「葬式の案内」沖縄では、訃報を知るのは新聞で、
親類・縁者が多い社会なので、身近な人には
電話で知らせるが、それはごく身近な人だけで、
新聞で知らせる。
自然に大きく左右される島の生活では、やはり大潮から
中潮にかけて亡くなる人が多い。
「そんな科学的な根拠はない」と言われるが、毎日、
見ているので潮が大きく動くときに人が亡くなると
いうことは、島の誰もが知っている。
このあいだの満月や新月の翌日に配達されてくる
新聞には、訃報が多かった。沖縄に慣れていない人が
訃報欄を見ると、きっとビックリするだろう。
「102歳 天寿を全うしました。」
「100歳 天寿を全うしました。」
100年も生きた人がこれだけいるのかと、驚かされる。
以前入院していたとき、夜中に大きな泣き声が聞こえてきた。
看護師さんに「誰か亡くなったの?」と聞いたら、
「むかえの部屋のオバァが、今しがた亡くなったの。」
別れをおしむ家族の泣き声だった。
「でっ いくつくらいのオバァ?」と聞いたら100歳を
超えていた。翌日の朝には、部屋を訪れる家族の人たちが
廊下まであふれていた。7人8人兄弟が当たり前の時代の
人が亡くなったのだから、家族・身近な親戚だけで
小さな結婚式場くらい満席になるくらいいるわけだ。
100年間生きて、たくさんの家族に見送られる人生って、
不謹慎ではあるが、幸せだなぁと思ったことがある。
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