けやぐ柳会! 「月刊けやぐ」 電子版

「けやく」とは、友だち、仲間、親友といった意味あいの津軽ことばです。

2015年 8月号  お題;「 音 」,「 絵 」 出題・伊閣蝶さん

2015年09月26日 | 川柳

■「 音 」

朝と夜盆踊り分け蝉カエル  良弘
安眠を妻のいびきに邪魔される  久美子
一直線気配を消してミケが来る  弧衾若衆
イントロにあの日の君の桜色  流美ん
嘘つくと声が上ずるパパの癖  小心居士
英単語レールの音で刻み込む  篤子
大いびき無呼吸言われ不眠症  純一
★ 大いびき昔マドンナだったのに  駄作
音が出て他人になする匂い付き  芳男
音立てて抜かれてゆくよ永久歯  蝉坊
お隣の不幸な音に救われる  蝉坊
音姫に腰を浮かせる外国人  純一
★★ 音愛でる病の床の遠花火  蚤助
音もなく忍び寄るのは老いと皺  小心居士
★ 親離れさせて音信まるで無い  蚤助
音楽が不得手だった演歌歌手  芳男
音痴だと言ってる奴がすぐハモる  小心居士
快音を残してボール外野席  篤子
会議中静寂(しじま)を破る着信音  小心居士
ガソリンを焚いて灯油を売る調べ  蝉坊
★★★ 家電から指示されちょっと口答え  ちどり
金を借り家宝預けて音もなし  猫じゃ猫じゃ
カラオケと微妙にズレるオレの歌  伊閣蝶
帰宅した音で飛び出す仔が可愛い  篤子
強風に涼呼ぶ風鈴終い箱  篤子
行軍の音が消し去る法審議  蝉坊
古民家の伸びた庭木がドア叩き  芳男
★★★ ささやきがネットに乗って叫び出す  弧衾若衆
淋しさにテレビラジオのお守り番  篤子
寒い冬ほど蓄える春の音  蝉坊
幸せの音がまな板から生まれ  蚤助
三味の音に乾いた心揺さぶられ  流美ん
手話踊るピアニッシモからフォルテまで  弧衾若衆
ジョッキ干し団扇であおぐ夏の音  良弘
新品の傘雨音も新しい  蚤助
蝉の声残暑見舞いで蟋蟀に  伊閣蝶
★ 扇風機買い替え時と騒ぎ立て  篤子
対局に見慣れた時計耳ざわり  流美ん
高鼾欄間の埃ビビりだす  流美ん
チャリンという音に突っ張る欲の皮  蚤助
長身の腰を屈めて太鼓打つ  篤子
辛いとき悲しい曲が心地良い  伊閣蝶
電子音隣の風呂も沸きました  ちどり
トボトボと音が聞こえる帰り道  篤子
仲良しが歩いて靴の音ひとつ  蚤助
生演奏音符が肌にこびりつく  弧衾若衆
★★★ 寝ころんで地球のまわる音を聴く  弧衾若衆
脳みそも漏れてきそうなヘッドホン  蚤助
バアチャンは昔の音でおかき食べ  蚤助
母老いてまな板の音弱弱し  霜降
★★ ピンポンに返事する母テレビです  久美子
風鈴に岩手の風を所望する  ちどり
笛太鼓聞こえて足が跳ね上がる  篤子
ぶつかると乾いた音がする都会  蚤助
ベートーヴェンの曲も知らない音大生  伊閣蝶
別々の音が飛び交う謡囃子  伊閣蝶
盆の鉦墓苑四方に鳴り響き  霜降
味噌の香に母の葱切る音がする  流美ん
耳の奥年中無休の蝉時雨  ちどり
虫の音は夏の喧騒忘れさす  猫じゃ猫じゃ
名演も母にとっては雑音か  伊閣蝶
名曲は5分ももたぬ睡眠薬  小心居士
モーツァルト明るい曲という世評  伊閣蝶
モーツァルト流れる店で蕎麦すする  蚤助
宿六が寝坊で響く目覚し音  篤子
洋楽を聴いていた父今演歌  伊閣蝶
弱音吐く締め切り過ぎた投稿者  猫じゃ猫じゃ
老木の容態も診る聴診器  蝉坊


■「 絵 」

秋風をそよがせたくて描くトンボ  流美ん
油絵は具材と縁で評価され  芳男
イケメンの挿絵に惹かれ買う雑誌  篤子
絵が下手と自慢みたいに自己紹介  篤子
絵空事言ってた人が今博士  猫じゃ猫じゃ
絵で描いて説明をする話下手  伊閣蝶
絵手紙のヒマワリ猛暑に負けてない  ちどり
★★★ 絵に描いた詳しい地図が大迷路  芳男
絵に描いた餅だと言って白い紙  芳男
絵日記でパパの普段を垣間見る  ちどり
絵日記にもう好きな子がいるらしい  蚤助
絵にならんだろうアスリートの股間  蝉坊
絵の価値を下がる値札で判断し  伊閣蝶
絵の道具だけなら趣味を越えている  蚤助
絵葉書の方がきれいな景勝地  蚤助
★★ 絵文字でも返事があればよしとする  猫じゃ猫じゃ
幼子に書いてもらった絵の始末  伊閣蝶
顔合わせ済むとタトゥーが隠れない  蝉坊
★ 画家の名を聞いて納得名画なり  蚤助
額に入れ下手な絵なりの格好つき  流美ん
几帳面すぎて千切り絵捗らず  流美ん
忌引です言ってた部下がさじき席  小心居士
キャンバスがお皿に代わる写生会  伊閣蝶
才能の無さを道具のせいにする  駄作
逆さまに貼って楽しむお金持ち  弧衾若衆
自画像が美麗すぎるぞナルシスト  流美ん
下書きの虎が最後は猫になり  小心居士
修復というべきだろう肖像画  蚤助
暑気払いせめてハワイの絵葉書で  霜降
★ 太陽に必ず出会う娘の絵  良弘
誰に似ているかを聞いて描く似顔  小心居士
デッサンに挑みデイケアでも挑み  蝉坊
点描画??(ハテナハテナ)で僕ロダン  流美ん
夏雲が絵にしてみてと湧き上がる  霜降
夏休み母が描いても図画は下手  久美子
似顔絵で省略される目鼻立ち  蚤助
★ 似顔絵は福相なのに手配犯  純一
塗り絵するように顔描く鏡前  猫じゃ猫じゃ
ピカソ展ピカソのような顔で出る  蚤助
広重の景色に遭えぬ途中下車  蝉坊
墨痕が抽象画風書道展  蚤助
ぼろぼろの絵本に眠る蚊のミイラ  蚤助
本当は必要がないお札の絵  蝉坊
孫描いた似顔絵に髪はなし  芳男
孫が描くパパのおでこにいつも傷  小心居士
★ 見たとおり描けないからと抽象画  弧衾若衆
村中の誰もが描いた山がある  良弘
酩酊のママを描いてグランプリ  蝉坊
モナリザも微笑み凍るツアー客  純一
有名な絵だからなんか感動す  弧衾若衆
ラファエロを初めて観て立ちすくむ  伊閣蝶
ルノワール絵よりなじみの喫茶店  霜降
脇役の絵になる芝居客が沸き  蚤助


自由題(ねぶた)

スニーカー履いて浴衣は超短か  篤子
お祭りはワゲモノ(若者)達と跳ねるべし  篤子


9月のお題/毎月25日締切り
1.「 ほっこり 」 2.「 差向い 」
出題・京子さん


五十音順 / 会員による互選 /
★★★=天,★★=地,★=人 /
互選結果は翌月公表



《 関連ブログ 》
● ただの蚤助「けやぐの広場」
川柳と音楽、映画フリークの独り言。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu575
● 蝉坊「けやぐの道草横丁」
身のまわりの自然と工芸、街あるきと川柳への視点。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu0110