電話が鳴る
「もしもし先生、報告したいことがあります、お時間いただけるでしょうか?」
武者修行に3年間を限って出ている無端塾長からの連絡だ。
基道館には連絡を禁止していたが私に連絡は禁止していない。
「ああ、珍しいね、いい報告かな? 今度の金曜日は仕事が休みだから天神山においで」
金曜日 威儀を正して現れた塾長は 武者修行中に相当な事柄を得たようで、一回りどころか10倍にグレードアップしている。
「ああ、貴殿は素晴らしい修行を身に着けた、とても私のかなうところではない、そういうことなら幹部会を招集して貴殿の修行年限を終了し、新たな道場を作ろう、元の無端塾では貴殿の気迫に及ばないだろう、真無端塾か改無端塾かあるいはもっとすごい名前か、そうだ、相談役の無徹庵氏にお願いするのがいい、無徹庵氏は武者修行中の貴殿を支えてくれて力になってくれただろう、さすが某流空手道の宗家で大人物だ。無徹庵氏に道場名をつけてもらえば氏の面目も大いに晴れやかに、いやまして昇り、基道館中まるで花が咲いたような気分になるだろう。どちらにしても貴殿の帰還を心待ちにしていた兄弟たちも大喜びするだろう、一水師範の瑞月会も合流したいだろうし、貴殿の弟卍堂も合流し、素晴らしい道場を立ち上げればいいじゃないか」
基道館には塾長を慕うものが多数いて、全員申し出れば所属変更は可能だろう。むしろ基幹道場としての体裁からして多いほうがいい。
もろ手を挙げて基道館が祝福する。
そうだ、体調や、仕事や、地域やいろいろな事情で基道館から引退した人たちにもこの慶事をお知らせし、みんなで祝賀会をしよう。
関係各位にも連絡しみんなで祝おう!
そうしたら私も安心してこの世を去れる、任せたよ!
そういう夢を見た。嬉しさに涙がこぼれていた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます