片付ける
届かなかった思いを片付ける
広げ過ぎた風呂敷を片付ける
並べたままの御託を片付ける
自分の生きた痕跡を片付ける
・・・僕は片付けるのが苦手だ
捨てていいものと いけないもの
大事なものと 大事でないもの
その区別がうまくできない
何でも引き出しに突っ込んで
しまいにあふれさせてしまう
本箱はがらくたでつぶれそうだ
幼い言葉で綴った日記帳
恋と青春の古ぼけた教科書
不器用に描いた夢の落書き
出さなかった(出せなかった)ラブレター
書きかけの遺書・・・のようなもの
つらい思い出に混じった楽しい思い出
どうして片付けることができるのだろう
遠く離れた友と語り合った希望
あの子に言えなかったひとつの言葉
今もうずく棘のような記憶
広げ過ぎた風呂敷を片付ける
並べたままの御託を片付ける
自分の生きた痕跡を片付ける
・・・僕は片付けるのが苦手だ
捨てていいものと いけないもの
大事なものと 大事でないもの
その区別がうまくできない
何でも引き出しに突っ込んで
しまいにあふれさせてしまう
本箱はがらくたでつぶれそうだ
幼い言葉で綴った日記帳
恋と青春の古ぼけた教科書
不器用に描いた夢の落書き
出さなかった(出せなかった)ラブレター
書きかけの遺書・・・のようなもの
つらい思い出に混じった楽しい思い出
どうして片付けることができるのだろう
遠く離れた友と語り合った希望
あの子に言えなかったひとつの言葉
今もうずく棘のような記憶
むしろ簡単に片付けたくない
六十年の人生をうまく片付けられなくて
読みかけの小説と 書きかけの詩
聞きかけの音楽と かじりかけの哲学
語りかけの物語と 生きかけの人生がある
生まれかけたときから もう
死にかけているのかもしれない
皮一枚 管一本でつながった命であれば
時計の針がいつ止まるとも知れず
風船の糸が切れて飛んでいく前に
せめて身の回りだけでも整理したいけれど
何も片付かないで今日も一日が暮れていく
一日の終わりにそっと引出しを開けてみる
なつかしい風景と なつかしいうたがある
優しい顔と 優しい声がある
六十年かけて集めた宝物を
片付けるなんてできない
できるなら終わりまでもって行きたい
六十年の人生をうまく片付けられなくて
読みかけの小説と 書きかけの詩
聞きかけの音楽と かじりかけの哲学
語りかけの物語と 生きかけの人生がある
生まれかけたときから もう
死にかけているのかもしれない
皮一枚 管一本でつながった命であれば
時計の針がいつ止まるとも知れず
風船の糸が切れて飛んでいく前に
せめて身の回りだけでも整理したいけれど
何も片付かないで今日も一日が暮れていく
一日の終わりにそっと引出しを開けてみる
なつかしい風景と なつかしいうたがある
優しい顔と 優しい声がある
六十年かけて集めた宝物を
片付けるなんてできない
できるなら終わりまでもって行きたい



