けやぐ柳会! 「月刊けやぐ」 電子版

「けやく」とは、友だち、仲間、親友といった意味あいの津軽ことばです。

2013年09月号  お題;「 種 」,「 テープ 」  出題:芳男さん / +特別お題「 百 」

2013年10月10日 | 川柳
通巻100号記念号

「 種 」
朝顔の種二個隠し来年(なつ)待つ子  良弘
あの人のために咲くんだこの芽生え  流美ん
争いの種蒔き後は知らんぷり  蚤助
荒れた庭種なる前の草むしり  織妃女
居酒屋で話の種のメモをとる  小心居士
井戸端で噂の種を掛け合わせ  小心居士
犬拾う喧嘩の種に助けられ  篤子
植えたはず無いのに庭にコスモスが  久美子
梅干で握る一個に種はなし  芳男
噂好きどんな種でも花が咲き  久美子
お喋りの噂の火種探すふり  流美ん
おばさんは噂の種を嗅ぎ付ける  小心居士
△ おまけにともらった種子はよく育ち  蚤助
親爺ギャグ説明付きのネタばらし  芳男
外来の花に惹かれる蜂となり  蝉坊
柿の種丁度いいのは七三か  猫じゃ猫じゃ
柿の種六対四でピーナッツ  弧衾若衆
風に乗りタンポポの種小旅行  織妃女
風に乗る種を見上げる屋台酒  蝉坊
風任せ鳥に運ばせ種拡散  篤子
かたい殻おいしい仁を守ってる  織妃女
かぶづいたスイカの種で前歯欠け  芳男
(かぶづいた→勢いよく食べる様子)
烏さえほじくる種無き北朝鮮  斜録
寒立馬シリア問題馬耳東風  蝉坊
○ 君の里どちらの庭と花に問う  流美ん
○ 欠点は亭主になする娘の器量  蝉坊
秋桜に庭狭くされ泣き笑い  良弘
西瓜食い悩みの種も吹き飛ばす  蚤助
絶滅の危機に瀕した羞恥心  蚤助
前立腺捨てたカボチャの種を干し  芳男
ダーウィンよおらは蟻から進化した  蝉坊
種明かし笑って魅せて消える術  流美ん
「たねくん」がありに運ばれ花咲かす  風優海
種さえもおいしいスイカこしらえて  霜降
タネというと旨そうもない鮨のネタ  蝉坊
種ないが夫婦喧嘩は発芽する  小心居士
種無しの葡萄にあった種を干す  良弘
種播いて生藍で染め色合わせ  織妃女
○ 種撒いて育てて上司に持ってかれ  斜録
食べ残し湿気が分かる柿の種  芳男
散らかしたくせに今年も鳳仙花  良弘
珍果樹の見切り品から種守る  猫じゃ猫じゃ
丁寧に植えられる種芽を出さず  篤子
△ 手品より拍手が多い種明かし  蚤助
道徳を守る授業は政治から  蝉坊
ネタ帳の笑いに泣いた夢の跡  蝉坊
鉢植えの芽が出ぬ種を応援し  小心居士
発芽率高い自然の中の子ら  蚤助
花一輪となりの芝に見あたらぬ  蝉坊
バナナにも種はないかと自家菜園  芳男
花の種どこだどこだと種探し  風優海
ばれてるよ頬っぺで種がすましてる  流美ん
晴れ晴れと取っ組み合いのあとの空  流美ん
一粒の種に泣かされ苺好き  篤子
病院は噂の種を培養し  小心居士
枇杷の種落ちて芽が出て五六本  織妃女
無精もん手入れいらずの種求む  小心居士
ぶっ飛んださくらんぼ祭種飛ばし  篤子
ベランダに豊作祈り種をまく  猫じゃ猫じゃ
ほうせんか種がパチパチめいわくだ  風優海
ボトル空き話のタネも尽きました  蚤助
惚れ合うも種を残さんとする力  斜録
蒔く種も尽き窓際で時を待つ  駄作
街角の風が噂の種運ぶ  蚤助
茉莉花(まつりか)の丸い種からジャスミン油  織妃女
三日月を仰いで食べる柿の種  霜降
召し上がれブロックされた海の魚  蝉坊
飯のタネですと分厚い閻魔帳  蚤助
雪解けだ何はともあれ種子を蒔く  蚤助
嫁・姑互いのすべて癪の種  小心居士
りんごリンゴ林檎を超える種探し  蝉坊
技がまだ素材のよさを出し切れず  流美ん

「 テープ 」
◎ 会いたくて何度でも聞く声がある  流美ん
朝帰りドアに貼られたトラテープ  蝉坊
安価でもテープで豪華なプレゼント  小心居士
糸束(いとたば)のテープカットで展を開け  織妃女
○ 鶯はテープでしたか無人駅  蚤助
運動会テープ切る子が誇らしい  霜降
エンドレステープのような愚痴の酒  蚤助
△ 押し入れのテープにあった若い僕  良弘
おや指の傷のテープで杼(ひ)が持てず  織妃女
顔のしみ修正テープじゃあ消せないなぁ  猫じゃ猫じゃ
カセットもビデオも遠くなりにけり  斜録
合併後社にはラインが見え隠れ  小心居士
家庭内別居で嫁がライン引く  小心居士
ガムテープたんがぐ穴を皆塞ぐ  芳男
(たんがく→持ち上げること)
ガムテープどんな味かと孫が聞く  小心居士
ガムテープ役に立ってはスマートに  篤子
ガムテープ渡して粘る別れ船  蝉坊
管轄は見えぬテープでにらみ合い  芳男
繰り返すテープみたいな妻の愚痴  小心居士
決定戦どちらもテープ用意する  蚤助
倹約家テープで済ます盆の経  篤子
コンサートテープ拾いに我忘れ  久美子
式典のテープカットで空振りし  小心居士
湿布薬背中に届かず捲れ付き  篤子
修学旅行テープ握って海渡る  篤子
傷心にバンドエイドが小さ過ぎ  蚤助
新作の柄をテープに落とし込み  織妃女
青春の詰まったテープデジタルに  駄作
セロテープ切り口ギザザで指痛い  風優海
セロテープぐるぐる回りいそがしい  風優海
セロテープこれも商標だったとは  斜録
セロハンにガムにクラフトライン・布  小心居士
◎ テーピングだけはみごとなアスリート  流美ん
テープ有るも再生機能ない奴ら  篤子
テープ切る子の親は来ぬ運動会  蚤助
テープ切る福士加代子の高笑い  猫じゃ猫じゃ
テープどこ名画名曲も押し入れに  猫じゃ猫じゃ
手の甲も働かせてるセロテープ  蚤助
銅鑼の音に出船のテープカモメ舞う  霜降
七色のなごりを惜しむドラが鳴る  流美ん
人間味声に残した死刑囚  蝉坊
バミってと言われて貰うガムテープ  斜録
絆創膏剥がした後の毛も欲しい  芳男
秘蔵したテープの再生機材なし  芳男
夫婦とは付いて離れるマジックテープ  小心居士
方丈のお経がテープに置いてがれ  小心居士
マイゴールテープを切ったことがない  蝉坊
巻き戻しできるテープの寛大さ  流美ん
マスキングテープのギャング口ごもり  蝉坊
目張りした車鉄砲水凌ぐ  蝉坊
モザイクの画面みつめて不満顔  蚤助
△ 優しそうなのにテープはジャッと剥ぎ  流美ん
レジで貼るテープを付けた君を持つ  良弘
練炭と一緒に買えぬガムテープ  蚤助
連絡船五色テープが泣くデッキ  蚤助
連絡船哀しさを切る紙テープ  弧衾若衆
朗読テープいつものとこで眠くなり  蚤助
ロカビリーテープの中にリーゼント  流美ん
録音をテープと読んで理解され  芳男

「 百 」
100号記念特別お題(会出題)
あと一年バカにするなという白寿  蝉坊
いい点は駄目でも君と同じ組  良弘
一万円百均店ンの大人買い  蚤助
追いやった島で繁栄する百済  蝉坊
枯れ枝に百花乱れて御籤咲く  蚤助
減点を百も承知で朝帰り  流美ん
五十歩をもどる百歩にある勇気  蝉坊
さあ電話ヒャクトーバンて何番だ  蚤助
百日紅サルを座らせ試したい  小心居士
◎ 終いには店舗売り出す百貨店  蚤助
照度より頭上の温もり百ボルト  芳男
心配性気候気にする百年後  蚤助
ゼロふたつあってようやく100になり  弧衾若衆
たて糸は百尺巻いて二反分  織妃女
旦那からまだ百点はもらえない  久美子
天・地・人目指してひねり百句越え  小心居士
日本製百均店の優れもの  蚤助
年金で日用品はみな百均  小心居士
パーセントせこすぎるぜと割がいい  蝉坊
○ 半分の五十数えて夏の風呂  良弘
ひと時の百薬の長句をひねる  小心居士
ひとりずつひとつずつ百待つ我が家  良弘
△ 百円を崩して繋ぐ赤電話  芳男
△ 百円を喜ぶ孫も束の間か  小心居士
百号を支える百家の百科の句  小心居士
百超えたけやぐ・ウエスト内脂肪  小心居士
百歳に白さいひとつ入ってる  風優海
百獣の王を倒したバクテリア  蝉坊
百姓を継げとは言えぬ稲を刈る  満太
△ 百戦のセールスマンの娘(こ)が売れず  蚤助
百叩き復活させたい詐欺師には  霜降
百点と無縁の娘も嫁にいき  霜降
百点のテスト上にしゴミを出す  良弘
百点はもう伸び代のない点数  斜録
百点をとれずお墓にかける水  流美ん
100という数字がいいとは限らない  弧衾若衆
百度より好きな四万六千日  斜録
百人一首晴れ着でなけりゃ立てる膝  流美ん
百年ののれんをおろす三代目  猫じゃ猫じゃ
百までは仕事無理だと米寿展  織妃女
百名山スタンプラリーのようになり  蚤助
百名山百一番目に登る人  弧衾若衆
百回に負けてなるかと一涙  芳男
百均で豊かな暮らしこれ裕か?  斜録
百句目も自画自賛して投句する  小心居士
振り向けば百点もありゼロもあり  弧衾若衆
みかんにはつぶがひゃくつぶありそうだ  風優海
△ 百足より足があるのか妻の靴  久美子
△ メールなら百人力だずる休み  駄作
めでたやな百を数えたけやぐ会  猫じゃ猫じゃ
百年(ももとせ)や江差追分名残唄  猫じゃ猫じゃ
百合だった妻が今では栗かぼちゃ  小心居士
許します百均店の無愛想  蚤助
リハビリの日課百歩で日が暮れる  蚤助

「 自由題 」
ギャルかもな画鋲の跡に動悸する  弧衾若衆
金曜日いつもの女やってくる  弧衾若衆
ケータイのマナーモードがよく聞こえ  弧衾若衆
ごわーんとうんこを流す音がする  弧衾若衆
△ 幸せになりそこなった「辛」の文字  蚤助
町会費払うにしても誰も来ず  弧衾若衆
何してる夜中に出たり戻ったり  弧衾若衆
ひだりみぎ表札出てるうちばかり  弧衾若衆
日めくりの減っていくのが早くなり  弧衾若衆
ベランダに出ると大家が立っている  弧衾若衆


五十音順 / 会員による互選 /
◎=天,○=地,△=人 / 互選結果は翌月公表

10月のお題;■「 する 」 ■「 くり 」 出題;蝉坊さん



▲ 小さい秋みつけた…
路地の隅、風に吹き寄せられたオレンジ色の粒。
毎年感じる季節の芳香。キンモクセイの花冠です。
金木犀 Osmanthus fragrans var. aurantiacus は雌雄異株の常緑小高木。
消臭のため昔はトイレのそばによく植えられたそうです。
日本には雄株だけが入ってきたので、実を結ぶことがない。
「え?実なら北区中央公園で、なってるの見たことがあるよ!」と調べてみると、
それは「ギン」モクセイ Osmanthus fragrans の実。
キンモクセイはギンモクセイの変種で、葉や姿はそっくり、ウリヒトツ。
偶然、画像の路地もその公園のすぐ近所でした。  蝉坊

/東京・北区十条台/JR十条駅から徒歩10分


《 関連ブログ 》
● ただの蚤助「けやぐの広場」
川柳と音楽、映画フリークの独り言。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu575
● 蝉坊「けやぐの道草横丁」
身のまわりの自然と工芸、街あるきと川柳への視点。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu0110