先生、もうすぐ島ですね。
そうね。
やっと帰ってきましたね。
あれからもう50年以上か。思い出しますね。
どうかしら。
思い出したくないことは、消しゴムで消すことにしてるから。
消せますか。
無理ね。消せるもんですか。忘れたくても忘れられない。
純平くんだって・・・
そうですね・・・
一昨年劇場公開された、
映画『ジョバンニの島』の冒頭部分です。
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』へのオマージュ、
幻想的なシーンを織り交ぜつつ展開する、
北方領土に生きた人々の物語です。
2月7日は「北方領土の日」。
なので、今回はそのご紹介。
映画 ジョバンニの島 本予告
1945年春。北方四島のひとつ、色丹島。戦時中ということを感じさせない、美しく穏やかな島だ。ここに、防衛隊長を務める父の辰夫、漁師である祖父の源三とともに、健やかに暮らす10歳の兄・純平と7歳の弟・寛太がいた。
(映画『ジョバンニの島』公式サイト→http://wwws.warnerbros.co.jp/giovanni/)
色丹島での「戦争」は1945年9月1日(!)、
「ロスケ」の上陸で始まりました。
砲声を鳴り響かせながらあらわれたソ連の戦艦。島に上陸する大勢の兵士たち。島民の財産は容赦なく奪い取られ、重要な産業である漁も禁止に。ソ連の人々によって住居を奪われた島民たちは厩舎などに追いやられ、学校では日本とソ連の子供たちの教室が並ぶという事態に。
やがて父は、ソ連兵に連行されてしまいます。
沖に停泊する船の灯りに、純平のモノローグ。
「あれは何の火だろう。あんな赤く光る火は何を燃やせばできるんだろう。」ジョバンニが云いました。
「蠍の火だな。」カムパネルラが又地図と首っ引きして答えました。
「どうか神様。私の心をごらん下さい。こんなにもむなしく命をすてずどうかこの次にはまことのみんなの幸のために私のからだをおつかい下さい。そしたらいつか蠍はじぶんのからだがまっ赤なうつくしい火になって燃えてよるのやみを照らしているのを見たって。いまでも燃えてるって・・・」
結局、全ての島民に内地への強制帰還命令が下るのですが、
祖父はそれを拒否して島に残ります。
漁師はの、
生きて、食べて、漁をして、死んでいく。それでいいんだ。
それが、儂ら漁師の誇りだ。
島民たちは直接内地へは送られず、
一旦樺太(サハリンじゃないですよ)の、
真岡(ホルムスクじゃありません)へと収容されます。
そこで、純平と寛太は、
父が「山の向こう」に居ることを知って・・・
監督は杉田成道さん。
『北の国から』のディレクターにして、
豊橋ふるさと大使(そして、母校の先輩)です。
例によって押さえた演出で、
じわっと泣けてしまうツクリになってます。
「反戦」には違いないんでしょうけど、
それよりも、
兄弟、親子、家族、そして国。
そういったことを考えさせる映画です。
ときに、
北方領土に関してロシア政府首脳は、
「戦争の結果を受け入れよ」と言うわけですが、
日本としては官民一体となって、
「いえいえ、不義と狼藉の果実でしょ」と主張しなければいけません。
中立条約無視、ポツダム宣言不履行、休戦協定違反、
どれも「戦争」とは別次元の不道徳です。
話を映画に戻して、
終盤、
内地へ「連れて帰る」ため背負った弟に、
話し続ける兄のセリフです。
寛太、一緒に帰ろう。日本に帰ろう。
ああそのときでした。見えない天の川のずうっと川下に青や橙やもうあらゆる光でちりばめられた十字架がまるで一本の木という風に川の中から立ってかがやき・・・
寛太、見えるか?十字架が見えるか?
「ハレルヤハレルヤ。」明るくたのしくみんなの声はひびきみんなはそのそらの遠くからすきとおった何とも云えずさわやかなラッパの声を聞きました。
寛太、聞こえるか?聞こえるか?
もうすぐだ。あと10メートル。あそこが国境だ。日本だ。
「僕もうあんな大きな暗の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。どこまでもどこまでも、どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう。」
さて、
とにかく発信能力がないと評判の(?)我が外務省ですが、
実は、仕事はそれなりにしているんです。
(外務省;われらの北方領土2014年版→http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000035437.pdf)
(外務省:われらの北方領土2014年版/資料編→http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000035454.pdf)
問題は、
内にも外にも、
これらが浸透していないってことなんですよね。
その辺は、
例によってむしろ、
政治家やマスメデイアの問題かなあ、と。
加えて、一般の理解や関心を高めるためには、
こういう映画(やドラマ、小説など)も大切だと思います。
そのラスト、
「戦後」50年を過ぎ、
自由訪問で島に「帰った」純平が、
ロシアの少女(少年時代に知り合った少女の孫)に、
『銀河鉄道の夜』を手渡しながら言うセリフです。
と、同時に、
この映画自体の説明にもなっています。
死んだ人は、みんな天にのぼって夜空の星になる。
星は無数に、限りなく明るく降るように光り、
その光に照らされて、僕たちは今、こうして生きている。
そういうお話なんだ。
『ジョバンニの島』、
観ていない方は(もう観たという方も)、
この機会に是非、どうぞ。
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
冒頭画像はグーグル・マップより
以下、内閣府・北方対策本部による資料。
2月7日とは→http://www8.cao.go.jp/hoppo/henkan/02.html
北方領土問題とは→http://www8.cao.go.jp/hoppo/mondai/01.html
STEP1.奪われた島々→http://www8.cao.go.jp/hoppo/3step/01.html
STEP2.日本の地 北方領土→http://www8.cao.go.jp/hoppo/3step/02.html
STEP3.四島(しま)を日本へ→http://www8.cao.go.jp/hoppo/3step/03.html
そうね。
やっと帰ってきましたね。
あれからもう50年以上か。思い出しますね。
どうかしら。
思い出したくないことは、消しゴムで消すことにしてるから。
消せますか。
無理ね。消せるもんですか。忘れたくても忘れられない。
純平くんだって・・・
そうですね・・・
一昨年劇場公開された、
映画『ジョバンニの島』の冒頭部分です。
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』へのオマージュ、
幻想的なシーンを織り交ぜつつ展開する、
北方領土に生きた人々の物語です。
2月7日は「北方領土の日」。
なので、今回はそのご紹介。
映画 ジョバンニの島 本予告
1945年春。北方四島のひとつ、色丹島。戦時中ということを感じさせない、美しく穏やかな島だ。ここに、防衛隊長を務める父の辰夫、漁師である祖父の源三とともに、健やかに暮らす10歳の兄・純平と7歳の弟・寛太がいた。
(映画『ジョバンニの島』公式サイト→http://wwws.warnerbros.co.jp/giovanni/)
色丹島での「戦争」は1945年9月1日(!)、
「ロスケ」の上陸で始まりました。
砲声を鳴り響かせながらあらわれたソ連の戦艦。島に上陸する大勢の兵士たち。島民の財産は容赦なく奪い取られ、重要な産業である漁も禁止に。ソ連の人々によって住居を奪われた島民たちは厩舎などに追いやられ、学校では日本とソ連の子供たちの教室が並ぶという事態に。
やがて父は、ソ連兵に連行されてしまいます。
沖に停泊する船の灯りに、純平のモノローグ。
「あれは何の火だろう。あんな赤く光る火は何を燃やせばできるんだろう。」ジョバンニが云いました。
「蠍の火だな。」カムパネルラが又地図と首っ引きして答えました。
「どうか神様。私の心をごらん下さい。こんなにもむなしく命をすてずどうかこの次にはまことのみんなの幸のために私のからだをおつかい下さい。そしたらいつか蠍はじぶんのからだがまっ赤なうつくしい火になって燃えてよるのやみを照らしているのを見たって。いまでも燃えてるって・・・」
結局、全ての島民に内地への強制帰還命令が下るのですが、
祖父はそれを拒否して島に残ります。
漁師はの、
生きて、食べて、漁をして、死んでいく。それでいいんだ。
それが、儂ら漁師の誇りだ。
島民たちは直接内地へは送られず、
一旦樺太(サハリンじゃないですよ)の、
真岡(ホルムスクじゃありません)へと収容されます。
そこで、純平と寛太は、
父が「山の向こう」に居ることを知って・・・
監督は杉田成道さん。
『北の国から』のディレクターにして、
豊橋ふるさと大使(そして、母校の先輩)です。
例によって押さえた演出で、
じわっと泣けてしまうツクリになってます。
「反戦」には違いないんでしょうけど、
それよりも、
兄弟、親子、家族、そして国。
そういったことを考えさせる映画です。
ときに、
北方領土に関してロシア政府首脳は、
「戦争の結果を受け入れよ」と言うわけですが、
日本としては官民一体となって、
「いえいえ、不義と狼藉の果実でしょ」と主張しなければいけません。
中立条約無視、ポツダム宣言不履行、休戦協定違反、
どれも「戦争」とは別次元の不道徳です。
話を映画に戻して、
終盤、
内地へ「連れて帰る」ため背負った弟に、
話し続ける兄のセリフです。
寛太、一緒に帰ろう。日本に帰ろう。
ああそのときでした。見えない天の川のずうっと川下に青や橙やもうあらゆる光でちりばめられた十字架がまるで一本の木という風に川の中から立ってかがやき・・・
寛太、見えるか?十字架が見えるか?
「ハレルヤハレルヤ。」明るくたのしくみんなの声はひびきみんなはそのそらの遠くからすきとおった何とも云えずさわやかなラッパの声を聞きました。
寛太、聞こえるか?聞こえるか?
もうすぐだ。あと10メートル。あそこが国境だ。日本だ。
「僕もうあんな大きな暗の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。どこまでもどこまでも、どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう。」
さて、
とにかく発信能力がないと評判の(?)我が外務省ですが、
実は、仕事はそれなりにしているんです。
(外務省;われらの北方領土2014年版→http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000035437.pdf)
(外務省:われらの北方領土2014年版/資料編→http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000035454.pdf)
問題は、
内にも外にも、
これらが浸透していないってことなんですよね。
その辺は、
例によってむしろ、
政治家やマスメデイアの問題かなあ、と。
加えて、一般の理解や関心を高めるためには、
こういう映画(やドラマ、小説など)も大切だと思います。
そのラスト、
「戦後」50年を過ぎ、
自由訪問で島に「帰った」純平が、
ロシアの少女(少年時代に知り合った少女の孫)に、
『銀河鉄道の夜』を手渡しながら言うセリフです。
と、同時に、
この映画自体の説明にもなっています。
死んだ人は、みんな天にのぼって夜空の星になる。
星は無数に、限りなく明るく降るように光り、
その光に照らされて、僕たちは今、こうして生きている。
そういうお話なんだ。
『ジョバンニの島』、
観ていない方は(もう観たという方も)、
この機会に是非、どうぞ。
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
冒頭画像はグーグル・マップより
以下、内閣府・北方対策本部による資料。
2月7日とは→http://www8.cao.go.jp/hoppo/henkan/02.html
北方領土問題とは→http://www8.cao.go.jp/hoppo/mondai/01.html
STEP1.奪われた島々→http://www8.cao.go.jp/hoppo/3step/01.html
STEP2.日本の地 北方領土→http://www8.cao.go.jp/hoppo/3step/02.html
STEP3.四島(しま)を日本へ→http://www8.cao.go.jp/hoppo/3step/03.html