けやぐ柳会! 「月刊けやぐ」 電子版

「けやく」とは、友だち、仲間、親友といった意味あいの津軽ことばです。

2013年08月号  お題;「 鍋 」,「 豚 」  出題:克広さん

2013年09月04日 | 川柳

「 鍋 」
お裾分け返すお鍋に菓子踊る  流美ん
同じ鍋つつけることに安堵する  蚤助
鬼平が軍鶏鍋をば吟味する  猫じゃ猫じゃ
女ひとり男を煮込む鍋にする  蚤助
甲斐甲斐し妻が今では鍋奉行  流美ん
カニ鍋は妻も無口に早変わり  小心居士
彼と鍋熱が冷めても熱い鍋  久美子
キッチンに眠ったままで二十年  織妃女
キミゆでる大鍋夏の出番待つ  霜降
△  グッジョブと言いたい鍋の蓋の穴  蚤助
豪雨の夜置いてきぼりの鍋料理  裕雅
声が減り大鍋出番ないと拗ね  流美ん
子が巣立ち大きい鍋が目について  久美子
子が巣立ち大きさ寂びし土鍋かな  小心居士
娘が立ってゲームセットの鍋セット  蝉坊
○  こっそりと廃品に出す姑鍋  弧衾若衆
混浴で味を出し合うおでんの具  蚤助
△  里帰り母の背中に鍋の湯気  久美子
次男坊手鍋を提げて嫁迎え  蝉坊
自慢です鍋の種類の多さだけ  久美子
ジャッパ汁祖母の味にはかなわない  猫じゃ猫じゃ
ジンギスカン学び舎の庭青い空  猫じゃ猫じゃ
すき焼きに兵どもの汁のあと  小心居士
○  ゼロ戦に成りそこなった鉄鍋(なべ)がある  満太
タジン鍋富士の裾野に湯の煙  蝉坊
単身の強い味方だ無水鍋  伊閣蝶
△  だんだんと小さい鍋が一つだけ  弧衾若衆
父母をすきやき鍋が知っている  織妃女
中華鍋買って楽々振れる夢  蝉坊
妻の趣味買って使わぬ棚の鍋  霜降
妻はカニ息子牛鍋俺もやし  小心居士
特売のひき肉捏ねて囲む鍋  篤子
どぜう鍋なぜか猛暑によく似合う  伊閣蝶
泣く子にはやはりかなわぬ鍋奉行  猫じゃ猫じゃ
夏に鍋売れて節電忘れ去る  裕雅
鍋買えずオール電化にガスコンロ  篤子
鍋釜がそのまま残る転勤族  芳男
鍋しても煮詰まってくる老い二人  蚤助
鍋好きはクーラー切って飲む真夏  良弘
△  鍋だけは娘直箸注意せず  小心居士
鍋に飯残りカレーの処理をする  伊閣蝶
鍋猫と訊いて驚く愛猫家  猫じゃ猫じゃ
鍋の数>料理レパートリー  桜選
鍋奉行一人おったら十分や  蚤助
鍋ふたつ親のカレーに時間かけ  良弘
ナベブタはどちらにもなくつくりはへん  芳男
鍋焼は真夏がうまい江戸の汗  蝉坊
軒下に甲羅干しする鍋が増え  蝉坊
ハンゴーに誌絵扶(シェフ)を気取れる山男  流美ん
引っ越しでやっと出てきて燃えぬゴミ  弧衾若衆
一人鍋テレビ相手に酒を飲む  裕雅
独り者囲むではなく正対す  駄作
FAXの音がせかせる鍋と豚  織妃女
蓋がない燃えないゴミに出す土鍋  織妃女
◎  フライパンひとつでふたりだけの頃  良弘
放置した鍋蓋開ける恐ろしさ  伊閣蝶
三日間食い繋ぐのよ鍋の夜  芳男
◎  夕食は鍋でいいよの「で」に怒り  蚤助
夕焼けの茜の馳走雲の鍋  織妃女
行平を「親戚?」と訊く料理下手  桜選
△  ゆげの奥あなたの好きな具を見つけ  流美ん
湯煎するふのりの鍋でママレード  織妃女
◎  湯豆腐に湯加減を訊く独り者  蚤助
洋・中・韓十人十色入れてみる  篤子
義経はマトンを知らずジンギスカン  蝉坊
寄せ鍋に我が家の味が滲みている  満太
我が家ではすき焼きの肉さっと消え  小心居士
笑い声絶えない家の鍋料理  蚤助
割れ鍋に綴じ蓋で添う五十年  桜選
割れ鍋にとじ蓋夫婦五十年  満太
破れ鍋を支えた妻が見せた自負  蚤助

「 豚 」
アシテビチ油まみれで喰う旨さ  伊閣蝶
脂身は上手いといっても肉が好き  篤子
安産にのの字のの字の尾が揺れる  蝉坊
イノシンの自由羨む養豚所  伊閣蝶
△  イベリコも3割引きの牛に負け  篤子
○  慰霊碑と焼肉店がある豚舎  蝉坊
お祭りの囃子蚊遣りの豚と聞く  蚤助
顔隠し肌の白さに憧れる  弧衾若衆
鏡見て豚と比べる風呂上り  裕雅
角煮豚妻が得意で角が立ち  蝉坊
かつ丼で自供を誘う刑事(デカ)の技  満太
カツ丼の匂いにつられ自白する  小心居士
がむしゃらに仔豚乳房にもぐりこみ  蚤助
蚊遣豚老舗の宿の涼に生き  蝉坊
可愛いといって子豚を囲む児ら  蝉坊
キーボード豚足ひとりかけめぐる  猫じゃ猫じゃ
偽装してトンと知らぬと豚ミンチ  芳男
きっといる真珠の好きなぶたちゃんが  霜降
牛丼屋牛より高く豚を売る  裕雅
きれい好きだから美女とも言わせたい  良弘
きれい好きな豚より劣る我が住居  伊閣蝶
貶されて食われてしまう夢を見た  弧衾若衆
験かつぎカツを食いすぎ胃が敗れ  駄作
合コンに娘(むすめ)カツ丼気合いれ  小心居士
婚かつをあきらめ今は豚カツに  小心居士
霜降りをしげしげ眺めポーク買う  蚤助
戯れている猫を横目に蚊遣豚  流美ん
十二支に加わる夢が豚にある  満太
出張の父に向ってぶー・ブー・buu  良弘
進化していつかは空を飛んでみる  弧衾若衆
スペアリブ焼き加減みる肥えた腕  流美ん
線香は焚けぬ規約の蚊遣買う  蝉坊
ターキーより豚足だよという聖夜  織妃女
ダイエット自分に勝つとカツ丼を  小心居士
旅先でカツ食って妻思う夜  良弘
食べられるために生まれて来た命  伊閣蝶
父は牛、母は豚だという豚児  桜選
どうにでもなれと豚マンもうひとつ  蚤助
共食いと言われて食べる豚の味  久美子
豚舎見て豚足を食う勇気なし  篤子
豚足煮売り切れ御免コラーゲン  流美ん
夏バテに強い味方だ豚キムチ  伊閣蝶
跳豚(ハネトン)がアキレス腱を気にしてる  猫じゃ猫じゃ
ピースするその手を食べる食いしんぼ  久美子
ブーフーウー夢中で見てた遠い日々  霜降
豚玉の形で見せるプロポーズ  流美ん
ブタ箱とゲタ箱にないブタとゲタ  蚤助
ブタまんは他人のような気がしない  蚤助
豚まんを食べたくさせる女(ひと)に会う  良弘
豚目覚め獅にもなれず汚物撒く  芳男
◎  プチ家出お供はブタの貯金箱  蚤助
ブランドが豚にもあった品評会  満太
ミズ知らずあいびきしている牛と豚  芳男
見つけてはトリュフ取られて鼻鳴らす  流美ん
見本とは違う薄手のカツライス  蚤助
愛(めご)いべとボンレス並みのもみじの手  篤子
屋台より自宅でうまいレシピ聞く  織妃女
夕飯はビーフシチュウだ豚肉の  蚤助
四十路過ぎ婚かつ止めて豚かつに  小心居士
冷しゃぶの想いがゆるむカレー用  蝉坊
レジを待つ豚と長ネギキスをする  蚤助

「自由題」
時が往き影が寂しいやぐら台  小心居士

五十音順 / 会員による互選 /
◎=天,○=地,△=人 / 互選結果は翌月公表

9月のお題;■「 種 」 ■「 テープ 」 出題;芳男さん
■「 百 」 ※月刊けやぐ100号記念特別お題



▲ 「名主の滝公園」外周路の光景
伝統的な土壁の柱に大八車の車輪がかけられています。
道端に建てられた無機質なカーブミラーとの取り合わせがまるで、
「歯医者の診察台で目をむいておののいている誰か」のようでした。  蝉坊
/東京・北区岸町/JR王子駅から徒歩5分


《 関連ブログ 》
● ただの蚤助「けやぐの広場」
川柳と音楽、映画フリークの独り言。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu575
● 蝉坊「けやぐの道草横丁」
身のまわりの自然と工芸、街あるきと川柳への視点。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu0110