たとえば自分の命があと50日となったとする。
どうなるのか。
まず周りのものすべてが美しく見えてくる。
両目の水晶体が磨かれたのかと思うがごとくハッキリクッキリ見えてくる。
そしてすべてのものが愛おしくなる。
空、雲、雨、太陽、森、林、木、空気。
電線に留まっている雀、よそを向いて鳴いているカラス、蟻、かたつむり......。
いつも決まって云いくるめられてしまう商売敵にも感謝したくなる。
「お世話になってます。」
そして沢山のお世話していただいたいろんな人にお礼と感謝を伝えたくなる。
その次にくるのは何もいらないという物欲からの解放。
お金なんていらない。
美味しいものなんか興味もなくなる。
家に温泉付きリゾートにログハウス？
ポルシェ930ターボにフェラーリディーノにロータスヨーロッパ？
ロレックスにオメガにカシオGショック？
インディアンカヌーにティピに薪ストーブ？
CB750F0にSS750にハンターカブ？
ロト6にナンバーズにジャンボにTOTOBIGの当たりくじ？
そんなものいらない。
必要ないのさ。
人間は必ず明日があるという強烈な思い込みをしている。
そんな明日があるからいろんなものが必要となり欲しくなる。
あと50日と決まったらこの体には必要なものなんてない。
必要なものは心の友と穏やかなハートなのさ。
たった30ページで悟りをひらいてしまったぜ。
さあ後130ページが待っている。
