けやぐ柳会! 「月刊けやぐ」 電子版

「けやく」とは、友だち、仲間、親友といった意味あいの津軽ことばです。

2013年07月号  お題;「 信頼 」,「 選ぶ 」  出題:俳蓮さん

2013年08月06日 | 川柳
「 信頼 」
挨拶ができぬ上司にしない部下  良弘
開けてすぐ食いつく母のお弁当  篤子
痛くする医者と替われと泣く息子  良弘
犬の眼を凝視できない目の濁り  蝉坊
占いによく騙される人ぎらい  蝉坊
園児らはどの先生も好きになる  良弘
△ 遅咲きの息子の部屋に二輪草  流美ん
△ 鬼瓦優しくヒナを抱いている  蚤助
◎ 親泣かすくせにドラマを見て泣く子  良弘
俺よりも妻の顔色見て育つ  小心居士
△ 鍵掛けることの無かった祖父ちゃんち  篤子
家事万端得意なカレの嫁になる  蚤助
携帯が鳴っても誰か聞かないよ  弧衾若衆
後継は君しかないと言ったよな  弧衾若衆
△ 国産と書いてあるから疑われ  蝉坊
国産の表示信じて食べて良い?  久美子
極秘でも消える信頼ここだけよ  芳男
△ 皿壊し包丁出さぬ夫婦仲  芳男
叱られるときは母より父の前  良弘
△ 出世する人ほど多い舌の数  斜録
新携帯不法通話の舌を抜く  蝉坊
◎ 信号を守る男がした浮気  蚤助
信じてる言った瞬間(とき)だけ真実だ  斜録
信の字は人の言うことあてならぬ  斜録
信頼という名の放置で育つ闇  桜選
信頼と絆つないで行くタスキ  蚤助
信頼のらの字を変えて字句遊び  伊閣蝶
信頼は7割ほどが心地よい  斜録
世間ではおとな顔する子を信じ  流美ん
大切な人に頼られ嬉し泣き  伊閣蝶
タクト振り音を楽しむコンダクター  織妃女
頼むよとと言うしかない親の老い  猫じゃ猫じゃ
頼めしじゃあ決めのセリフに無理をする  猫じゃ猫じゃ
団員の音色信じてふるタクト  織妃女
父の手があとを頼むと語りかけ  流美ん
着歴を盗み見したくなる心理  伊閣蝶
△ 茶柱を信じこっそりジャンボ買う  満太
△ 妻というナビを頼りに五十年  満太
つり橋は信用なくして渡られん  霜降
鉄道が時間通りは日本だけ  斜録
手をつなぎスカイツリーを眺めてる  弧衾若衆
どこまでが上手い話の裏の裏  久美子
友もみる青い空みて出す勇気  流美ん
泣いた日を忘れて高くなる眼線  蝉坊
撫でる手にすり寄ってくる子のアタマ  篤子
何しても可愛く見える五歳まで  弧衾若衆
日本のブランド影が薄くなり  霜降
△ 念押しの要らない友を席が待つ  流美ん
バアちゃんのATMはタンスです  蚤助
箱根路に今年もタスキつながれる  小心居士
腹時計空腹時には音を出す  小心居士
日が経つにつれ存在が増す亡父  流美ん
膝の猫同じ景色を眺めてる  猫じゃ猫じゃ
△ 人を見る眼が欠けていたカンニング  蚤助
プランなど持たずあなたの船に乗る  満太
振り込めは信頼ネタを換金す  芳男
故郷を捨てたといって浴びている  蝉坊
「任せたよ」丸投げ上司決め台詞  駄作
任せるよ後ろめたさの二枚舌  弧衾若衆
末席に目で合図する味方いる  蚤助
まな板の鯉になれないテイクオフ  蝉坊
蜜の味蜜蜂だけが知る秘密  蝉坊
猛妻に注意と出して鍵いらず  蚤助
よそにある億よりここにある諭吉  蚤助
留守番のポチに預ける家の鍵  蚤助
我が通帳妻には全てご開陳  伊閣蝶
我が家では俺の一言みな聞かず  小心居士

「 選ぶ 」
あなたにも選ぶ権利を認めます  満太
あみだしてクラス委員にされたと子  良弘
アルコール付きの会合ならば出る  蚤助
遺影用選んでみようVサイン  蚤助
芋と麦選べる頃は舌が酔い  芳男
選ばれし人の不幸を誰か知る  弧衾若衆
選ばれたその日を境に豹変す  斜録
選んだか選ばれたのか三十年  斜録
選んだのあきらめたのさ華燭の典  猫じゃ猫じゃ
選んでも選んでもまた裏切られ  駄作
LEDエコなところを見せに買い  蝉坊
○ 縁日で品定めする小さな手  猫じゃ猫じゃ
◎ 親も子も選べぬ縁の泣き笑い  霜降
俺の票議会で野次を飛ばすだけ  蚤助
開票の前に当落あじけない  小心居士
顔色で言葉を選ぶ宮仕え  蚤助
数多い秀句を前に大思案  伊閣蝶
◎ 家族から選抜されてポチの世話  小心居士
過疎の村にぎやかにする選挙カー  良弘
聞かれない出口ばかりのわが田舎  小心居士
君の星眠らぬ街の空にない  蝉坊
◎ くさりかけメロンが美味という熟女  蝉坊
黒枠の写真を選ぶ古希の朝  満太
これが好き選んだ曲が僕も好き  篤子
金色夜叉と卒業を経た離婚  蝉坊
探せない店員の目に選ばれて  流美ん
サシハラのような選挙もあってよし  弧衾若衆
参議員6年たつと顔を見せ  小心居士
じっくりと選んだ妻の機嫌取り  霜降
失恋し友を繰り上げ家庭持つ  良弘
選挙には行かない道を選ぶ愚挙  蝉坊
選挙より大事な家事が多すぎる  良弘
選択肢二つあるから難儀する  満太
選択肢山ほどもある定年後  猫じゃ猫じゃ
選民の意識が高い某組織  斜録
駄菓子くじおとな買いして夢破れ  流美ん
誰だって良いわけじゃない君といる  良弘
地方選よりも気になるAKB  桜選
チラシ見てユニクロ買うかシマムラか  小心居士
つばめの巣シャッター街を賑わせる  蝉坊
粒選りを不揃いにした時の罪  蚤助
妻だけは選んだ人と思いたい  弧衾若衆
手に取った色は何でかオトコ色  篤子
投票日名前忘れて似顔書く  小心居士
鳶の子鷹にしたいと塾探す  流美ん
何故娘連れて来るのはチャライ奴  久美子
熱中症選ぶ言葉も見つからず  織妃女
飲む店を値段で選ぶデフレ渦  伊閣蝶
鳩・菅も誰かが票を入れたヤツ  桜選
贔屓目に見たい候補の顔もなく  蝉坊
ひとりっ子にされて選べる道が減り  流美ん
百獣の王は決して二兎追わず  蚤助
富士山に負けず劣らぬ負の遺産  蝉坊
浮動票あちらこちらに義理がある  蚤助
平日に旅行ができる涙出る  弧衾若衆
△ ポスターとともにはがれるマニフェスト  蚤助
マイナスの票投じたいあの候補  伊閣蝶
まっとうに稼げと諭したいポスター  蝉坊
迷っても結局飲むのは同じ店  斜録
目覚ましの音色と位置を手が覚え  流美ん
猛暑日のゆかた情緒が躊躇する  流美ん
盲人は座り心地で椅子決める  弧衾若衆
行く末を託すに足りぬ投票率  芳男
良い苗に中って胡瓜六本目  篤子
落選の候補が笑う掲示板  蚤助
立候補よほどいいことあるんだな  蚤助
両親の悪癖選び子は育つ  芳男
若返り効果で迷う化粧品  織妃女
我が人生選んで悔いなしとも言えず  斜録
我が家にもコウノトリからプレゼント  久美子

「自由題」
△ 犬にあげ親にはやると言うせがれ  蚤助
信頼が予報官には今いずこ  芳男
前線はいつもゲリラで悩まされ  芳男
梅雨明けを予報官でもつゆ知らず  芳男
パソコンで過去のデータ選んでる  芳男

五十音順 / 会員による互選 /
◎=天,○=地,△=人 / 互選結果は翌月公表

8月のお題;「 鍋 」,「 豚 」 出題;克広さん



▲ 陶器の通い徳利と手提げ箱
三陸のお蔵で収蔵品を撮影させていただきました。
益子焼と思われる赤柿釉掛けの陶器の通い徳利。
キリ材に柿渋と生漆を塗ったと思われる手提箱に入れてありました。
箱は徳利もお酒も大切に扱った証しです。栓はスギ材。
徳利の腰に目立つ線は、
型で二分して成形したものを結合したあとでしょうか。
度量衡に関わることでもあり、
そのほうが一定の容積を保ちやすく、
歩留りのいい仕事ができたのでしょう。
磁器産地から遠い地で、
キリ材と漆には不自由しなかった、
ご当地ならではの「江戸プロダクツ」とお見受けしました。 蝉坊


《 関連ブログ 》
● ただの蚤助「けやぐの広場」
川柳と音楽、映画フリークの独り言。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu575
● 蝉坊「けやぐの道草横丁」
身のまわりの自然と工芸、街あるきと川柳への視点。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu0110