気儘に書きたい

受験勉強よりもイラストを書くのが好きだった高校生の頃---、無心に絵を描く喜びをもう一度味わえたらいいのだが。

昭和30年代Ⅰ

2007-12-04 14:38:30 | イメージ画
 サラリーマンを辞めて、郷里に帰ってきた亡父は、程なく自分の店を出した。
 実家の本店から1kmも離れていない場所だが、その当時は街の中心部になっていた。「川端通り」と「仲町」の交わる角にある木造3階屋の1階を借りた。
 大家は2階でダンスホールを経営しており、3階に住んでいた。
 店舗の奥まった所に50センチほど床を高くした居住空間があり、6帖の板の間に3帖の台所がくっついていた。風呂はなかったので銭湯を利用した。      狭いながらも一家五人が慎ましく暮らしていた。
 夕方になると階上からダンス音楽が流れてきて、夕食はいつもBGM付きだった。 激しいステップで天井の一部が踏み抜かれ、夕食が台無しになったことが二度あった。「蛍の光」を最後にようやく静かになると、私達も眠りについた。 
 私の夜型の生活リズムは、この時に形成されたのだろう。
 家にはチョークがいつも置いてあり、私は大きなコンクリートのキャンパスに絵を描いて遊んでいた。
 
コメント
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