない食事量や脱皮の失敗

捕食する虫との身を削るような格闘

同種の縄張り争いや天敵(大型の蜂や蜘蛛)との遭遇等々

色々と考えられますが

触覚が片方無かったり

附節(足の先)が欠落していたり

片目に色が無かったり

万全な体調でいるものは少なく

皆良好な環境で育っていけるとは限らないようです。

ふと目にする生物は

実はいくつもの幸運を伴い生き抜いてきています。

それは苦難を乗り越えた尊い命です。

なので目に見えない程の小さな体の命であっても

何かの縁で出会ったのなら

私は大切に大事にしてあげたくなります。

私の生き物に対するこういう考え方は

生涯変わらない普遍的なものかも知れません。

5~6㎜の幼生からここまで育ちました。






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