■「 処分 」
朝採れの野菜に規格などいらぬ 流美ん
暑さまで処分期待の低気圧 芳男
余りもの片し続けた腹回り 詠得笑
遺産分け済んで故人は忘れられ 蚤助
イチローをライ9で使う日本観 蝉坊
★ いつか着る処分できないお気に入り 猫じゃ猫じゃ
いつか読む処分できない全集本 猫じゃ猫じゃ
大掃除何も捨てない妻がいる 霜降
お買い得思わず買って処分品 久美子
押入れが足りず断ち切る思い入れ 詠得笑
おもちゃ箱奥をこっそり捨てて見る 良弘
戒告にオレが上かと訓告者 弧衾若衆
哀しみをちぎって捨てて「ごきげんよう」 流美ん
カネで済むはずのことだがそれがない 蚤助
ガラクタを処分できずに隅で寝る 裕雅
期限切れこれは目安とほかと混ぜ 弧衾若衆
契約がクシャミをしだすヒジ故障 蝉坊
腰掛けの椅子を外され辞表書き 篤子
ゴミ出し日夫がゴミとVサイン 小心居士
これ捨てて俺の物だけ邪魔にする 久美子
これだけは処分できない君の文 駄作
献立は処分品からひねり出し 芳男
殺処分逃れたからと名はラッキー 芳男
★★ さまざまな秘密知ってるシュレッダー 蚤助
散骨と海に撒かれる夢を見た 小心居士
社長から急な呼び出し覚えあり 小心居士
処分市妻が野性を解き放つ 蚤助
処分され親子ともども反省文 猫じゃ猫じゃ
処分品何故に値が付きもう一度 篤子
知らぬ間にバザーに俺の靴が出る 小心居士
信用も売ってしまって店たたむ 蚤助
捨てたけどまた惜しくなる粗大ゴミ 蚤助
★★★ 棄ててから大事なものと気づく朝 弧衾若衆
政権も国土も奪う原子力 蝉坊
整理するという言い訳の処分術 篤子
尊敬も頼りにもされ粗大ごみ 良弘
大根にまた土をつけ売りに出し 蚤助
★ タクシーを拾って未練捨てにいく 蚤助
脱毛に万策尽きて頭剃る 小心居士
★★ 他人なら棄てちゃいそうな物がある 良弘
旅先に穿いて棄ててこ古下着 詠得笑
断罪の気分ただよう喫煙所 蝉坊
断捨離で出た箱一つリサイクル 篤子
断捨離の手を想い出が今日も止め 流美ん
ティーバック色が薄まり屑篭へ 篤子
定年で粗大生ゴミ処分され 芳男
定年で楽する間なく見棄てられ 裕雅
定番はリメイクされた残り物 ちどり
出来すぎたトマトは採らず土の餌 芳男
特売を着て特売にまた出かけ 蚤助
どしゃぶりにテレビ持ち込み金払い 弧衾若衆
隣の樹何故だか家が好きらしい 流美ん
夏物の処分セールも遠い夏 蝉坊
生ゴミにされないように皿洗い 蝉坊
習い事めげて道具も不燃ごみ ちどり
抜け出して相撲観戦処分もの 猫じゃ猫じゃ
本気度が透けて見える甘い処分 裕雅
盆の袈裟檀家檀家と飛んで行き 流美ん
また来いといってリンゴの実を選(すぐ)る 蝉坊
真っすぐに見切り野菜へ急ぐカゴ 蝉坊
見切り品用も無いのについ手が出 猫じゃ猫じゃ
耳にタコすてる棄てるの捨て台詞 蝉坊
もの売れず販促グッズだけ捌け 蚤助
安く買い高値で処分リサイクル 芳男
夕凪へあばよと捨てる青イソメ 蝉坊
夕飯は冷蔵庫一掃大サービス 霜降
冷蔵庫並んで待ってる処分品 篤子
老後読むはずの全集紙劣化 わすれ草
■「 乗り切る 」 出題:詠得笑
荒波を乗り切り定年今は妻 小心居士
荒波を横に進んで無事定年 弧衾若衆
在りし日の声手繰り寄せ語る日々 流美ん
言えないが今夜は星がキレイだよ 弧衾若衆
一輪車折り重なった道標 蝉坊
祈りから希望に変わる三年目 詠得笑
いま出たと時間稼ぎをする出前 蚤助
遠距離と満員に耐え定年に 小心居士
落ち込みも生きてるんだとバネにする 流美ん
親子縁泣いて笑って年重ね 霜降
家計簿をへそくりで埋めやりすごす ちどり
傘立ての杖を感謝でしまい込み 蝉坊
★★ 家族して宿題仕上げ始業式 詠得笑
我慢して妻に従順オシドリに 小心居士
カラオケで十八番歌われ乗り切れず 芳男
辛味噌を舐め寒がりの「夏」と居る 良弘
昨日まで酷暑で今は寒ッてが 篤子
給料日一週前の四苦八苦 猫じゃ猫じゃ
★★ 愚痴ってるうちはなんとかなっている 蚤助
月末にここ乗り切ればと言い続け 裕雅
甲子園暑さ乗り切り好試合 裕雅
甲子園負けて補習へ猛ダッシュ 流美ん
酷暑日が生死を分ける大都会 霜降
子らが立ち猫も戸惑う甘やかし 蝉坊
転びそうだけどふたりのスラローム 流美ん
困難を乗り切った後のビール一杯 裕雅
里帰り猫のお守りを娘に託し 蝉坊
締め切り日乗り切る自信ありません 猫じゃ猫じゃ
住宅の次はお墓のローン組む 蚤助
周遊券元を取るまでタダ移動 弧衾若衆
除雪後冬の坂道乗り切った 猫じゃ猫じゃ
線香花火の散り菊咲かせおわりたい 篤子
戦中も戦後も無事に昭和の子 篤子
★ 太平洋ひとりぼっちで見て帰る 蝉坊
食べ盛る子が我慢する父の糧 良弘
朝食のプラン便座で練りあげる 蝉坊
通勤は長いが暑さ乗り切れる 良弘
妻気付く前に消し取るシャツの紅 小心居士
定年を迎えた自分をほめてやる 霜降
夏バテが続いてほしいダイエット わすれ草
乗り切った熱中症の後遺症 芳男
乗り切りを約束しての蒲焼屋 篤子
乗り切ると確約できぬこの暑さ 猫じゃ猫じゃ
乗り切れず小遣い毎度取り崩し 芳男
波頭から見えては消えた夢の島 蝉坊
ビアガーデン乾杯をしてまたガンバ 篤子
百八つ鐘を鳴らして新年に 篤子
風鈴を下げて暑さよ飛んで行け 篤子
深酒で往復路線乗り切った 芳男
振り向けば無垢の幾多の顔を踏み 弧衾若衆
風呂掃除妻のチェックに胸撫でる 小心居士
偏差値に触れてはならぬ甲子園 蝉坊
星つかむつもり汚水の波に乗り 蝉坊
前向きに検討という持久戦 蚤助
また勝った受験の夏の甲子園 蝉坊
マラソンのゴールタオルで生け捕られ 蚤助
猛暑日で小まめに補給するビール 詠得笑
★★ もの忘れ増えて良くなる夫婦仲 蚤助
やっと秋だけど夏痩せしなかった 久美子
やっとこさ嫁いだ娘子と戻り 駄作
雪室で夏乗り切ると小学生 篤子
よくできたハナシと閻魔笑いだし 蚤助
来世ではきっとアンタを振ると妻 蚤助
両の手を格闘させたフルコース 蚤助
冷蔵庫眺め数える給料日 ちどり
笑わない日々に休止符友の笑み 流美ん
割り勘でマイク放さぬ下戸の意地 蚤助
9月のお題
■「大人 」 ■「 隠す 」
出題;篤子さん
五十音順 / 会員による互選 /
★★★=天,★★=地,★=人 / 互選結果は翌月公表
▲コブシ/辛夷/Magnolia kobus/Kobushi magnolia/
モクレン科モクレン属/落葉広葉樹/
東京・北区・「石神井川緑道」/08.31.2014
北海道、本州、九州、済州島に分布。
「コブシ」がそのまま英名・学名になっています。
果実は集合果で「にぎりこぶし状」のデコボコがあり、
これが名前の由来です。
駄洒落のつもりのカメラ演出でしたが、
「瓢箪から駒」でした。 蝉坊
▲ コブシの実
東京・板橋区・「石神井川緑道」/09.28.2012
《 関連ブログ 》
● ただの蚤助「けやぐの広場」
川柳と音楽、映画フリークの独り言。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu575
● 蝉坊「けやぐの道草横丁」
身のまわりの自然と工芸、街あるきと川柳への視点。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu0110