角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#154 『威風堂々の指導者たちー昭和人物史に学ぶ』に、学ぶ。

2016-07-10 07:09:06 | ぶらり図書館、映画館


7月10日、
参議院選挙投票日なので(?)、
久しぶりに本のご紹介。

清流出版というところから出ている、
芳賀 綏さんの『威風堂々の指導者たち 昭和人物史に学ぶ』です。
(清流出版:威風堂々の指導者たち
 →http://www.seiryupub.co.jp/books/2010/03/279.html

著者のネライは「まえがき」のこの部分に尽きるでしょう。

 指導者の質を見抜く眼力を高めるには、いま大衆の面前に登場する人物を見るだけでなく、歴史をかえりみ〈先人に学ぶ〉ことが不可欠である。日本の先人では戦国武将や維新・明治期の偉人たちが時代の風雲を背景にクローズアップされてきたが、もっと近い過去である昭和、それも戦後日本を演出した重要人物を知り、深く多角的に学ぶことを目指すなら〈人を見る眼〉の奥行きは一段と深まる。

取り上げられているのは、
次の5人です。

吉田茂、石橋湛山、西尾末廣、芦田均、河上丈太郎。

吉田茂はともかく、
他の方々は、まあ、名前は知ってるけれど、くらいで、
なかなか「人物」までは・・・

ですが、昭和3年お生まれの、

著者にすれば、つい昨日の人ばかりだ

そうで、

それぞれの姿も、肉声も、脳裡に鮮やかで記憶が薄れることはない。更に後年、多くの資料・文献によって正確な知識を得、より完全に近く活動や思想の内容と人物像を知るうちに、世人の抱いている偏見を正し、虚像を打破して、歴史と人間の真実を明らかにすることが必要だと痛感してきた。その念願と情熱を叙述にこめたつもりである。

とのこと。

実際、じっくり読みたい、と思わせる本です。

とはいえ、
引用し始めるとキリがないので、

各人物について、
著者が取り上げている言葉なり、文章なりを、1つずつ。

吉田茂。昭和20年、外相だった折、
戦後食料危機に関して、マッカーサーに「日本政府の統計はなっていない」と批判され、
「日本政府の統計が正確なら、あんな無謀な戦争はやらなかったでしょう。もしやれば勝っていたかもしれませんね」

石橋湛山。昭和28年『学習院大学新聞』に寄稿して、
「民主主義に於いては、国家の経営者は国民自身だ。経営者としての国民の義務の規定に周密でない憲法は真に民主的とは言えないであろう」

西尾末廣。昭和34年社会党大会で、安保改定反対について、
「安保改定を阻止し得ても現行安保条約は残るのであるから、これをどうするか。改定にも反対だ現行にも反対だ、しからば社会党はどうするのか、ということが国民の社会党に聞きたいところであります」

芦田均。昭和21年、衆議院、憲法改正特別委員会委員長報告で、
「明治憲法はその用語において簡潔雄渾、その内容は博大要約、一大特色をもつ憲法でありました。・・・しかるに世界の大勢に通じない一部の徒輩は、この憲法の特色を逆用し、ついにわれらの祖国と同胞とを今日の境涯にみちびいたということは、まことに痛恨のきわみであります。しかもこの秋(とき)にあたって、われわれは永久に明治憲法と袂をわかたんとしておりますことは、過去を偲び現在を思うて、まことに感慨に堪えないものがあります」

河上丈太郎。昭和27年選挙に当たっての、街頭演説で、
「・・・長い追放生活を終えて諸君と相見えることができた。公職追放は、戦争中私がある団体に関与したためである。私の真情を言えば必ずしも進んで参加したのではないが今は多くを弁解しない。諸君の中にかつての私の行動に批判を抱く人があれば厳正な批判を加えていただきたい。河上を許してくれる人は河上一個人の為ではなく日本社会党の前進の為にご協力いただきたい」



さて、我が家では、

5人の内2人だった有権者が、
今回、長女(20歳)と次女(18歳!)が加わり、一気に4人に増えました。

彼女たちの、日頃の生活態度やら、政治関係の知識やらを鑑みるに、
身内ながら、こんな奴らが政治を動かして良いのか?と思わないでもないのですが、
いやいや、それも親である自分の責任だよね、と反省してみたり、

色々と面倒くさいわけですが、
ともあれ、今日、
見学の三女(16歳)を含め5人で投票に行きます。

誰に投票せよ、なんてことを直接は言ってませんが、
選挙公報や、新聞報道等は、出来る限り見るよう仕向けてます。
ついでに、それとなく「洗脳」もしてます。

この思い、国に届くかな?

・・・ ・・・ ・・・ ・・・

本自体の内容をもう少し知りたいという素晴らしい方のために、
目次は、こんなんです。

戦争に負けて外交で勝つ 吉田茂
1.宰相吉田、歴史に登場す
2.マッカーサーとの“合作” 占領下日本経営の日々
3.サンフランシスコの栄光 講和・独立と“吉田神話”
4.戦後を支配した“吉田学校” 内政家吉田の器量と限界
5.はにかみ・ジョーク・気配り 素顔の人間吉田茂

ご機嫌取りはしない 石橋湛山
1.「四方八方のご機嫌取りはしない」
2.言論界から政界へ “ストロングマン”GHQに抗す
3.七票差の逆転勝利 追放、再起、首班の座に
4.「私もクラーク博士になる」 湛山の人格形成と思想の真髄
5.「ノーベル賞日本版を設けよ」 天衣無縫、先見と構想力の人

私は逆境に強い 西尾末廣
1.剛直なリアリスト 西尾末廣
2.「人生は二人目から歩け」 「踏まれても蹴られても」雑草の苦闘
3.『種の起原』で開眼 西尾の合理主義と漸進主義
4.憎まれて屈せず 世渡り下手の大物
5.日本的“非常識”に抗して 思想混迷と闘った西尾末廣
6.「和を以って貴しと為す」

世界の大勢に眼を開け 芦田均
1.ステーツマン芦田均
2.情理の雄弁、流麗の名文
3.単騎、直進の軌跡 世論と政界の逆風に抗して
4.涙もろく繊細な・・・ 教養人芦田均の素顔
5.“芦田修正”の神話を超えて 「平和の世界を創造する」日本へ

委員長は十字架である 河上丈太郎
1.従容、神のごとく
2.“十字架委員長”の誕生
3.「五番街・・・夕霧・・・楼ですか・・・」 絶叫・はにかみ・不惜身命
4.「愛情と寛容で同志を包め」 統一と再分裂の中で
5.「社会党は共産党ではないのだから」
6.「エノケンに文化勲章を」 指導者河上の幅と陰影



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