けやぐ柳会! 「月刊けやぐ」 電子版

「けやく」とは、友だち、仲間、親友といった意味あいの津軽ことばです。

2014年09月号  お題;「 大人 」,「 隠す 」  出題:篤子さん

2014年10月07日 | 川柳

■「 大人 」

★  青空が見えているかと娘へメール  蝉坊
赤信号子に睨まれて立ち止まる  裕雅
あこがれた大人もなんだこんなもの  蚤助
幾つからお酒が飲める聞く息子  久美子
イケ面も口を開けばまだ幼稚  小心居士
お刺身はワサビ乗っけていただきます  篤子
おじいさん大人を終えて子にもどる  良弘
おじさんはエッチと決める女学生  蚤助
大人味大人買いする子供達  久美子
大人しい成人式が懐かしい  小心居士
大人しく話を聞けと娘の説教  芳男
大人だけ貰える袋だとばかり  蝉坊
大人ってほめるときには何かある  蚤助
大人ですサナギを脱ぐと蝶はみな  蝉坊
★★★  大人には大人の事情深夜酒  猫じゃ猫じゃ
大人ぶり平穏無事と子にリキム  流美ん
大人への踊り場鼻ピアス外す  蚤助
親も子も大人になれぬ反抗期  ちどり
還暦にやっと慣れたらすぐ古希だ  蚤助
★★★  還暦を過ぎてもお金くれる母  小心居士
気配りに思わず漏らす大ッ人なぁー  篤子
★★  逆風に遭って大人の顔になる  蚤助
球児たち小人に見えた大人の日  篤子
「金瓶梅」読んだ私はもう大人  わすれ草
靴売り場また今度ねと諭す妻  小心居士
悔しさを耐えているよと目に涙  芳男
敬老会喜寿過ぎたのに使い番  小心居士
子が出来て親から援助オトナです  弧衾若衆
ご近所がみな年上で手が痒そ  流美ん
ご都合で大人と子供使い分け  裕雅
子供には大人になれる未来あり  裕雅
子供にはわからぬうまさビール味  猫じゃ猫じゃ
こどもらよおとながみんなこうじゃない  蚤助
子供らよ大人げなくて悪かった  蚤助
先が見えひとつひとつと片付ける  弧衾若衆
酒煙草止めた時から成人し  芳男
酒呑んでひき逃げですか公務員  蝉坊
叱られて大人げないと親叱る  良弘
じじいより長生きしそうシニアだよ  弧衾若衆
自由です成人式の留置場  蝉坊
18で成人無理よ25で  弧衾若衆
人格に一票入れてみたいもの  蝉坊
★★  診断に老人性がつきまとう  ちどり
少しずつ汚れ大人になりました  蚤助
絶滅が危惧され保護を検討し  駄作
卒寿から大人になれと喜寿言われ  小心居士
大人(たいじん)と言われ財布の紐緩む  猫じゃ猫じゃ
ちゃん君が付かずにさんで呼び呼ばれ  篤子
長男大人次男子供でなきゃならぬ  わすれ草
天眼鏡自分探しが止め処ない  蝉坊
年とれば大人になるという誤解  蚤助
泣き笑いみな引っ提げてなる大人  霜降
入浴料表面積で取ってくれ  蝉坊
ヌードルも箸で食べるとあぐらかき  蝉坊
腹の虫折り合いつけて大人ぶる  ちどり
腹も出た毛もなくなって無感動  芳男
晩酌に妻の真似して子も監視  良弘
部下の声大人になれと踏み潰す  裕雅
振り返るその時々で大人振り  流美ん
屁をしても照れず笑わず飯を食う  霜降
まずくてもそれもありかと笑ってる  弧衾若衆
まずビール付き合い程度の嗜みを  篤子
★★★  守るものできて根っこが腰すえる  流美ん
胸キュンもいつのことだか壁ドンも  弧衾若衆
姪七人さわいでるうち皆大人  わすれ草
モヒカンのジイジも混じる参観日  蝉坊
夢に見た大人買いする百均で  猫じゃ猫じゃ
夢に見た全巻セットお棚買い  篤子
欲が出て年金計算間違える  弧衾若衆
若い頃のあの洋服が似合わない  篤子
訳聞かず泣かせてくれた友の胸  流美ん


■「 隠す 」

★★  生きてれば秘め事だって老化する  蚤助
エロ映画角の手前でサングラス  弧衾若衆
送るねに隠されていた下心  篤子
親も子も言えない事があるらしい  久美子
鏡から素顔が消えるまで化粧  蚤助
隠し事した時いつもでる仕種  裕雅
隠しごと見つかりそうな脳スキャン  蚤助
隠したい若気のいたりすねの傷  猫じゃ猫じゃ
隠したが場所を忘れた認知症?  猫じゃ猫じゃ
隠しだてしてくれるなとほぞをかむ  猫じゃ猫じゃ
隠しても隠しきれない腹の肉  猫じゃ猫じゃ
隠しても目が口ほどにものをいい  駄作
隠すなと言うマスコミがひた隠し  裕雅
隠れてもしっぽが見える間抜け猫  猫じゃ猫じゃ
かくれんぼ幼い声がまあだだよ  霜降
隠れんぼ取り残されて帰る道  裕雅
かくれんぼまわり怖くて出て行くよ  弧衾若衆
我慢する彼女自慢の隠し味  小心居士
神棚に上げたへそくり台所  弧衾若衆
カミナリがなると思わずへそ隠し  小心居士
完璧にブロックされている事実  蝉坊
キッチンに隣り知らずのブランデー  蝉坊
強風にじっと耐えてるアデランス  蚤助
★  金欠の子のポケットに札隠す  わすれ草
金庫買い入れるものなく鍵隠す  芳男
靴底をアップしたのに気づかれず  蝉坊
芸能人マスク帽子にサングラス  芳男
★★  香典に借りた飲み代そっと足し  小心居士
ここだけのハナシにきっと羽根が生え  蚤助
此処だけの話はみんな知っている  ちどり
戸籍には血液型の欄がない  蝉坊
子に言わず妻に言えない嘘もある  良弘
米小麦炭水化物に糖がある  篤子
★  ごめんなさい!線路に小石置きました  わすれ草
これ以上無理を言うなと整形医  蚤助
これだけは言わずにおくよ君が逝く  弧衾若衆
サラリーマン本音隠して異動待つ  裕雅
爺さんがヘソクリ探す家中(いえじゅう)で  小心居士
じゃあまたね握手の中の熱い情  流美ん
しらんぷりする青春の隠し事  わすれ草
すっぴんが判らない程する化粧  久美子
「ただいま」と大人の殻を脱ぎだす子  流美ん
地区予選エース隠して初戦負け  小心居士
チャーシューをスープの海にまず沈め  蝉坊
ちょんまげに喰い放題の不戦敗  蝉坊
月明り二十歳の恋を照らし出す  霜降
告げ口と少女の像は生き続け  蝉坊
土埃積もって隠す津波跡  篤子
ディスクロ誌社長の笑顔が隠すもの  裕雅
苦手な具いかに食べさすかが手腕  流美ん
★  日記には父も好きだと書く娘  良弘
ネイルした爪を隠して御焼香  篤子
呑み出すと津軽ことばに負ける美女  蝉坊
パソコンで遺言隠せぬパスワード  芳男
初恋を隠す息子とジュース飲む  良弘
腹立ちを笑顔で隠し出す渋茶  ちどり
美辞麗句ばかり真意はつかめない  蚤助
披露宴イキな演出もらい泣き  流美ん
へそくりの亡命先に迫る危機  蚤助
へそくりをどこにしようか悩む父  久美子
別荘のつもりでペンキ塗る古家  蝉坊
本心を探しメールの画面拭く  流美ん
本当はね肉食系なのごめんなさい  篤子
マル秘ですうまいハナシがてんこ盛り  蚤助
満月に見透かされてる隠しごと  蚤助
木星で待っているよと先に逝き  蝉坊
よく見ろよこの子アイツにそっくりだ  弧衾若衆


10月のお題
■「 続く 」  ■「 宝 」
出題;流美んさん


五十音順 / 会員による互選 /
★★★=天,★★=地,★=人 / 互選結果は翌月公表





アキアカネ/秋茜/
Sympetrum frequens/Autumn darter/
トンボ科アカネ属/
東京・北区「石神井川緑道」/09.28.2014

旅愁や郷愁の「愁」の字を見るとよく
「赤とんぼ」を想い出します。

「赤とんぼ」2詠。


赤とんぼ

三木露風 作詞/1921(大正10)年
山田耕筰 作曲/1927(昭和 2)年

夕焼、小焼の  あかとんぼ
負われて見たのは  いつの日か。

山の畑の  桑の実を
小籠に摘んだは  まぼろしか。

十五で、姐やは  嫁にゆき
お里のたよりも  たえはてた。

夕やけ 小やけの  赤とんぼ
とまっているよ  竿の先。



あの素晴しい愛をもう一度

北山 修 作詞  加藤和彦 作曲
1971(昭和46)年

命かけてと 誓った日から
素敵な思い出 残してきたのに
あの時 同じ花を見て
美しいと言った二人の
心と心が 今はもう通わない
あの素晴しい愛をもう一度
あの素晴しい愛をもう一度

赤トンボの唄を 歌った空は
なんにも変わって いないけれど
あの時 ずっと夕焼けを
追いかけていった二人の
心と心が 今はもう通わない
あの素晴しい愛をもう一度
あの素晴しい愛をもう一度

広い荒野に ぽつんといるよで
涙が知らずに あふれてくるのさ
あの時 風が流れても
変わらないと言った二人の
心と心が 今はもう通わない
あの素晴しい愛をもう一度
あの素晴しい愛をもう一度


ふたつの詩はちょうど50年を隔てて発表されていました。
つぎの50年後も間近となりましたが、
果たして「赤とんぼ」にまつわる歌は
また現われるでしょうか。 蝉坊