けやぐ柳会! 「月刊けやぐ」 電子版

「けやく」とは、友だち、仲間、親友といった意味あいの津軽ことばです。

2013年03月号  お題:「 風 」,「 投げる 」 出題:裕雅さん

2013年04月03日 | 川柳
「 風 」
汗だくで涼風送る扇風機 / 蚤助
言い勝って胸に回転草が群れ / 蝉坊
一陣の秋風虫の送迎し / 蝉坊
産声が無風の続く隣りから / 蝉坊
△  エアコンのお値段分の安い風 / 蚤助
追い風で上げたうだつが漂着し / 蝉坊
追い風に背中押されて会社行き / 伊閣蝶
桶屋より儲かる空気清浄機 / 桜選
風上のオナラのようにくる黄砂 / 蚤助
風花も吹き飛ばされてフキダマリ / 篤子
風見鶏当選だけが目的に / 裕雅
風通し訓示の割に吹いてない / 芳男
風に乗り迷惑黄砂降り注ぐ / 裕雅
風吹いて舞い上がらぬよう白を切る / 芳男
風まかせ黄砂は領空など知らぬ / 満太
風を読み退職したが風吹かず / 小心居士
風を読め小言の上司いなくなり / 小心居士
花粉連れ誰の鼻に飛んで行く / 久美子
○  北風に背中押されて縄暖簾 / 蚤助
気づいたら風下にいた民主党 / 弧衾若衆
逆風であればあるほど高く飛べ / 駄作
強風で鍋が転がるテント内 / 伊閣蝶
原発へ風吹くときに外出し / 芳男
◎  ここだけの話が風に乗っていき / 満太
子供らは知るまい父のボブディラン / 蚤助
シナリオが書き換えられた風の向き / 蚤助
宿題をした子の口が風を吹く / 良弘
食事時となりの家のいい匂い / 久美子
人生の節目節目に花吹雪 / 霜降
スカートに遠慮して風春を呼ぶ / 良弘
台風が生まれてもらう背番号 / 蚤助
△  台風も二号はどこか艶っぽい / 蚤助
誰よりも風を感じる我が頭 / 小心居士
沈丁花香りに気づく春の風 / 伊閣蝶
妻と子の衝立になり風の道 / 良弘
テキトーに風を読んだり拒んだり / 弧衾若衆
どうしてもパパのパスタは津軽風 / 蝉坊
悩んでる人の背を押す春の風 / 良弘
なんとなく気配でわかる異動風 / 桜選
ネオン街風に靡いて赤提灯 / 裕雅
ノンポリの風に吹かれて生きた果て / 蚤助
○  初恋の君のたよりを風に聞く / 久美子
△  原っぱに遊び足りない風が吹く / 蚤助
春一番吹雪の窓に聴くニュース / 蝉坊
春一番待ち焦がれてる花粉たち / 篤子
春風が新たな出会い乗せてくる / 裕雅
春風と相撲をとって舞う桜 / 良弘
春風はスカート見ると舞い上がる / 霜降
春風を感じる前に花粉症 / 小心居士
春先は裾からの風我慢して / 芳男
評論家経済予測風任せ / 芳男
風雪に耐える知恵つけ猿ダンゴ / 篤子
風鈴がやっと目覚めた昼下がり / 蚤助
不景気の風にUFO飛びにくい / 蝉坊
復興の日まで毎朝揚げる旗 / 蝉坊
閉塞感新たな風を待っている / 裕雅
偏西風反日論も運び来る / 蚤助
北西に家があったの原発の / 弧衾若衆
本棚に挿されてうちわ冬を越し / 蝉坊
△  向かい風受けない程の地位にいる / 満太
向かい風負けずに歩き髪が抜け / 小心居士

「 投げる 」
雨投げるのはやめてよと空向く子 / 良弘
粋ですよゴミは捨てずに投げるんだ / 弧衾若衆
囲碁六冠解説棋譜に即投了 / 桜選
1円を賽銭箱にそっと投げ / 小心居士
一番の場所取りをするブーケ投げ / 久美子
うちのポチ投げたボールとともに消え / 小心居士
OBを振ったふりして放り投げ / 蝉坊
悲しみは千切って投げて浄化され / 蚤助
完全へ絶好球が指を発ち / 蝉坊
△  屑籠に命中させて吉願う / 篤子
△  牽制も覚えたカーブ投げたがり / 良弘
好球は投げぬが仕事投げ出さぬ / 蝉坊
校門のとこで拾える胸ボタン / 蝉坊
ゴミ捨ては投げるのだと東北人 / 芳男
賽銭を投げる背中に手を合わす / 蚤助
始球式おへそに目玉釘づけに / 蝉坊
しなやかに振ったつもりが竿投げた / 芳男
辞表とは投げつけるものだと夢の中 / 芳男
柔道は肌に触れずに投げてみよ / 弧衾若衆
消灯に枕投げした友も消え / 蚤助
女子柔道監督コーチ背負い投げ / 蚤助
◎  地雷踏み妻がピン抜く手投げ弾 / 蝉坊
新婚の親へ丸投げする家計 / 蚤助
正論に大人げないと放り投げ / 裕雅
送別会黒いテープを腹で投げ / 蝉坊
高い皿投げずにおいた痴話げんか / 蚤助
ダメ上司投げた疑問にしかとする / 裕雅
追伸へ好きな想いを投げておく / 満太
妻の目が酒ここまでと投げかける / 裕雅
手で投げるキーパーを見て子が怒る / 良弘
電子マネー平次が投げ銭に困り / 蚤助
投了の王将だけは潔い / 蚤助
ドッジボール好きな子だけを狙い投げ / 蚤助
渡米して球を投げずに匙投げる / 芳男
投げキッス縁の無いままあの世ゆき / 霜降
○  投げ出したアシが言ってる反抗期 / 篤子
投げ出した人の口から不退転 / 蝉坊
投げつけた嫌味妻から倍返し / 小心居士
◎  なんとなく投げた視線でセクハラに / 駄作
何年も投句しているが進歩なし / 裕雅
にこやかに投げて届かぬ始球式 / 蚤助
箸使い下手な息子にさじを投げ / 良弘
春ですね覗く鏡に投げキッス / 蚤助
振った仕事加速が付いて逆戻り / 伊閣蝶
○  懐(ふところ)の深さに石を投げてみる / 満太
ホームラン打たれた投手そっぽ向き / 蚤助
△  丸投げの上に手柄は横取りし / 桜選
見たくない妻がベランダ投げキッス / 小心居士
もうあかん初診で医者が投げている / 満太
木犀が香ってくれるゴミ置き場 / 蝉坊
やめてやる一人ぐらいは止めるでしょ / 弧衾若衆
ラブレター投函した後の運命は / 霜降

「自由題」
このあいだ迎えた人をもう送り / 駄作

五十音順 / 会員による互選 / ◎=天,○=地,△=人 / 互選結果は翌月号に公表

4月のお題:「温泉」,「徘徊」 出題:英治さん



▲オオイヌノフグリ/大犬の陰嚢 の小群落
Veronica persica/オオバコ科クワガタソウ属/越年草
近所の土手に毎年春一番に咲いてくれます。
それが比較的数の少ない青色の花なので
さらに新鮮味があります。 蝉坊


《 関連ブログ 》
● ただの蚤助「けやぐの広場」
川柳と音楽、映画フリークの独り言。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu575
● 蝉坊「けやぐの道草横丁」
身のまわりの自然と工芸、街あるきと川柳への視点。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu0110


2013年02月号  お題:「食事」,「学ぶ」 出題:良弘さん

2013年04月03日 | 川柳
「食事」
朝いらぬ昼はコンビニ夜女子会 / 弧衾若衆
あの頃は二人だけでも美味かった / 篤子
歩いたらお腹がへるとおんぶさせ / 良弘
あんぽ柿八十婆のほほ緩む / 霜降
生きたいよ目の前の虫おいしそう / 弧衾若衆
今ひとつだねと食後の爪楊枝 / 蚤助
宇宙食みたいひとりで食べるメシ / 蚤助
鰻好き絶滅するまで食べ尽くす / 裕雅
餌よりも手間かかるのと結び二個 / 芳男
○  エプロンをくれた娘のシェフにされ / 蝉坊
おしょくじけん誰が言ったか掛詞 / 斜録
お取り寄せふくらむ期待も味のうち / 霜降
おフランスナイフフォークで気疲れし / 霜降
おや国産よくよく見れば外国産 / 斜録
君の背を母の背中と併せ見る / 久美子
牛脂ならモウ買いませんカレールー / 蝉坊
食い扶持が減ると同時に年収減 / 芳男
◎  栗ごはんむかない奴が三杯目 / 蚤助
健啖の人が詳しいダイエット / 蚤助
◎  講釈に箸が出せない試食会 / 流美ん
好物が禁止品目メタボ腹 / 伊閣蝶
好物を並べて皆でする食事 / 篤子
子の帰省山盛りゴチに祖父唖然 / 流美ん
献立に今日も悩んでネット見る / 篤子
山頂の景色おかずに塩むすび / 流美ん
シェフの腕敵わぬシュフの晩御飯 / 篤子
試食してまき餌に掛かる男客 / 満太
○  自炊だとツマミ主体となるオカズ / 伊閣蝶
静やかに味にうるさい御ひとり様 / 流美ん
△  自然食勧める女(ひと)の厚化粧 / 蚤助
島国に住んで輸入の魚食い / 蚤助
食事する前に乗っちゃう体重計 / 伊閣蝶
職なくも朝昼夕げ食してる / 小心居士
「好きかも」とはっきりしない褒め言葉 / 詠得笑
制限を無視して食べる美味しさよ / 斜録
筮竹(ぜいちく)の音が聞こえてくるふぐ屋 / 蝉坊
全国へご当地弁当出前する / 裕雅
惣菜の深みへ男子入りこみ / 蝉坊
それぞれに今日をかみしめカウンター / 駄作
それぞれを向いて食卓つく絆 / 蚤助
ダイエット好きなお菓子は別腹で / 裕雅
△  沢庵も繋がっている家族の輪 / 蝉坊
食べてないときはおしゃべりしたい口 / 蚤助
食べて寝て寝てまた食べる山の神 / 小心居士
団らんはテレビドラマの中だけに / 裕雅
付き合いを決める前には是非食事 / 久美子
妻とする朝昼夕げ会話なく / 小心居士
◎  つまみ食いした指がまたおいしくて / 良弘
△  デザートは腹は別でも身は同じ / 詠得笑
手料理を残さず食べる律義者 / 詠得笑
何食べる一人暮らしで想う母 / 久美子
鍋奉行越前蟹に迷さばき / 流美ん
生ゴミの日は知っているカラス君 / 満太
悩ましや食事制限ダイエット / 伊閣蝶
何で喰う箸を出さずにフォーク出し / 芳男
入院の食事をごくり飲み込むぞ / 篤子
飲み会の夜一品を増やす妻 / 良弘
暖簾まで箸を割らない食前酒 / 蝉坊
パーティーで誰を見るやらおちょぼ口 / 流美ん
箸枕またふて寝するパパの箸 / 蝉坊
母の腕甘くみ料る(つくる)母は逝き / 良弘
腹八分決めてはいたが箸が出る / 久美子
腹減れば自炊ご飯も美味佳肴 / 伊閣蝶
△  ピーマンと酒は我慢ができると子 / 良弘
△  一人鍋湯気の向こうに亡妻(つま)が居る / 満太
貧乏性ご馳走食って腹下し / 霜降
フカヒレに春雨でても分からない / 弧衾若衆
ブフェというオシャレなオシャレな食べ放題 / 斜録
フルコースラストのチャーハン胸つかえ / 弧衾若衆
文化祭すまして食べるたぬきそば / 流美ん
弁当の底をぶち抜く食いっぷり / 蚤助
ホテルシェフ立ち食いそばに舌鼓 / 流美ん
窓際も食事の時は中央で / 裕雅
ママさんを真似てわが家のメニュー増え / 流美ん
満腹のまだ去り難いバイキング / 蚤助
店の前「今日はお外」と子がごねる / 流美ん
三日目にカレーを使うパンと麺 / 芳男
レトルトでいつもの飯のアウトドア / 斜録
我が家ではすき焼きの肉サッと消え / 小心居士
和の皿が好きな娘のハムエッグ / 蝉坊

「学ぶ」
○  赤信号待つ子に習い立ち止まる / 裕雅
いじめから逃れる術を子に学ぶ / 駄作
慰謝料は痛いがこれも授業料 / 詠得笑
イチニッサン努力の結果123 / 弧衾若衆
何時からか子に学ぶこと多くなる / 裕雅
△  遺伝子に挑戦をする塾通い / 蚤助
インターネット今や恩師と仰ぎたい / 霜降
追いつけぬPCスマホタブレット / 斜録
老いてなお学ぶ姿勢に頭下げ / 裕雅
大慌て定年間近で資格取り / 伊閣蝶
お行儀を犬に学んだ一人っ子 / 蚤助
怖ろしい言葉をまとうタバコ買う / 蝉坊
追っかけた親父の背中が悪かった / 詠得笑
覚えても覚えてもすぐものわすれ / 良弘
親心子には見せないボランティア / 流美ん
外国語いっひふんばるデルウンチ / 弧衾若衆
外国語学ぶ気もなくカナをふり / 芳男
△  学歴に見合う学力ない不思議 / 蚤助
計算外まさか仕事で微分とは / 伊閣蝶
渓流の隠れイワナと騙し合い / 流美ん
消し忘れ学んでないと妻激怒 / 芳男
公害に先輩などというは無し / 蝉坊
子が生まれ親を学んで試験中 / 久美子
子が棄てる本に掃除の手が止まり / 蝉坊
ご近所の雪かきのサマ見て学ぶ / 篤子
子育てにとしょりも参戦子が迷い / 流美ん
子の徹夜机に残るサクラの絵 / 流美ん
児の列が田水に光る実習日 / 蝉坊
小坊主のように円周率唱え / 蝉坊
酒飲みは同じ過ち繰り返す / 裕雅
雑学が飛び交う広間老人会 / 小心居士
雑学をテレビで学ぶ今日日かな / 小心居士
さみしくて本隠し行く保健室 / 良弘
算数は子供が学び親が訊く / 芳男
自信なき企業が頼る資格試験 / 斜録
宿題を聞かれ解らず口ごもる / 久美子
シュプールに見とれて被る雪煙 / 流美ん
人生を子に学びつつ老いてゆく / 霜降
センス・オブ・ワンダーでいく還暦路 / 蝉坊
全面を見せた恩師にする深謝 / 蝉坊
染め色のムラに心がにじみ出し / 流美ん
大学で学んだ末のフリーター / 満太
タブレットどんな薬と聞く親父 / 小心居士
単身の余暇利用しピアノ弾く / 伊閣蝶
担任を逆指名して正常化 / 蚤助
父と子の恩師が同じ分教場 / 蝉坊
つむぎ出る言葉が脳のバロメーター / 流美ん
定年後妻から学ぶ立て・すわれ / 小心居士
手習いは年金出るまで先送り / 詠得笑
登校の子皆明るくて終業式 / 良弘
トラウマのカウンセラーと恋に落ち / 蝉坊
何番目?もらうボタンの位置ねらい / 流美ん
八歳のペットボトルの句に学び / 蝉坊
火の用心老舗の火事に小屋うさぎ / 蝉坊
フランス語かじったけれど不味かった / 蚤助
勉学に励んで人と世を騙す / 蚤助
ポチと俺立て・どけ・すわれ妻の声 / 小心居士
前足でミケもふすまを即オープン / 弧衾若衆
学くん教育終了籠もりくん / 弧衾若衆
学ぶことまだある古希の虫眼鏡 / 蚤助
△  学ぶ場をテレビと定め茶を入れる / 篤子
学んだが身につかぬまま歳をとり / 裕雅
学んでも役立つか否結果論 / 斜録
丸暗記あくびをしたらもう忘れ / 蚤助
△  夜学でも「大卒」と書く自負があり / 満太
休む子を羨み娘熱計る / 良弘
嫌(ヤ)な授業エスケープする保健室 / 蚤助
やりかけの雪山消えて知る善意 / 流美ん
揺り戻しまた拝金と原発へ / 蝉坊
読むたびにページが前にめくられる / 篤子
○  落書きの誤字を正して出るトイレ / 蝉坊
ランドセル夢詰め込んで学校へ / 霜降
リストラをされた親見て子は学び / 斜録
流行の化粧法知る電車内 / 蚤助
若者に仕事教わるこそばゆさ / 伊閣蝶
我以外皆我が師なり飲み屋では / 斜録

『自由題』
大阪の阿倍野にありそなアベノミクス / 斜録
滑舌の是非試されるきゃりーぱみゅぱみゅ / 斜録
女性誌の付録でブランド名を知る / 斜録
震災を去年と言った年も去り / 斜録
掃除機に吸われそうだな定年後 / 蚤助
タブレット手を伸ばし見る50代 / 斜録
中八はやはりまずいぞボーイング / 蚤助

※ 五十音順 / 会員による互選 / ◎=天,○=地,△=人 / 互選結果は翌月公表

3月のお題:「風」,「投げる」 出題:裕雅さん



▲ある居酒屋の貼紙
(株)や(有)よろしく(居)とあるのも
興味深いものがあります。 蝉坊