気儘に書きたい

受験勉強よりもイラストを書くのが好きだった高校生の頃---、無心に絵を描く喜びをもう一度味わえたらいいのだが。

S君とヤマハDT-1

2012-09-29 00:30:08 | バイクの絵
 私の高校時代、6クラスのうちの2クラスは男子だけのクラスだった。男子クラスにいた二年生の時が、高校生活で一番楽しかった。
 私は1年の時に原チャリの免許を取り、2年になる前の春休みに自動二輪の免許を取得していた。一応進学校だっだので、バイクの免許を持つ不届き者はクラスに自分だけだろうと思っていたら、45人中6人もいた。夏休みにバイク4台を連ねて萩へ泳ぎに行ったのが最初のツーリングだった。私とT君はホンダCB350、N君がヤマハ305YM1、F君がメグロ250だった。
 二学期が始まり、S君が金を貯めてバイクを買うというのでみんなで協力することになった。S君は毎日親から貰った昼食代を遣わずに貯めた。昼食時になると空の弁当箱と箸を持って、同級生の机を巡りながらそれぞれの弁当を少しづつ分けてもらっていた。これが一ヶ月も続くと次第に煙たがられるのだが、S君は微笑みつつ、「ブーン」と蝿の真似をして弁当をねだって回った。休日には日雇いの肉体労働もして、ついに念願のDT-1を手に入れた。
 私は父の会社名義のバイクを使わせてもらっていたのだが、バイク愛好会のみんなも親が買い与えたバイクに乗っていたことを思うと、恥も外聞も捨てて自分でバイクを買ったS君はえらかった。
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