君達へ

辺り一面が雪で覆われて

君達が残した命は

雪の下の、横たわった草花の下にいる。

緑が懐かしくなってきた。

君達を見ているだけで満たされていたから

時間があれば次の日も、その次の日も君達の故郷に足が向いた。

めっすんと出会ったのは四年前になる。

キリギリスは最長で四年卵だから

多分君の子どもと出会える最後の年になるだろう。



めっすん、おっすん、ソニア、ヘラクレスン、オス君、ガンコさん

僕は君達が大好きだったから

出来るだけ喜んでくれそうなことや

快適に過ごしてくれそうなことを毎日考えていた。

新鮮な草花を採ってきたり掃除したり大変な筈なのに

何にも苦労じゃなかった。

君達と別れる時には

なぜこんなにも儚く短いのか

もう少し、あともう少しだけと願った。



そうだな

もしも夢にでてきてくれるなら

人の姿で現れてくれないか

どんな容姿だったのか見てみたいのもあるが

出会ったのはこんな時だったとか

あの時はこうだったとか

僕が良かれと思ってしていたことが実はこんなにも迷惑だったとか

懐かしむ話でも、悲しい気持ちでも、怒っていたことでも

言いたい放題でいいんだ

聞かせて欲しい

いろんなことを話そうよ

きっと僕は君達が何か言う度に

君達を抱きしめながら聞いて

頬を重ねながら話すから